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2024/01/19

院長ブログトップ > スプリングスレッドのデメリットと感染

スプリングスレッドのデメリットと感染

スプリングスレッドのデメリット

近年、日本の美容外科界で注目を集めるスプリングスレッド(Spring Thread)。この革新的な糸リフト技術は、フェイスリフト治療において画期的な成果を挙げています。その絶大な効果により、インターネット上でも多くの肯定的な記事が目立ちます。しかし、人気の高まりに伴い、”スプリングスレッド デメリット” や “スプリングスレッド 感染” といったキーワードへの関心も増加しています。にもかかわらず、これらの問題点を詳細に解説した記事は意外と少ないのが現状です。そこで、本記事ではスプリングスレッドに関連する様々な側面を掘り下げていきます。特に、スプリングスレッドがもたらす可能性のある副作用や合併症、そしてその他の注意点に焦点を当て、治療を検討している方々が抱える疑問や懸念に光を当てていきたいと思います。美容外科治療の選択は、その効果だけでなく、リスクについても十分に理解し、慎重な判断を下すことが重要です。この記事が、より安全で効果的な美容医療を選択するための一助となれば幸いです

スプリングスレッドのデメリット

スプリングスレッド直後

上記の写真は過矯正されたスプリングスレッド直後状態

■引き上がり過ぎる

スプリングスレッドは、施術後の初期段階でしばしば顔のたるみを過度に引き上げる傾向があります。この現象は、特に「最終的な結果として顕著なリフト効果を望む」という患者様のご要望に応える際に顕著です。結果として、術後直後の患者様の顔は、一時的に不自然な輪郭を呈することがあります。この過矯正の状態は、通常から 1週間から1か月ほどで自然な見た目へと徐々に落ち着きます。

このような過矯正のリスクを理解し、患者様一人ひとりの具体的な希望や体質を考慮に入れた上で、最適な施術プランを提案することが重要です。スプリングスレッドによるフェイスリフトは、確かに効果的な治療法ですが、その過程で生じうる一時的な変化を患者様に正しくご理解いただくことが、満足いく結果への第一歩と言えるでしょう。

■デコボコになる

さらに、この過矯正による引き上げが原因で、顔の表面に凹凸(デコボコ)が生じることもあります。特に、皮下脂肪の少ないやせ型体型の方や、皮膚が薄い方は、このような凹凸が現れやすいとされています。しかし、これも引き上げ過ぎた状態と同様に、約週間から1か月の期間で自然な状態に戻ることが多いです。凹凸が目立つ場合は一時的なヒアルロン酸注入で目立たなくさせることが可能です。

■ 強い突っ張り感

スプリングスレッドの施術は、他の糸リフト手法と比較しても顕著な引き上げ効果を発揮します。この結果、スプリングスレッドによるフェイスリフト直後に患者様はしばしば強い突っ張り感を体験します。この感覚は、まるで皮膚が手で強く引っ張られているかのようなものです。この突っ張り感は、一般的に1か月程度で自然と緩和されることが多いですが、初期には不快と感じるかもしれません。

■ 痛い

引き上げの程度が強い場合、術後には顕著な痛みを感じることがあります。この痛みは通常、痛み止めの内服薬でコントロール可能なレベルですが、初期の2〜3日間は特に注意が必要です。痛みは徐々に軽減されていくものの、初期の痛みは患者様にとって大きな負担となることがあります。

■ 著しい腫れ

術後の引き上げの程度によっては、顕著な腫れが生じることがあります。この腫れは、多くの場合2~3日で落ち着きます。腫れが大きくても、マスクを装着すれば目立たない程度に隠すことが可能です。この初期段階の腫れはごく自然なことであり、必ず改善されます。

■ 感染のリスク

まれに、スプリングスレッドの糸自体が原因で感染が生じることがあります。この種の感染は少ないものの、万が一の場合に備えて、アフターケアを丁寧に行うことが重要です。感染の徴候が見られた場合には、速やかに医師に相談し、適切な治療を受けることが必要です。感染についての詳細は、この記事の後半部分で更に深く掘り下げます。

■ その他

非常に稀ですが、針穴の挿入部分で内出血が生じることがあります。これは通常、小さなものであり、自然に解消されます。内出血は手術の過程で発生することがあり、大半の場合、数日から1週間程度で自然に薄れていくものです。また、針穴の刺入部に陥没が生じたり、目立つことがありますが、1か月程度で徐々に改善します。

スプリングスレッドへこみ

上記はスプリングスレッド直後の針穴の陥没

 

スプリングスレッドの基礎知識:特性と利点

スプリングスレッドの感染リスクについて詳細に解説する前に、この革新的な治療法の基本的な特徴を理解することが重要です。以下に、スプリングスレッドの主な特性とそれがもたらす利点を箇条書きでご紹介します

■ 非吸収性の糸

スプリングスレッドは、他の多くの糸リフト素材が吸収性であるのに対し、非吸収性の糸を使用しています。通常の吸収性糸は体内で分解・吸収されるのに対して、スプリングスレッドはそのような性質を持たず、溶けることはありません。この非吸収性素材の使用により、スプリングスレッドによるフェイスリフト効果は3年以上持続すると言われており、長期的なリフトアップ効果を期待できる点が大きな利点です。

■ シリコン製素材

スプリングスレッドはシリコン製で、この素材によって非常に高い柔軟性と弾力性が実現されています。これらの特性がスプリングスレッドの強力な引き上げ効果をもたらし、顔の輪郭を明確に改善する効果があります。また、シリコンは医療用素材としての安全性が非常に高いことで知られており、体内での使用においても安全性が高いと評価されています。

スプリングスレッドの経過写真

スプリングスレッド術前

↑術前(頬のたるみ、ほうれい線が目立ちます。)

スプリングスレッド直後

↑術直後(過矯正になっています)

スプリングスレッド1週間後

↑1週間(まだ凹凸がありますが、だいぶ改善しています)

スプリングスレッド1か月後

↑術後1か月(凹凸が自然に改善しています)

スプリングスレッド6か月後

↑術後6か月(効果が持続しており、フェイスラインがシャープで、ほうれい線が目立ちません)

スプリングスレッドにおける感染の原因と症状

スプリングスレッドの施術は通常安全であるものの、ごくまれに施術後数ヶ月から数年後に挿入された糸の感染が報告されています。このような感染事例は稀ですが、スプリングスレッドに伴うリスクを理解し、感染が生じた場合の症状を知っておくことが重要です。以下に、スプリングスレッドによる感染の原因とその症状についてご紹介します。

■ 感染の潜在的な原因

感染の具体的な原因は常に明確ではありませんが、以下のようなシナリオが考えられます。

・ 手術中に髪の毛が糸の刺入部より皮下に混入すること。

・ 皮膚にできたニキビや他の皮膚疾患が感染源となり、それが糸に伝播すること。

■ 感染時の初期症状の兆候

初期段階では、痛みが伴わないことが多く、施術で糸が挿入された部位(多くはこめかみ部分)にニキビのような膨らみや出来物が現れることがあります。これらの症状は時に自然に消えることがあるため、適切な時期に処置を行う機会を見逃すリスクがあります。自然に治ったように見えても、実際には感染が進行している可能性があるため、注意が必要です。

■ 感染時の中等度の進行症状

感染が進むと、施術で入れた糸が皮膚表面から浮き出て見えるようになることがあります。この段階では、浮き出た部位やこめかみに圧痛が生じることがあります。これは感染が進行している証拠であり、施術を受けた医療機関において迅速な対応が必要です。

■ 放置による感染時の重度の進行症状

感染を放置すると、皮膚に穿孔(穴が開く)現象が発生し、糸が外部に飛び出すことがあります。この段階では、穿孔部分にかなりの痛みが伴うことが一般的です。深刻な感染の兆候であり、速やかなスプリングスレッドの糸の除去が不可欠です。

■感染時はすぐに専門医へ

これらの症状は、スプリングスレッドに関連する感染の進行を示す警告信号です。初期段階での発見と対応が重要であり、いかなる異常も速やかに専門医に相談することを強く推奨します。早期発見と適切な治療により、感染の拡大を防ぎ、安全な治療結果を確保することが可能です。

スプリングスレッド感染時の適切な処置方法

元神写真

スプリングスレッドによる感染が確認された場合、迅速かつ効果的な処置が必要となります。以下に、感染が発生した際の治療方法を紹介します

■感染した糸の抜去

感染した症状が明らかになった場合、比較的容易に感染した糸を取り除くことが可能です。これは、免疫系が感染した糸を異物と認識し、排除しようとする反応によるものです。糸周辺の組織は浸出液に包まれるため、糸は元の挿入部位(通常はこめかみ部分)から比較的簡単に抜去できます。

■処置時の痛み管理

この抜去処置は、かなりの痛みを伴う可能性があります。そのため、局所麻酔だけでは痛みを十分に制御することが難しい場合があります。痛みの管理と患者様の快適性を考慮して、マスク麻酔を併用し、患者様が完全に眠っている状態で処置を行うことを推奨しています。

スプリングスレッドの糸の抜去に関する一般的な疑問と回答

スプリングスレッド構造

スプリングスレッドは上記のように糸に突起がある

スプリングスレッドの糸を抜去する際には、患者様から多くの疑問が寄せられます。以下に、糸の抜去に関するよくある質問とその回答をまとめました

■ 糸を抜去するとたるみが元に戻るか?

感染による糸の抜去は、通常、時間が経過した後に行われることが多いです。この時点で糸を抜去しても、すぐにたるみが元に戻ることは少ないです。これは、感染するまでの間に自己の繊維組織が瘢痕組織を形成し、皮膚と筋膜が固定化されているためです。つまり、糸の抜去時には、すでに糸自体の張力に依存しているわけではなく、糸によって引き上げられた状態が繊維組織によって維持されているため、たるみが戻ることは少ないです。

■ 感染していない糸の抜去は可能か?

感染のリスクを懸念して、感染していないスプリングスレッドの糸を抜去したいという要望がありますが、感染していない糸の抜去は困難です。糸には突起が付いているため、容易に引き出すことはできません。無理に引き抜くと、大きな痛みや出血、神経損傷の危険があります。また、感染していない場合、糸を特定すること自体も難しいです。そのため、感染していない場合の糸の抜去は、リスクが大きく、メリットが少ないため基本的には行われないと考えるべきです。

まとめ

スプリングスレッドを希望される場合はスプリングスレッドにおける過矯正リスクを理解し、ご自身の希望が考慮された上での最適なリフトアップが提案されることが重要です。スプリングスレッドによるフェイスリフトは、非常に効果的な治療法ですが、その過程で生じうる一時的な変化を術前に正しく理解することが、満足いく結果への第一歩と言えるでしょう。また記載したデメリットの多くは、スプリングスレッド施術の一時的な影響として捉えることが重要です。術後の適切なケアを取ることで、これらの症状は通常、比較的短期間で改善されます。患者様には、この一時的な不快感を理解し、最終的なリフト効果のための一過程として受け入れていただくことが望まれます。また、スプリングスレッドによる施術後の感染は珍しい事例ではありますが、その症状に注意深く留意することが重要です。感染が進行するにつれて、その症状は変化し、より深刻なものとなります。感染した糸の抜去は、感染の早期発見と適切な処置によって比較的スムーズに行われることが多いです。感染症状の最初の兆候を感じたら、すぐに専門医に相談し、適切な処置を受けることを強くお勧めします。以上、このブログ記事では、スプリングスレッドの施術におけるデメリットと感染について多角的に考察しました。スプリングスレッドの施術は多くのメリットを提供しますが、患者様はこの記事で解説したデメリットと感染リスクを十分に理解し、慎重に意思決定を行う必要があります。医師との綿密なコミュニケーションと、施術後の適切なケアが、安全で効果的な結果につながる鍵です。この記事が、スプリングスレッド治療を検討する皆様の参考になれば幸いです。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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2024/01/18

院長ブログトップ > ウルセラはなぜ痛い?ウルセラが痛すぎる問題とその対策

ウルセラはなぜ痛い?ウルセラが痛すぎる問題とその対策

ウルセラが痛すぎる問題に不安

ウルセラは、現代美容医療の領域において、効果の高さで名高いハイフ(HIFU:高密度焦点式超音波)機器として広く認知されています。ウルセラの効果に関する情報はネット上で幅広く共有され、すべてのハイフの機器の中で圧倒的に効果があることは広く周知の事実となっています。しかし、この卓越した効果の一方で、施術時の痛みが大きいことも、患者様や美容専門家の間で頻繁に話題に上がっています。インターネット上では、「ウルセラ 痛すぎる」や「ウルセラ 痛い」といったキーワードがしばしば検索され、多くの人々がこの問題に直面していることがうかがえます。このブログ記事では、ウルセラに伴う痛みの問題に焦点を当て、その原因と対処方法について詳細に掘り下げます。

ウルセラはなぜそんなに痛いのか

ウルセラは、非侵襲的な皮膚引き締め治療において、ハイフ(高密度焦点式超音波)機器の中でも最も高い効果を発揮することで知られています。この圧倒的な効果は、他のハイフ機器と比較しても顕著であり、美容医療界でも広く認知されています。ウルセラの優れた結果を可能にする主要因は、高出力での照射能力にあります。具体的には、ウルセラのハンドピースは最大1.2ジュールの出力で、皮膚表面より4.5㎜の深さまで到達する能力を持っています。これは、他のハイフ機器に比べて非常に高い出力です。ウルセラのこのハイパワーな特性が、治療部位であるSMAS筋膜に対して、効果的にかつピンポイントで熱を伝えることを可能にします。この過程で生じる熱変性は、SMAS筋膜の即時的な収縮を引き起こし、患者様は施術直後からリフトアップ効果を実感することができます。さらに、熱変性の程度が高いほど、治癒過程においてコラーゲンの生成も促進され、その効果は長期にわたります。しかしながら、この高出力による照射は、同時に強い痛みを伴う原因となっています。1.2ジュールの出力で深度4.5mmのハンドピースを使用すると、激しい痛みが伴うことがあり、これは他のハイフ機器では経験されないほどです。特に、深度4.5mmのハンドピースを使用して顔全体に約200回の照射を行う際には、効果的な麻酔がなければ拷問に等しい苦痛を感じることもあります。ウルセラのこの強烈な痛みは、その効果の強さと直接的に関連しているのです。

ウルセラの深度

「上記イラストのようにウルセラは皮膚の深いところに高エネルギーの熱変性を引き起こすので痛みが強い」

ウルセラの痛み問題の対処方法

ウルセラ治療の際に経験される激痛は、多くの患者にとって大きな問題となっています。この問題に対処するため、美容クリニックではさまざまな方法が採用されています。以下に、これらの対処法の概要と効果について解説します。

■表面麻酔をする(ただしほとんど無効)

美容施術、特にサーマクール等の高出力の照射系機器を使用する際には、一般的に表面麻酔クリームを用いることがあります。この方法では、局所麻酔薬を含むクリームを皮膚に塗布し、20~30分かけて麻酔液が皮膚表面に浸透して麻酔効果を発揮させます。しかし、ウルセラ治療の場合、このような表面麻酔は、その効果が非常に限定的です。ウルセラは、4.5mmまたは3mmといった皮膚表面よりも深い層にエネルギーを届ける能力を持っています。このため、表面麻酔が浸透するのは表皮のみであり、ウルセラのエネルギーが到達する深い皮膚層には麻酔効果が及びません。その結果、ウルセラによる治療時の痛みは、表面麻酔ではほんど痛みが軽減されないという問題があります。

■パワーを下げる

ウルセラ治療において、痛みを軽減する一つの方法として、機器のパワーを調整する手法があります。ウルセラの4.5mmハンドピースは、最大出力が1.2ジュール(J)ですが、この出力を0.75ジュールに下げることが可能です。この0.75ジュールでの照射は、最大出力に比べてかなりの痛み軽減効果をもたらします。しかし、ここで重要なのは、出力の低下が治療効果に与える影響です。ウルセラの効果は、使用されるパワーに密接に関連していると言われています。0.75ジュールでの照射は、1.2ジュールと比較して約40%の効果減少を招く可能性があります。これは、治療の効果と痛みのバランスを検討する際に重要な考慮すべき点です。痛みの軽減は患者の快適性を向上させますが、同時に治療効果の減少も意味します。

■冷却しながら照射する

ウルセラ治療中の痛みを軽減するための方法として、皮膚を氷や冷却装置で冷やしながら照射する手法があります。この冷却法は、皮膚の感覚を一時的に麻痺させることで、表面麻酔よりも効果的に痛みを減らす可能性があります。しかし、冷却法には重要な問題があります。ウルセラの効果は、その高出力による熱エネルギーに大きく依存しています。冷却しながらの照射を行うと、ウルセラ機器から放出される熱が冷やされるため、事実上照射パワーを下げることと同じ結果が生じます。従って冷却しながらの照射では、ウルセラの持つハイパワーの特長を十分に活かすことができず、治療効果が低下します。

■静脈麻酔の併用

ウルセラ治療の痛みを管理するために用いられる一つの方法が静脈麻酔です。この方法では、事前に点滴を用いて麻酔液を注入し、患者の意識を低下させることで痛みを和らげます。表面麻酔や冷却法と比較して、静脈麻酔はより強力な痛み軽減効果を持ちます。場合によっては、患者が眠っている間にウルセラ治療を完了させることが可能です。静脈麻酔はその即効性と強力な鎮痛効果で、ウルセラ治療の快適性を大幅に向上させることができます。しかし、静脈麻酔薬の効果には個人差があるため、全ての患者に同じように効果があるとは限りません。さらに、多くの美容クリニックでは、治療後の患者の安全を考慮して、静脈麻酔薬の使用量に上限を設けています。その結果、一部の患者にはほとんど麻酔効果が得られない場合もあります。

■笑気麻酔の併用

美容クリニックにおけるウルセラ治療で広く利用されているのが、笑気麻酔です。亜酸化窒素、通称「笑気」と呼ばれるガスを吸引することにより、患者の意識を穏やかに低下させ、治療中の痛みを軽減します。笑気麻酔はその手軽さと安全性から、多くのクリニックで好んで採用されています。この麻酔法の特徴は、手術のような深い麻酔ではなく、患者のリラックスを促しながらも意識は保たれる点にあります。患者は治療中の痛みや不安を感じにくくなりますが、静脈麻酔と同様に、笑気麻酔の効果には個人差があります。笑気麻酔は効果的なこともありますが、すべての人に同じ結果をもたらすわけではなく、一部の患者にはほとんど麻酔効果が得られない場合もあります。

ウルセラにはマスク麻酔を推奨

元神写真

ウルセラ治療の際に強い痛みを感じる問題に対して、最適な解決策としてマスク麻酔の併用を推奨します。マスク麻酔とは、セボフルレンというガス型の麻酔薬を使用する方法で、全身麻酔と同じ効果をもたらします。この方法では、患者は施術中に完全に眠りにつくため、痛みを一切感じることがありません。マスク麻酔の利点は、その迅速さと深い麻酔効果にあります。施術開始からわずか2~3分で患者は深い眠りにつき、ウルセラの施術が終了する頃には自然に覚醒します。多くの患者は、覚醒後に施術が既に完了していることに驚きを表現するほどです。このような完全無痛の麻酔効果は、マスク麻酔によってのみ実現可能です。マスク麻酔は、前述の笑気麻酔とは大きく異なります。笑気麻酔では患者は意識が低下するものの基本的には覚醒状態にあり、痛みを感じる可能性があります。一方、マスク麻酔を用いると、患者は施術中完全に意識を失うため、痛みを感じることがありません。マスク麻酔の使用は、ウルセラ治療の快適性を大きく向上させ、患者の不安や恐怖を軽減します。そのため、痛みに敏感な患者や、痛みを極力避けたい患者にとって、マスク麻酔は特に適しています。クリニックでは、、適切な麻酔方法を選択することが重要です。安全で快適なウルセラ治療を実現するために、マスク麻酔は非常に有効な選択肢となります。

まとめ

ウルセラ治療における「痛すぎる」という一般的な懸念に対して、最も効果的な解決策はマスク麻酔の併用です。この麻酔法により、患者は治療中に完全に眠り、ウルセラの照射を最大限のパワーで受けることが可能となります。これにより、ウルセラの本来の効果が最大限に引き出されるのです。ウルセラ治療においては、その治療効果を低下させる可能性があるため、パワーを下げたり、冷却しながら照射することは避けるべきです。ウルセラ治療での痛み対策として他にも、表面麻酔や笑気麻酔がありますが、これらは有効な麻酔効果を提供するものではありません。表面麻酔はほとんど効かないことが多く、笑気麻酔も個人差があります。一方、マスク麻酔は施術中の意識を完全に失わせることができ、より安全で快適な治療体験を提供します。この記事を通じて、ウルセラを考えている方々、特に痛みに関する不安を抱えている方々に、安心と知識を提供し、より快適なウルセラ治療体験を実現するための一助となれば幸いです。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。ウルセラは日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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2024/01/05

院長ブログトップ > ウルセラの効果が分かる最新のエビデンスと医学論文

ウルセラの効果が分かる最新のエビデンスと医学論文

ウルセラの医学論文

筆者がウルセラを使用してから早くも12年が経ちます。筆者がウルセラをアンチエイジング治療に導入したことも12年前にここにブログ記事にしています。ウルセラの明らかな効果に導入直後より衝撃を受けたことを今でも筆者はよく覚えています。その後筆者はウルセラについて日本美容外科学会で発表しました。また、ウルセラに似せたハイフ技術(HIFU)をパクッて、さまざまなハイフ機器が各国(特に韓国)から登場しましたが、残念ながらウルセラとは全く別物です。ウルセラの場合は施術直後より顔のたるみが引き上がった変化が現れ、その効果が少なくとも数か月持続し、1年以上も効果が実感できることもあります。一方、ウルセラまがいのハイフ機器(ダブロなど)は直後より効果が微妙と言わざるを得なく、1か月後には全く変化がない状態になり、元に戻ります。以上は筆者個人のウルセラとハイフのパクリ物の感想ですが、ウルセラの効果をより客観的に評価するために、医学的にウルセラを評価した最新の医学論文(エビデンス)をご紹介します。

93%にウルセラの効果あり!

Shomeらによる2019年『Use of Micro-focused Ultrasound for Skin Tightening of Mid and Lower Face』の医学論文では、ウルセラを使用して、中顔部と下顔部のたるみがある50人の成人のインド人を治療しました。対象患者は、深い真皮を対象とした3.0 mmプローブと、表層筋膜系(SMAS筋膜)を対象とした4.5 mmプローブでウルセラ治療を受けました。30日、60日、3ヶ月、6ヶ月、そして1年後に、患者の顔の写真が集められ、効果判定の徹底的な分析が行われました。また、患者の自己評価のアンケートも行われました。その結果、6ヶ月後に93%の参加者の中顔部と下顔部の改善を認めました。患者の治療結果に対する満足度は85%でした。1年後も同じ結果が維持されました。この研究は、ウルセラを使用することで、中顔部と下顔部のたるみの全体的な美容改善において顕著な成果が得られることを発見したとこの論文でな結論付けました。この論文の特筆すべき事項としては対象患者が50人と非常に多いところで、信憑性も高くなります。

1年後も約80%がたるみの改善を実感!

William Philip Werschlerらの2016年の『 Long-term Efficacy of Micro-focused Ultrasound with Visualization for Lifting and Tightening Lax Facial and Neck Skin Using a Customized Vectoring Treatment Method』の医学論文では、眉毛の非侵襲的なリフト、顎下および首の組織のリフト、およびデコルテの線およびしわの改善に対するウルセラの効果が判定されました。25歳から60歳の対象患者20人が顔と首の皮膚たるみがある部分で研究用に登録され、治療されました。象患者は90日、180日、そして1年後に評価されました。効果判定は、90日と180日のそれぞれで対象患者の90%と100%から回答が得られ、1年後では95%から回答が得られました。1年後の対象患者から自己報告された結果では、79%がたるみの減少、58%が小じわやしわ、47%が肌の質感の滑らかさを実感しているという結果でした。この論文ではウルセラは、顔と首の組織の顕著なリフトと引き締めを実現し、1年間以上にわたって改善が維持され、患者自身の満足度も非常に高いと結論付けております。

ウルセラ照射

おなかのたるみにもウルセラは効果あり!

Lin F. らによる2020年『Non-surgical treatment of post-partum lower abdominal skin and soft tissue laxity using microfocused ultrasound with visualization.』の医学論文では、出産後の女性における下腹部の皮膚および軟部組織のたるみをウルセラで治療し、その効果と安全性を調査しました。出産後6ヶ月から24ヶ月の間の20人の女性患者の下腹部をウルセラで治療し、3ヶ月および6ヶ月で対象患者からの報告および写真を使用してウルセラの治療効果が分析されました。結果は、6ヶ月時点での対象患者の術前術後の写真分析のよる効果判定と患者自身の満足度調査では、6ヶ月にわたり一貫して下腹部のたるみの改善を示しました。また、重大な有害事象は報告されませんでした。

この医学論文ではウルセラがおなかのたるみの改善にも効果があることを証明しました。

 

二の腕、膝上、内ももにもウルセラ!

ウルセラのおなかのたるみに対する効果を証明した医学論文を上述しましたが、顔やおなか以外にもウルセラは効果があります。少し古い論文ですが、AlsterとTanziの2012年の『Noninvasive lifting of arm, thigh, and knee skin with transcutaneous intense focused ultrasound』の医学論文では上腕部、膝上部、内ももの皮膚のたるみに対してウルセラの効果判定を行いました。対象患者は18人で、上腕部、膝上部、内ももの3領域に対してウルセラの照射を行いました。この研究では同時に深度4.5mmのトランスデューサー単独照射と深度4.5mm と3mmのトランスデューサーの併用した二重照射を手足の左右で分けて照射し、単独照射と二重照射のどちらがよいのかも判定しました。結果は3つの部位すべてで、効果があったと結論付けています。さらに、膝と上腕は内ももよりも効果があり、膝と上腕は目に見える効果があったと書いています。また、二重照射のほうが、より表層的な真皮コラーゲンのリモデリングを促し、肌の質感を滑らかにするのに役立つとも記述しています。対象患者の満足度アンケートでは、16人中13人の患者が非常に満足していると答えていました。

まとめ

この記事では最新のウルセラに関する最新の医学論文を紹介しました。ウルセラはFDA認証を受けている唯一のハイフ機器です。FDAとは米国食品医薬品局のことで、日本国の厚生労働省に該当します。いわば、国家が効果があるお墨付きをした唯一のハイフ機器です。また、ウルセラのDeepSEE技術はウルセラの特許であり、他のハイフ機器には搭載されていません。DeepSEE技術によりウルセラでは照射部位を超音波の画像診断を行いながら、安全に適切な深度に照射できます。

ウルセラの画像補助

このようにウルセラは唯一無二のハイフ機器です。また、ウルセラは照射方法なども非常に重要であることは以前にブログでもご紹介しました。ウルセラを検討される場合は、信頼できる医師を選ぶことも大切です。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。ウルセラは日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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2023/12/26

院長ブログトップ > 加齢・老化による骨吸収とヒアルロン酸による予防について

加齢・老化による骨吸収とヒアルロン酸による予防について

加齢による骨吸収

加齢により顔の骨格の骨吸収ついて、上顎骨においては以前のブログ記事「加齢、老化で鼻下が伸びる、長くなる理由」では上顎の梨状口の拡大、前鼻棘の平たん化、上顎全体の吸収により、上顎骨全体が後退することにより、鼻下が長くなることをご説明しました。では、顔のほかのパーツはどうなのでしょうか?実は顔の骨格で骨吸収が起こるのは上顎骨だけではありません。今回の記事では顔全体の起こる加齢の残酷な現実について解説します。

顔全体で起こる骨吸収

どれだけ紫外線予防をしても、どれだけ肌の保湿等で肌のケアを行ったとしても、骨の加齢変化を美容ケアで止めることはできません。

骨吸収は加齢による性ホルモンの低下で起こり、体全体の骨格の骨密度の低下を招きます。これにより骨格全体が萎縮します。つまり、顔全体の骨格が小さくなり、小顔になります。若い女性は小顔に憧れ、さまざまな小顔治療が美容外科では人気ですが、加齢により否が応でも骨吸収により骨格が萎縮して小顔になってしまうことは皮肉なものです。ただ、顔全体が萎縮しますが、顔のパーツ別に特に骨吸収が激しくおこり、老人特有の風貌に変化させます。下記のイラストの矢印は顔のパーツで特に骨吸収が起こる部位です。次からは加齢による顔のパーツ別の骨吸収についてとりあげてきます。

骨吸収の部位、顔のパーツ別

上記の矢印は骨吸収が起こりやすい顔の部位

イラストはChanges in the Facial Skeleton With Aging: Implications and Clinical Applications in Facial Rejuvenation; Bryan Mendelson, Chin-Ho Wong; Aesth Plast Surg (2012) 36:753–760より

額(前頭骨)

加齢により、特に眉間の上部周辺で骨吸収が起こることがあります。これにより、額全体が後退したかのよう、丸みが失われます。また、額全体においても骨が平らになり、若い頃の突出した特徴が失われる可能性があります。特に額は顔全体において占める面積が大きい分、額の丸みの消失は加齢を感じさせる部位となります。

眼窩の上内側

先ほどのイラスト内に矢印のとおり、眼窩では2部位において主に骨吸収が起こります。上内側の骨吸収により主に上まぶたの形状が変化します。上まぶたの内側では、この骨吸収により眉の内側が上昇します。一方、眉の外側の骨はあまり変化しないため、皮膚のたるみも加わって、眉の内側が上昇することは眉の形状の垂れた外観が余計に誇張します。また、眼窩の上内側の骨吸収は内側の眼窩脂肪体をより目立たせる要因になります。ご高齢のかたの眉の内側に脂肪がどっぷり乗っているのは、この眼窩の上内側の骨吸収によるものです。

眼窩の下外側

眼窩周辺の骨吸収では眼窩縁の下外側も顕著です。これにより、目の下のくぼみが深くなり、目の周囲の皮膚がたるみを生じさせます。目袋と言われる、目の下の脂肪と皮膚のたるみにより形成されるこの目のクマが生じる根本的な原因はこの下眼窩縁が外側の骨吸収なのです。この下外側眼窩縁の骨吸収は中年までに早期に現れると言われいます。一方、前述の眼窩の上内側の骨吸収のよる骨の後退は老年期にのみ認められる場合があります。このように骨吸収が激しく起こる部位は同じ眼窩でも年齢によっても異なります。また、男性では眼窩の下内側四分円高齢になると骨吸収が起こる傾向があり、性差もあります。また、対照的に、上眼窩縁と下眼窩縁の中央部分はより安定しており、年齢とともに吸収が起こることはほとんどないと言われています。

頬骨(上顎骨)

上顎骨の頬骨の高さと突出は骨吸収により減少します。この部位の骨吸収により劇的に加齢変化を生じさせることがあります。具体的にはゴルゴ線と言われている涙溝の陥没化と頬丘の盛り上がりを発生させ、鼻唇溝の溝を深くさせます。

鼻と唇

以前のブログ記事「避けられない加齢変化:大きくなる鼻」でも詳述しましたが、この部位の骨吸収により鼻の梨状口(鼻孔)は拡大します。その結果、小鼻は大きくなり、鼻先は長くなり、鼻先も下を向くようになります(鼻尖下垂)。鼻下中央の前鼻棘の骨吸収も起こり、梨状口の拡大と相まって、上唇は薄くなり、平坦化します。

下顎骨

下顎骨の骨吸収は特に顎の先端と側面で起こりやすく、これにより顎のラインにデコボコを生じさせます。また、下顎の角度が増加することも明らかになっており、これにより垂直方向に下顎が伸びることになり、顎の位置が後退した印象になります。下顎骨の骨吸収と角度の変化は顎を小さく見せ、さらに顔全体としては面長な外観になります。

骨吸収と皮膚のたるみの関係

皮膚のたるみは骨吸収により生じます。顔のたるみが目立つ部位は骨吸収が起こりやすい部位と一致します(下記イラスト参照)。また、作用が大きい筋肉が付着している骨は骨吸収が起こりにくいとされています。上述の骨吸収が起こりやすい顔のパーツは筋肉の作用がいずれも弱い部位にもなります。顔の皮膚のたるみはコラーゲンやエラスチン等の構成要素の減少に伴う皮膚自体の組織の老化も関係しますが、それよりも皮膚のたるみの大きな要因としては皮膚の下にある筋肉と骨の作用の減少によるものです。

骨吸収の顔の部位とたるみの関係

上記イラストの黒い影の領域は骨吸収が最も大きい部位です。顔のたるみは、これらの骨格のサポートが弱まった部位に一致します。

イラストはChanges in the Facial Skeleton With Aging: Implications and Clinical Applications in Facial Rejuvenation; Bryan Mendelson, Chin-Ho Wong; Aesth Plast Surg (2012) 36:753–760より

 

皮膚のたるみ予防のための骨格形成

骨吸収は加齢により徐々に起こります。個人差はもちろんありますが、骨吸収は女性の場合は30歳代より、男性の場合は40歳代より始まるとされています。骨吸収が始まっている部位では少しずつですが、皮膚のたるみを生じています。これは30代では目には分からないほどのたるみです。骨吸収も同様にわずかだからです。予防的な骨格形成ではこの目に分からない程度のたるみに部位に、その部位の骨の上にヒアルロン酸を入れてボリュームを持たせます。これにより骨吸収前の骨の形状に戻り、たるんだ皮膚も本来の位置に強制的に戻ります。このようにヒアルロン酸注入で骨の形状を常に維持させることにより常に皮膚が本来ある位置からたるまないようにさせることが長期的にはその部位のたるみ予防になります。筆者はこれを「ヒアルロン酸注入のよる骨格形成」と名付けており、ヒアルロン酸注入の骨格形成がたるみの予防になると考えています。

 

ヒアルロン酸によるたるみ予防のポイント

ヒアルロン酸注入のよる骨格形成で一番重要なのは、ヒアルロン酸を骨の真上に注入することです。骨の上ではなく、筋肉内や脂肪内に注入すると、組織の膨張を引き起こし、余計にたるみを強調させる結果になります。また、量は各部位少量でよいです。量をたくさん入れると、骨に付着している組織を引き延ばしてしまい、たるみを引き起こし、逆効果になることもあり得ます。また、量よりも大事なのはヒアルロン酸の硬さ、硬度の高いヒアルロン酸が適してます。骨ほど硬いヒアルロン酸はありませんが、硬度が高いヒアルロン酸は長い間形状を維持させることが可能です。具体的なヒアルロン酸の商品名としては厚労省に認可されているジュビダームボリューマがよいです。ごく少量のヒアルロン酸注入になるため、各部位に治療前後ではほとんど変化が分かりません。ただ、これを1年に1回ほど定期に受けることで長期なたるみの予防になると考えます。

骨格形成ヒアルロン酸ボリューマ

まとめ

今回の記事では加齢・老化による顔の骨吸収が起こる部位について説明しました。骨吸収の進行は食生活や運動などを取り入れた健康的な日常生活で予防することは可能ですが、根本的には骨吸収は必ず起こってしまう悲しい加齢変化・老化現象です。ただ、この記事で紹介したヒアルロン酸の骨格形成により骨吸収によるたるみの進行を緩やかにすることは可能です。残酷な現実に対して対抗できる手段としては非常に意義があると筆者が考えます。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。

【関連項目】

加齢による顔の避けられない変化

避けられない加齢変化:大きくなる鼻

加齢、老化で鼻下が伸びる、長くなる理由

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2023/12/25

院長ブログトップ > 加齢、老化で鼻下が伸びる、長くなる理由

加齢、老化で鼻下が伸びる、長くなる理由

加齢で鼻下が長くなる理由

ご高齢者の鼻下が長いと感じたことはありませんか?ピンとこないかたは高齢になった自分のお祖母様またはお母様の今と若い時の写真を見比べてください。個人差はありますが、多くの場合鼻下が伸びています。また、ご高齢の割には若く見える人の違いはこの鼻下の長くなっているか、なっていないかによってかなり見た目が変わってきます。この記事はどうして加齢で鼻下が長くなるのか、あるいは人中が伸びたように見えるのかを説明し、その予防方法や治療方法等について解説します。

加齢で起こる残酷な現実

紫外線をどれだけ気を付けていても、あるいは、どれだけ保湿を日々怠らずに肌のケアを行ったとしても、避けられない致命的で残酷な加齢の変化は「骨の吸収」です。骨吸収(こつきゅうしゅう)は加齢で必ず起きます。加齢で骨吸収が起こる一番の理由は性ホルモンの低下です。女性の場合はエストロゲンの低下、男性の場合はテストステロンの低下が骨吸収を促進させます。

性ホルモン低下で骨吸収が起こる理由

男性と女性における性ホルモンが骨吸収に影響するメカニズムは異なりますが、性ホルモンが男女ともに骨の健康と密接に関連しています。以下に、エストロゲンとテストステロンがどのように骨吸収に影響を与えるかについて詳細を説明します。

■女性におけるエストロゲンの影響

エストロゲンは、骨を再吸収する細胞(破骨細胞)の活動を抑制し、骨を形成する細胞(骨芽細胞)の活動を促進します。これにより、骨量が維持されます。一方、エストロゲンは骨芽細胞のアポトーシス(自然な細胞死)も抑制し、その寿命を延ばすことで骨形成もサポートします。また、エストロゲンは、骨の破壊に関連する炎症性サイトカインの産生を減少させることで、骨の再吸収を抑制します。閉経後の女性では、エストロゲンの急激な減少が骨吸収を促進し、骨密度の急速な減少を引き起こします。

■男性におけるテストステロンの影響

テストステロンは骨芽細胞の増殖と骨形成を直接刺激し、骨量と骨密度の維持に貢献します。また、男性の体内では、一部のテストステロンがエストロゲンに変換されます。このエストロゲンもまた、女性と同様に骨の健康に重要な役割を果たします。さらに、テストステロンは筋肉の成長と強化を促進し、強い筋肉が骨に適切な負荷をかけ、骨形成をサポートします。男性でも加齢に伴いテストステロンレベルが徐々に低下し、これが骨吸収を促進させることもありますが、女性と比較して性ホルモンの減少に伴う骨吸収の進行は緩やかです。

老化で鼻下が伸びる理由

ここまで読んだ読者なら、老化で鼻下が伸びる理由もお分かりでしょう。加齢で骨吸収が起こるからです。上顎骨(下記イラスト参照)の骨が吸収されることで、鼻下が伸びます。このメカニズムについてはこれから詳細に深堀して説明します。

上顎骨の位置

赤い部分が上顎骨

画像はLife Science Databases(LSDB)のAnatomographyより

 

上顎骨の骨吸収について

上顎骨の骨吸収

イラストはChanges in the Facial Skeleton With Aging: Implications and Clinical Applications in Facial Rejuvenation; Bryan Mendelson, Chin-Ho Wong; Aesth Plast Surg (2012) 36:753–760より

 

上顎骨の骨吸収の結果、上記イラストの右側のような変化が起こります。骨吸収は骨全体で起こり、上顎骨全体の容量が小さくなりますが、この上顎骨の骨吸収に関して以下3点について解説します。

1.上顎骨で骨吸収が顕著な部位①

以前のブログ記事「避けられない加齢変化:大きくなる鼻」でも触れましたが、鼻を支えている基部の骨(上顎骨)で骨吸収が顕著に起こります。この結果下記イラスト①の部位の骨が消失していきます。これは医学的には梨状口(piriform aperture)の拡大といいますが、この部位が拡大すると、鼻の基部が広がり、それが鼻下の皮膚と皮下組織が後方に引っ張り、結果的に鼻下の長さを相対的に伸ばす結果となります。

2.上顎骨で骨吸収が顕著な部位②

上顎骨の骨吸収が顕著な部位としてさらに下記イラスト②の前鼻棘と呼称される鼻の中心の付け根部分です。この部位の骨吸収により鼻下は延べっとして平らになり、立体的な人中(鼻下と唇の間の盛り上がり)が平らになり、お年寄りの風貌になっていきます。

上顎骨の骨吸収の部位

3.全体に小さくなる

前述の2部位の骨吸収のほかに、実は上顎骨全体の容量が骨吸収で小さくなります。結果的に上顎骨の体積が顕著に減少します。体積が減少すると、上顎骨が後退し、鼻と上唇の間の距離が相対的に長くなります。

歯が命

ここからは上顎骨の骨吸収を予防して、鼻下が加齢で伸びることを予防する方法について説明します。昔からあるフレーズですが、加齢を予防するには「歯が命」です。逆に歯(歯列)の喪失が上顎の骨吸収に大きな要因となる理由は、歯と上顎骨の間に存在する相互作用と刺激の減少に関連しています。これについて以下に詳しく説明します

■咬合力の伝達

正常な状態では、物をかむ時に歯にかかる力は歯根を通じて上顎骨と下顎骨に伝達されます。この力は骨の健康維持に寄与し、骨の再生を刺激します。歯が失われると、この力の伝達が減少または失われ、骨には正常な刺激が行き渡らなくなります。

■骨のリモデリングの変化

歯がなくなると、上顎骨(または下顎骨)のその部分はもはや必要とされなくなり、骨が自然に再吸収されます。他の細胞と同様に代謝の一環で骨も常に吸収と再生を繰り返しており、これを骨のリモデリングといいますが、歯の消失により骨が吸収される現象は骨の再生と吸収のバランスが崩れた結果であり、結果的に骨量の減少につながります。

■上顎骨の形状変化

長期間にわたる歯の喪失は、顎の形状に変化をもたらすことがあります。特に上顎では、歯の喪失による骨の吸収は、顎の高さと幅の減少を引き起こすことがあります。

■機能的な変化

歯がないことで咀嚼機能が低下し、顎の骨に付着している筋肉も萎縮し、筋力が低下します。骨の維持には常にそれに付着している筋肉の筋力も非常に重要ですが、筋力の低下により、顎の骨は徐々に萎縮し、さらなる骨吸収を引き起こします。

 

以上の理由から、歯列の喪失は上顎の骨吸収に大きな影響を及ぼし、鼻下の長さや顔の全体的な形状や外観に変化をもたらします。そのため、歯の喪失を防ぐことが大事です。「歯が若さを保つための命」なのです。

 

上顎骨の骨吸収の予防方法

上顎骨の骨吸収に限ったことではありませんが、骨吸収を予防し、骨の健康を維持するためには、次のようなことを日常生活に気を付けると骨吸収の予防になります。

■健康的な食事

カルシウムとビタミンDが豊富な食品を摂取しましょう。これには乳製品、緑葉野菜、魚、豆類などが含まれます。これらは骨の健康に必要な栄養素を提供し、骨の強化と再生を助けます。

■定期的な運動

特に筋力トレーニングやウェイトベアリング(体重を支える)運動が有効です。筋トレ、ウォーキング、ランニング、エアロビクス、ヨガなどが骨密度を高めるのに役立ちます。

■禁煙

喫煙は骨の健康にも悪影響を及ぼすことは明らかにされています。喫煙が骨吸収に及ぼす影響は多岐にわたり、骨の健康に対して様々な負の効果をもたらします。まず、喫煙は体内のカルシウム吸収を阻害し、カルシウムの利用率を低下させることが知られています。また、喫煙はエストロゲンなどのホルモンのレベルを低下させることもあります。これにより、特に女性では骨密度がさらに低下します。さらに研究によると、喫煙は破骨細胞(骨を分解する細胞)の活動を促進する可能性があります。これにより、骨の再吸収が加速され、骨密度が低下します。従って、禁煙は骨の健康を維持するために非常に重要です。
■アルコールの過剰摂取を控える

過度のアルコール消費は骨の健康を害する可能性があります。アルコールの過剰摂取は、破骨細胞の活性増加、カルシウム代謝の悪化、ホルモンバランスの変化、肝機能障害、栄養不良などにより骨吸収を促進し、骨密度の低下につながります。骨の健康を維持するにはアルコールの摂取を適度に抑えることが重要です。

■適切な日光浴

適量の日光を浴びることで、体はビタミンDを生成します。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の健康に役立ちます。

■歯科検診の定期受診

定期的に歯科医を訪れることで、歯と歯茎の健康を維持し、早期に問題を発見し対処することができます。上顎骨の予防には、必要に応じてインプラントを検討することも得策です。

骨吸収予防には歯が大事

 

鼻下の悩みについて医療機関で治療可能なこと

■インプラントの有効性

インプラントは、失われた歯を補う有効な方法であり、上顎の骨吸収を予防するためにも意味があります。インプラントは天然の歯根のように機能し、咀嚼時に顎の骨に自然な圧力を伝達します。また、正常な咀嚼機能の回復により顎周囲の筋力も保たれるようになり、顎の骨への適切な刺激が保たれます。以上により、インプラントは骨吸収の予防となり、鼻下が伸びることも予防できます。ただ、歯列をしっかり保たれた状態でも、加齢による上顎骨の骨吸収は完全に防ぐことはできないことは近年の研究論文でも明らかにされています。

■ヒアルロン酸注入による骨格形成

骨吸収は老化現象なので、予防には限界があります。しかし、「鼻下が長くみえる」ことを防ぐことは可能です。それは現実に骨吸収がはじまった部位にヒアルロン酸を注入することで吸収前の組織のボリュームを保たせるようにすることです。これを筆者はヒアルロン酸による骨格形成と名付けています。ヒアルロン酸注入で「鼻下が長くみえる」ことの予防もできますし、実際に「鼻下が長くなってしまった」場合でも鼻の梨状口の基部や前鼻棘へのヒアルロン酸注入で骨格を形成して改善させることは可能です。また、アプローチを変えて唇にヒアルロン酸注入して、唇のボリュームを持たせることで、鼻下が長く見える状態を改善することも可能です。

骨格形成ヒアルロン酸ボリューマ

まとめ

「芸能人は歯が命」というフレーズは今40代以降のかたならよくCMからきいたのではないでしょうか?東幹久さんと高岡早紀さんが出演していた歯磨き粉のCMでした。歯は口周囲の老化に関しては非常に重要な役割をしています。実際、ご高齢でも歯列が保たれているかたは見た目も若く見えます。ガムをかんだり、硬いグミなどをたべたりして、咀嚼力を鍛えることは上顎の歯槽骨の強化になることにはエビデンス(医学的な証拠)もありますので、上顎骨の骨吸収や鼻下が伸びることの予防につながるかもしれません。また、この記事に記載した予防方法を是非実践してみてください。現時点ですでに「鼻下が長くなった」ことをお悩みなら美容外科でのヒアルロン酸注入も検討されるとよいと考えます。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。

【関連項目l】

加齢による顔の避けられない変化

避けられない加齢変化:大きくなる鼻

 

 

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2023/12/24

院長ブログトップ > 加齢による顔の避けられない変化

加齢による顔の避けられない変化

加齢による顔の変化

ある日それは突然気になるようになります。目が覚めて、女性なら鏡を映った自分の姿を見るとそれはかつての自分の母親、あるいは祖母が鏡で自分を見つめているように思えます。筆者自身も鏡に映る自分の姿が少し前に自分の父親の顔に近づいたように思えてきます。このように加齢による顔の変化は避けられません。最初に気付く顔の加齢的変化は、目の周りや眉間のしわ、目の下のクマ、顎のタルミなどです。

このような見た目の変化は、加齢とともに顔の皮膚の下で骨、筋肉、脂肪が日々に微妙に変化した結果、大きな変化として現れます。どのような変化が起こってしまうのかは、遺伝的要因が大きいですが、その速度は努力によってある程度は遅くさせることができます。

老化は生活習慣と環境によって大きく変化します。例えば、日焼け、喫煙、アルコールの過剰摂取などの生活習慣や暴飲暴食または栄養不足の食生活、ストレス過多や睡眠不足などの不健康な生活は、見た目年齢に大きな悪影響を及ぼします。

しかし、たとえ日焼け止めを常にまめに塗ったり、保湿を欠かさず行ったりする等ありとあらゆる努力をしても、または、親が見た目非常に若々しく見えるような遺伝的にラッキーを引いたとしても、加齢に伴う顔の変化を永久に避けることはできません。この記事では加齢による顔の変化について説明します。

骨格

たとえいくら牛乳を飲んで常に十分なカルシウムを摂取したとしても、年齢を重ねると骨は変化します。骨密度が十分で強固であるにもかかわらず、実は骨は少しずつ移動し、骨吸収で容量が少しずつ小さくなり、結果的に顔に大きな変化を引き起こします。顔面の骨の骨吸収により下顎の輪郭が後退し、結果的に二重顎と首のたるみを際立たせます。目の周囲の骨吸収により眼窩が広がると、目がくぼみます。また、骨吸収で眉下の骨の角度が減少すると、額のしわ、まぶたのたるみ、目尻のしわが生じます。

そして統計学的に判明していることですが、実は女性は比較的に若い年齢からこういった加齢変化が起こり始める一方、男性は中年以降からしか始まりません。

筋肉

骨吸収が起こると、それに続いて筋肉もボリューム、強さ、弾力性が失われます。顔の筋肉のゆるみと筋肉量の減少は、顔、特に頬のたるみの 2 つの主な原因です。筋力低下も、眉の周りや上まぶたのたるみの原因となります。筋肉量の減少は「七面鳥の首」と例えられる首のたるみの要因にもなっています。顔の筋肉量の低下は通常、40代から50代で起こりますが、早ければ30代半ばから始まります。また、筋肉が正常に機能している場合でも、筋肉が繰り返し動作することで皮膚に線が刻みこまれ、顔の老化につながります。

脂肪

赤ちゃんの顔は愛らしい丸くて、脂肪でいっぱいです。若い間は顔の脂肪は額、こめかみ、頬、目や口の周りなどに均等に分布しており、顔全体がかなりふっくらしています。しかし、40代半ばから、顔の脂肪はボリュームを失い始め、重力で下方に下がり、頬、顎、首の周りに集まります。これにより二重あごや頬のたるみが目立つようになります。また、脂肪の減少により若い間は滑らかで引き締まっていた皮膚も緩んでたるみ、かつては丸かった顔のパーツが陥没することもあります。また、脂肪の減少により皮膚が薄くなり、この結果、皮膚の透過性があがることで皮膚直下の血管が浮き出てしまい、これが、皮膚が変色したかのように見せることもあります。

頬の変化

遺伝による個人差は大きいですが、頬は加齢による顔の変化の中で最初に変化する部分の 1 つです。加齢で靭帯が緩み、脂肪組織が重力で下がり、かつてふっくらしていた頬は凹んだように見えるようになります。頬の皮膚が下がったように見えますが、実際はたるんで伸びています。

鼻の変化

鼻の軟骨を支える結合組織は加齢とともに弱くなり、鼻先が垂れ下がってしまいます。これにより、鼻の側面が内側に倒れ込み、呼吸が困難になる場合もあります。年齢を重ねるにつれて鼻周囲の骨の骨吸収が起こり、鼻が大きく広く見えるようになります。

目の変化

目回りの変化がアンチエイジングをしたいと思わせる最初のきっかけになるかたも多いです。まぶたの皮膚は非常に薄いため、加齢で皮膚が緩むと、上まぶたのたるみを生じさせます。そして更に加齢で目の周りの筋肉も伸びると、眼瞼下垂と言って、目を完全に開けることが難しくなることもあります。

一方、下まぶたでは頬との境界の脂肪が減少し、同時に皮膚が薄くなることで皮下の血管が目立つようになることで、目のクマが生じます。さらに目の下の脂肪が前方にふくらみ、皮膚のたるみと合わさって、顔が疲れて老けた印象を与えます。加齢によって目の形や大きさ自体は変わりませんが、加齢でまぶた、額、目のまわりがたるむことにより、目の形自体が変化したかのように見えることもあります。

唇の変化

唇の変化は早くから始まり、30代からハリと厚みを失い始めます。40代に入ると、口唇上にシワができ、加齢とともに深くなります。また唇の色も彩度が低下します。若い頃に喫煙したり、日焼けをガンガンしていた場合は、唇はかなり早い段階で老化が始まるとされています。

顎の変化

顎も他の顔のパーツと同様に全く加齢に抵抗できません。脂肪が顔の他の部分から下がってきて頬の下や下顎に沿って集まるため、頬の下部と顎の皮膚は引き伸ばされてしまい、皮膚にハリを持たせるコラーゲンやエラスチンが減少してしまいます。また、首の筋肉がたるみ始め、皮膚も一緒に下に引きずり込みます。その結果、二重あごや顎のたるみが生じます。

皮膚

40代に入ると、額、眉間、カラスの足跡と呼ばれる目の周りの笑いじわ等のしわが増えます。紫外線の影響で皮膚の変化の90%が引き起こされると言われています。50代では、この紫外線の影響による蓄積が顕著に現れはじめ、しわが深くなり、皮膚の弾力性を保つのに欠かせないコラーゲンやエラスチンの分解が顕著になります。女性では、50代になると閉経によりでエストロゲンが自然に減少し、皮膚が乾燥し、しわが深くなります。

まとめ

上述の変化は自然な加齢過程の一部ですが、時計を巻き戻したいかたには、さまざまな若返り治療があります。ボトックスやフィラーと呼ばれる皮膚充填剤などのダウンタイムが少ない若返り施術は、最も人気の美容手術です。また外科的なフェイスリフトや糸リフトも人気のある手術で、女性だけに限らず、近年に日本では多くの男性も受けています。その他のアンチエイジング治療には、上まぶたのリフト、下まぶたのたるみ取り、小鼻縮小手術などがあります。顔の若返り治療は、まだ老化を感じたくない女性や男性にとって、自信と外見への誇りを取り戻す強力な手段になり得ます。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。

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2023/11/22

院長ブログトップ > ウルセラの全貌:後遺症、危険性、副作用とガンリスクの真実

ウルセラの全貌:後遺症、危険性、副作用とガンリスクの真実

ウルセラは、非侵襲性のリフトアップ治療法として美容医療界ではその地位を確固たる地位を築いています。ですが、ウルセラのネガティブな側面ついて詳細に語られることはありませんでしたので、この記事についてはウルセラの後遺症、危険性、副作用とガンリスクについてまとめたました。

ウルセラの危険性

ウルセラとは

ウルセラは、非侵襲性の美容医療技術で、高密度焦点超音波(ハイフHIFU)を利用しています。この治療法は、皮膚の深層部に熱エネルギーを集中させ、コラーゲンの生成を促進させます。これにより自然なリフトアップ効果が現れ、たるみ、しわが改善します。1回の治療で1年以上が効果があると言われています。また、FDA(日本の厚労省に相当する米国の行政機関)の認可を受けているの唯一のハイフ機器であり、その安全性も高いと言われています。

ウルセラの副作用と後遺症 

●一般的に報告される副作用

ウルセラは通常、安全であるとされていますが、一部の患者には以下のような副作用が報告されています:

一時的な不快感や痛み:治療中や直後に感じられることがあり、通常は一時的なものです。この痛みは、超音波エネルギーが皮膚の深層に達した際に生じることが多いです。

皮膚の赤みと腫れ:施術後、皮膚が赤くなるか腫れることがありますが、これも通常は数時間から数日で自然に解消されます。

かゆみや刺激感:施術箇所に軽いかゆみや刺激感を感じることがありますが、これも一般的には一時的です。

これらの副作用は通常、軽度で一時的なものですが、体験する患者によっては不快感を与える可能性があります。

●ウルセラの重大な後遺症とその原因

ウルセラにおける重大な後遺症は非常にまれですが、以下のような症状が稀に報告されています:

皮膚の損傷や熱傷:治療が不適切に行われると、皮膚の深層にある組織に過度の熱が加わり、熱傷や損傷を引き起こす可能性があります。

神経損傷による口の違和感:非常にまれですが、顔面神経が損傷を受けることにより、話しにくい、食べにくい、口角の左右差など症状が出ることがあります。通常は1か月以内に治癒します。

これらの重大な後遺症は非常にまれですが、発生した場合は深刻な影響を及ぼす可能性があります。医師の技術と経験が、これらのリスクを最小限に抑える鍵となります。ウルセラを検討している方は、施術を受ける前に医療提供者としっかりと相談し、自身の健康状態やリスクについて十分に理解しておくことが重要です。また、施術後に異常を感じた場合は直ちに医療機関に相談することが推奨されます。

ウルセラの危険性

ウルセラは、通常は安全で効果的な方法とされていますが、ある程度のリスクが存在することも認識されています。

●ウルセラ治療に関する臨床研究

臨床研究によると、ウルセラ治療の一般的な副作用には皮膚の赤み、腫れ、痛みなどがあり、これらは通常、数時間から数日で自然に解消されます。重大な副作用は稀ですが、皮膚の損傷、熱傷、あるいは神経損傷による感覚の変化などが報告されています。

●専門家の意見

多くの美容医療の専門家は、ウルセラ治療が適切に実施される場合、その安全性と有効性を支持しています。専門家によると、ウルセラ治療のリスクは施の医師の技術や経験に大きく依存するため、経験豊富な医師による施術を受けることが重要です。

ウルセラとガンリスクの科学的証拠

ウルセラ治療がガンリスクを増加させるかどうかについての科学的証拠は、2023年時点で限られています。ガンリスクに関しては、ハイフ(HIFU)技術がガン細胞の増殖を促進する、あるいは新たながんを引き起こすという直接的な証拠は報告されていません。しかし、治療に関する長期的な影響については、さらなる研究が必要です。

●専門家の意見

多くの専門家は、ウルセラ治療がガンリスクを直接的に高めるという証拠は現在のところ見つかっていないと指摘しています。ウルセラ治療は、対象となる皮膚の深層部に限定して熱エネルギーを集中させるため、周囲の組織や細胞に影響を与える可能性は低いとされています。しかしながら、専門家の中には、ウルセラ治療の長期的な影響について更なる調査や研究を求める声もあります。

結論

ウルセラ治療は、多くの場合、安全かつ効果的なリフトアップ治療ですが、潜在的なリスクや副作用については十分な理解が必要です。また現時点で、ウルセラ治療が直接的にガンリスクを増加させるという科学的証拠は確立されていません。患者は、施術を受ける前に医師とリスクや期待できる結果について十分に話し合うことが望ましいです。また、施術を行う医療機関の選択や、医師の資格や経験にも注意を払う必要があります。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。ウルセラは日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

【関連項目】

ウルセラのご相談はこちら

ウルセラの効果が分かる最新のエビデンスと医学論文

ウルセラは老けるのか?適切な治療間隔とは?

ウルセラは値段が安いほうがいい?

若返りの秘訣:ウルセラとハイフによる最先端リフトアップ治療

ウルセラとハイフの違いを徹底解説

 

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2023/11/21

院長ブログトップ > ウルセラは老けるのか?適切な治療間隔とは?

ウルセラは老けるのか?適切な治療間隔とは?

インターネット上で一部に広がるウルセラ治療に関する誤解について、詳細に解説します。

特に、ネット上ではウルセラを高頻度に受けると余計に老けるという噂に焦点を当て、いくつかの視点から詳しく解説します。

ウルセラが老けるかについて

ウルセラの過剰な使用と老けるリスク

ウルセラ治療は、自然にたるみを解消する非常に効果的な方法です。しかし、治療を短期間に何度も行うことは、必ずしも効果を高めるわけではありません。特に3ヶ月未満という短期間で連続して治療を行うと、SMAS筋膜に過度なダメージを与え、コラーゲンの再生が間に合わない可能性もあります。これにより肌の弾力が失われるという悪影響を与える恐れがあります。これが、高頻度のウルセラが老けると言われる原因の一つです。個々の肌の状態やたるみの状態に合わせて適切な治療間隔でウルセラを受けることが、ウルセラの高い効果を得るためのポイントです。

ウルセラは間違った部位に照射すると老ける

ウルセラの間違った照射でも老けて見えるようになる可能性はあります。それはコメカミの部分です。コメカミは顔の中でもかなり皮下組織が薄い部分であり、この部位を4.5mmのハンドピースで短い期間のうちに高頻度に照射すると、筋膜が自体菲薄化して、コメカミがこけた状態になります。コメカミの凹みは加齢で起こってしまうことですが、ウルセラ照射がコケを加速してしまう可能性があります。解剖学の知識があるドクターなら通常コメカミのへのウルセラ照射を避けることが多いです。

ウルセラが適用でないと老ける?

ウルセラ治療は万能ではなく、すべての人にご満足できる効果があるわけではありません。一部の人には効果が感じられないかもしれず、その場合、過剰な施術は推奨されません。効果が不十分であれば、残念ながら「老けた」と感じることもあるかもしれません。ウルセラが自分に合わないと感じた場合は、他のリフトアップ治療や、ヒアルロン酸注入などの異なるアプローチを検討することも一つの選択です。またウルセラを治療する前にウルセラに求める期待値と実際の効果の予想値が合致しているのか、十分に事前にドクターと話すことが重要です。

ウルセラの効果的な受け方とは

ウルセラ治療を最大限に活用するためには、適切な間隔での施術が重要です。通常、半年から1年に1度の治療が推奨されています。ウルセラは治療直後から効果は現れ、1~2か月後にはコラーゲンの再生と相まって最大の効果が現れます。その後も効果は続きますが、6ヶ月を過ぎると徐々に効果は薄れ、1年以上経過すると自然に元の状態に戻ります。ウルセラの長期的な効果を維持するためには、ピークが過ぎた後、完全に効果が薄れる前に再度治療を受けることが推奨されます。

年代別ウルセラの取り入れ方

■20代でのウルセラは早すぎる?

20代でもウルセラ治療を受けることは可能です。20代でたるみが気になる原因は、過度なダイエットによる体重の激しい増減や過度な美容外科への依存などが考えられます。多くの場合、この年代では状態が深刻でないため、フォトシルクプラスなどのIPLを使用した機器による肌のメンテナンス目的での治療が十分に効果的です。しかしながら、20代でウルセラ治療を受けるのが早すぎるかというと、必ずしもそうではありません。より高い効果を求める場合や、早めにアンチエイジングを始めたいという強い希望がある場合は、ウルセラ治療を推奨します。

■30代でのウルセラ開始はベスト!

30代は、たるみ治療を開始するのに最適な年代と言えます。ウルセラはこの年代において最も適した治療法の一つであると断言できます。通常、30代の中頃になると、多くの男女が自分の顔の輪郭やシルエットに変化を感じ始めます。例えば、鏡やガラスに映った自分の顔が老けて見えたり、顔の形が以前と異なって四角くなったように感じたりすることがあります。老化を完全に止めることは不可能ですが、ウルセラを利用して老化の進行を緩め、若々しさを保つことは可能です。30代からたるみ治療を始めることで、10年後の見た目年齢に顕著な差を実感することができるでしょう。

■40代と50代のウルセラ治療

40代と50代は、ウルセラ治療を受ける人が最も多い年代です。この時期の治療は、特に効果が実感しやすくなっています。理想的には、1年に一度程度のペースでウルセラ治療を受けることが推奨されており、これにより、同年代の他の人よりも5~10歳若く見える可能性があります。定期的なウルセラ治療は、この年代の顔のたるみや皮膚の弾力性の低下を効果的に抑える手段となり得ます。

■60代以降のシニア世代のウルセラ治療

現在、多くのシニア世代、特に60代の方々がウルセラ治療を受けています。60代以降になると、ウルセラ治療の熱ダメージからの回復に時間がかかることや、効果の持続期間が以前に比べて短くなるという報告があります。たるみの状態は日々変化し、同じ治療法に永遠に満足することは難しいです。過去に満足していた治療に違和感を感じた場合は、現在の自分の状態に合った治療法を再検討することが重要です。ウルセラ治療を無理に継続するのではなく、他のリフトアップ治療への切り替えを検討することも良いでしょう。

まとめ

ウルセラは、信頼できる医療機関で適切な方法と間隔で行えば、「余計に老ける」など老化を加速することはありません。重要なのは、自分に必要な治療を正しく取り入れることです。また、治療する前にご自身が求める期待値と実際の効果の予想値が合致しているのか、十分に事前にドクターと話すことが重要です。これはウルセラに限らず、美容医療全般に当てはまるアドバイスです。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。ウルセラは日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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若返りの秘訣:ウルセラとハイフによる最先端リフトアップ治療

ウルセラとハイフの違いを徹底解説

 

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2023/11/19

院長ブログトップ > 若返りの秘訣:ウルセラとハイフによる最先端リフトアップ治療

若返りの秘訣:ウルセラとハイフによる最先端リフトアップ治療

ウルセラとは何か?:リフトアップ治療の新標準

ウルセラは、最新の非侵襲的リフトアップ治療技術です。高密度焦点式超音波エネルギー(ハイフ)を使用し、皮膚の深部に熱エネルギーを集中させることで、自然な若返りを促進します。この技術は、外科的手術に頼らずに顔や体のたるみを効果的に改善し、自然なリフトアップ効果を提供します。治療は短時間で行われ、ダウンタイムもほとんどありません。ウルセラは、忙しい日常生活を送る人々にとって理想的な選択肢と言えるでしょう。

 

ウルセラの歴史とその進化

ウルセラはアメリカで開発されました。ウルセラの開発者は、前身の会社で、肝臓腫瘍の画像診断と除去治療を同時に行える医療器械の開発を行っていました。このとき研究していた「見ながら治療する」という技術を美容医療にも活用したいという想いが、ウルセラ社設立のきっかけです。 その後、器械の開発段階より、ハーバードメディカルスクール、マサチューセッツ総合病院などをはじめ、アメリカにある数々の医療研究機関で臨床実験を繰り返し、有効性や安全性を立証しました。こうして誕生したのが、「超音波による唯一のリフトアップ治療」を可能としたウルセラです。開発までに何万件もの臨床実験を重ねた結果、有効性や安全性が立証され、FDA(日本の厚労省に相当する米国の行政機関)で初めて「Eye brow lifting(=眉毛のリフトアップ)」の効果がある医療器械として認められました。さらに2012年には「首とあご下のたるみ治療」の効果、2014年には「治療中の組織層を視覚化するための機器」として、 FDAに承認されました。

ウルセラの効果:なぜこれほど人気なのか

ウルセラがこれほど人気なのは、その高い安全性と顕著な効果にあります。ウルセラは、皮膚の深い層と浅い層のそれぞれに正確に熱エネルギーを届けることができるため、顔の特定の部分にリフトアップ効果を与えることが可能です。これは他の表面的な治療法では達成できない深い層の改善を意味しています。また、ウルセラの効果は長期間持続し、一度の治療で数年間の若返りを実現できるため、コストパフォーマンスにも優れています。

ウルセラ治療の基本原理

ウルセラでは高密度焦点式超音波エネルギーを集束させ、分子レベルの摩擦熱により選択的にSMAS(表在性筋膜)上層部に熱変性を起こさせることで、SMASを収縮させ、上に引き上げます。高密度焦点式超音波エネルギーでは、エネルギーを1点に集中させ焦点部を破壊します。レーザーとは違い皮膚表面に吸収されない為、皮膚にダメージを及ぼすことなく、焦点のあった部位のみを変性させます。

●高密度焦点式超音波エネルギーとは

高密度焦点式超音波エネルギーとはHIFU(ハイフ=High Intensity Focused Ultrasound)のことで、超音波エネルギーを約1㎣程度の部位に集中させ、目的の場所だけを加熱する治療法を高密度焦点式超音波治療法といいます。HIFUには、超音波が集中して当たる部分だけが高温になり、他の組織にはほとんどダメージを与えないという特徴があります。ハイフは、前立腺ガンなどの腫瘍手術、婦人科の治療などにも幅広く採用されています。そして、このようなハイフの技術を活用し、たるみ解消を目的とした美容医療器械として開発されたのが「ウルセラ」です。

ウルセラ原理

●リフトアップ効果の具体的なメカニズム

ウルセラの施術では密度の深度を施術中に調節します。深度は4.5mm、3.0mm、1.5mmの3段階のハンドピースにより調整が可能で、4.5mmでSMAS上層、3.0mmで皮下組織、1.5mmで真皮の中を狙います。SMASだけではく、真皮深層・皮下組織にも焦点を合わせ、皮膚の収縮も同時に行います。顔のたるみやシワなどの老化は、皮膚・皮下組織・筋膜などのあらゆる深さで起きますので、そのすべての層(深さ)を同時に治療することが理想的なアンチエイジング治療です。ウルセラは、同時に1.5mmと3.0mm、4.5mmの3層の深さを治療ができますので、理想的なアンチエイジング治療と言えます。

白く変わったところが、熱変性を起こしています。実際の組織でも、SMASでこのような変化が起こり、その結果、SMASが収縮し、上に引き上げられ、その修復過程で、コラーゲンが再生されるのです。

熱変性により、SMAS及び真皮がギュッと引き締まり、施術直後より引き上げ効果が実感できます。

施術直後より約1,2か月かけて、熱変性による真皮及び皮下組織の修復が始まります。この治癒過程で、大量のコラーゲンが時間の経過とともに再生成され、皮膚の厚みや弾力が増し、更なる引き上げ効果と小じわの改善効果をもたらします。

ウルセラとハイフの違い

ウルセラと他のハイフ治療の主な違いは、治療の精度と効果の深さにあります。ウルセラは、特に深い肌層に作用することで、より持続的なリフトアップ効果を提供します。

●他のハイフとウルセラの技術比較

他のハイフは一般に表皮近くの肌の引き締めに効果的ですが、ウルセラはより深い層に到達し、肌のたるみを根本から改善します。この深層への作用により、ウルセラは顔全体のリフトアップに優れた結果をもたらします。

●ウルセラのほうがおすすめする理由

他のハイフは集約できるエネルギー(パワー)が弱く、十分にSMAS筋膜を熱変性させることできません。ウルセラでは、SMAS筋膜に確実に高エネルギーを集約させることで、筋膜を収縮させます。ウルセラはたるみの改善において他のハイフ治療より明らかに優れています。

ウルセラ治療の流れ

初診当日の治療をご希望された場合、ご来院からお帰りになるまでの所要時間は60~90分程度です。

①カウンセリング

カルテと問診票をご記入後、医師による診察が最初にあります。「アンチエイジング」がご相談内容であった場合、適切な治療方法やアドバイスをさせていただきます。そして専門医がたるみの状態を診察します。治療を決断された場合は、当日の治療も可能です。

②洗顔

ウルセラを受ける前には洗顔をしていただき、メイクを軽く落としていただきます。

③ウルセラによるタルミ治療

ウルセラは30分程度の治療です。ジェルを塗りながら、ハンドピースを肌に当てて、照射していきます。1回の照射は3秒程度です。治療部位により異なりますが、通常この照射を250~350回程度行います。治療中は、痛みを伴います。痛みの感じ方は、個人差が強く、また治療部位により異なったりします。マスク麻酔をおすすめします。

④メイクしてご帰宅

 治療後は顔が少し熱くなりますので、治療直後は顔を少し冷やします。その後、洗顔をして終了です。ウルセラの終了直後は、たまに肌に赤みが少し出る程度で、腫れることはありません。直後にメイクをすることも可能です。治療が秘密の場合、ウルセラはダウンタイムがありませんので、周囲の人に気付かれる心配もありません。また、ウルセラは治療直後でも引き上がった効果は実感できますが、1~2ヶ月にさらに引き上がった効果をご実感いただけます。

ウルセラの安全性と副作用

ウルセラ治療は、高い安全基準を満たしていますが、いかなる医療処置にも副作用のリスクは存在します。ウルセラ治療における副作用は通常軽度であり、重大な合併症は稀です。

●ウルセラの安全性評価

ウルセラは、開発までに何万件もの臨床実験を重ねた結果、その安全性が確認されています。解剖の知識を十分に熟視した医師のよるウルセラであれば、極めて安全な治療です

●ウルセラの副作用とその対処法

ウルセラ治療後には一時的な赤み、腫れ、痛みが生じることがあります。これらは通常数日間で自然に軽減します。稀に皮膚の感覚に一時的な変化が生じることもありますが、これも通常は自然に回復します。副作用が続く場合や心配な症状がある場合には、速やかに医師に相談することが重要です。

ウルセラの痛み、ダウンタイムについて

ダウンタイムはほとんどありません。肌が弱い人や敏感肌の人は肌が赤くなり、ほてった感じになることはありません。その場合も。すぐにメイクも可能で、周囲に治療を受けたことを気付かれることも通常はありません。ダウンタイムがほとんどないのが、ウルセラの最大のメリットです。

治療後は打ち身のような軽い鈍痛を部位により感じることはあります。あご周辺で感じる場合があります。

ウルセラの効果

ウルセラは、開発までに何万件もの臨床実験を重ねた結果、有効性や安全性が立証され、FDA(食品医薬品局、日本の厚生労働省にあたる米国の行政機関)にも承認をうけている医療機器です。FDAで初めて「Eye brow lifting(=眉毛のリフトアップ)」の効果がある医療器械としても認められました。さらに2012年には「首とあご下のたるみ治療」の効果もFDAに承認されました。ウルセラの治療効果は受けた直後に実感することができます。ほうれい線は浅くなり、眉のラインが上がります。また、フェイスラインがシャープになります。さらに、治療直後より、SMAS、皮膚の再生が活発化されます。日を追うごとに、たるみは引き上げられます。治療の最大の効果が現れるのは、治療後約2か月です。治療効果は、約1年半~2年くらい持続されます。ウルセラには様々な効果があります。
●頬のたるみに対する効果

頬のたるみが引き上がることで、ほうれい線が浅くなります。

●上まぶたのたるみに対する効果

眉の上とコメカミに照射することで、上まぶたが確実に引き上がります。加齢とともに下がった瞼が引き上がることで、視界が広くなります。

●フェイスラインに対する効果

あご下とフェイスラインに照射することで、フェイスラインが引き締まり、フェイスラインがきれいに現れます。フェイスラインがきれい現れることで、痩身効果も実感できます。

●あご下と首のたるみに対する効果

あご下とフェイスラインへの照射で、あご下と首のたるみ・しわも改善が見られます。また、二重あごにも、改善効果は見られます。

●口元のたるみに対する効果

口元のたるみ(マリオネットライン)は、頬やフェイスラインと比較して弱いですが、効果は見られます。

●肌のハリ、毛穴

皮膚全体が引き上がることで、肌のハリ、毛穴の改善が見られます。

●小顔・痩身効果

加齢とともに頬のたるみが出るために、顔は四角なります。ウルセラで頬と顎のたるみが引き上がることで、輪郭がシャープになり、小顔になります。また、二重アゴが改善し、小顔効果と合わさって、痩身効果があるとも言えます。

ウルセラの症例写真

ウルセラ治療前

ウルセラ治療後3か月

上記ウルセラ治療前と治療後3か月の状態です。ウルセラ治療後はフェイスラインがシャープになり、マリオネットライン、ほうれい線が浅くなっているのが明らかです。

まぶたウルセラ治療前

 まぶたウルセラ治療後3か月

上記ウルセラ治療前と治療後3か月の状態です。ウルセラ治療後は瞼が引きあがったことでまぶたの腫れぼったさが改善しています。

ウルセラの満足度

多くの患者がウルセラ治療によって顔のリフトアップやしわの改善を実感しています。患者の中には、治療直後から肌の引き締め効果を感じた方もいれば、数週間後に徐々に変化を実感する方もいます。これらの体験談は、ウルセラがもたらす変化の実例として非常に有用です。1回のウルセラの治療後のアンケート調査によりウルセラのたるみ改善効果は、8割以上の方が「満足」という結果でした。逆を言えば「効果が感じられなかった」と回答されたかたはほとんどいませんでした。
 ウルセラは、フェイスリフト手術のように治療直後に劇的な効果が現れる治療でありません。施術直後もSMAS筋膜に収縮によりたるみが引き上がった実感はできますが、時間をかけてコラーゲンが再生成され、皮膚の厚みや弾力が増し、更なる引き上げ効果と小じわの改善効果をもたらすため、治療後2,3か月の方が治療効果をよりはっきりと実感できます。
 他のたるみ治療機器(サーマクール・タイタンなど)では効果がわからなかったが、ウルセラではたるみがよくなったことが明らかにわかったという回答もありました。
 また、従来の機器ではたるみが強い60代以上の方は無効でしたが、ウルセラはたるみが強いかたでも治療効果がはっきりと現れます。
 そして、何よりも高い評価をいただいた回答に「腫れない」という点でした。治療直後も全く腫れないのが、ウルセラの良さです。家族や近くにいる人たちに「ばれない」タルミ治療を受けたいかたにとって、ウルセラを最良の治療です。

ウルセラ治療に関する満足度調査では、多くの患者が高い満足度を報告しています。特に治療後の自然な見た目と長期にわたる効果に対する満足度が高く、多くの患者が再治療を希望するという結果も出ています。

まとめ

ウルセラは、その効果の高さ、安全性、そして手軽さから、今日の美容医療分野で注目を集めています。非侵襲的でありながら効果的なリフトアップを実現するウルセラは、年齢に伴う肌の変化に悩む多くの方々にとって、理想的な選択肢と言えるでしょう。美容外科クリニックを訪れる際は、この革新的な治療方法について一度相談してみる価値は十分にあります。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。ウルセラは日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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ウルセラとハイフの違いを徹底解説

 

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2023/11/18

院長ブログトップ > ウルセラとハイフの違いを徹底解説

ウルセラとハイフの違いを徹底解説

ウルセラvsハイフ

ハイフ(HIFU)は美容医療の分野で広く採用されており、日本国内だけでも数多くのメーカーにより20から30種類程度の機器が生産されています。これらの機器は、肌のたるみやシワの改善に効果があるため、手術を避けたい人にとっては魅力的な選択肢となっています。特に「ウルセラ」という機器は、ハイフ治療のパイオニア的存在であり、高いリフトアップ効果を提供することで人気を博しています。多くの医師が、ハイフ機器を「ウルセラ」と「売🄬セラ以外のハイフ」の2つのカテゴリに分けるほど信頼しています。

この記事では、ウルセラと他のハイフ機器との比較、さらにウルセラ以外の機器を使用する際の注意点に焦点を当てています。ウルセラと他の機器の特徴や技術、効果の持続期間などを比較し、あなたに最適な選択をするための情報を提供します。

ハイフとは

ハイフ(HIFU)は、その正式名称であるHigh Intensity Focused Ultrasound(高密度焦点式超音波)を略したものです。もともと前立腺がん治療に用いられていたこの技術は、後に顔のたるみ治療へと応用されました。ハイフ技術の中でも、特にウルセラは高い患者満足度(95%)を誇り、頬やおでこ、フェイスライン、まぶたなど多岐にわたる部位への照射が可能です。ウルセラは痛みを伴うことがありますが、出力やショット数を調整することで効果を最大化し、現在は痛みを軽減するための措置が積極的に取られています。

ウルセラ(Ultherapyの通称)は非侵襲的なフェイスリフト方法で、超音波エネルギーを用いて肌の深層を刺激し、コラーゲン生成を促進します。施術時間は30分程度で、ダウンタイムがほぼなく、効果は数ヶ月後に現れます。安全性が高い一方で、軽い不快感や赤みが出ることがあり、価格は比較的高めです。

一方、ウルセラ以外のハイフはメスを使わずに肌の張りを改善する美容医療治療で、お手頃価格ということも相まって、年々人気が高まっています。ウルセラと同様に焦点式超音波を用いて肌の深層部を温め、コラーゲンとエラスチンの生成を促進し、肌の引き締めやしわの改善を図ります。施術時間は30分程度で、ダウンタイムはほとんどなく、効果は数週間から数ヶ月後に現れます。施術中の軽い熱感やピリピリ感はありますが、通常安全です。価格はクリニックにより異なり、ウルセラよりも手頃です。

重要なのは、ウルセラがハイフ治療の一種であるということです。ハイフは肌の深層部を高強度の集中超音波で刺激し、コラーゲンの生成を促進する美容治療の総称です。ウルセラはハイフの中でも特に深い層を対象にしたマイクロフォーカス技術を使用しており、その結果、強力なリフト効果を提供します。

 

ウルセラの凄さとは

ウルセラはハイフ(High-Intensity Focused Ultrasound)治療の一形態であり、ハイフ(HIFU)とは肌の深層部を高強度の集中超音波で刺激し、コラーゲン生成を促進する美容治療です。ウルセラはこれらハイフ治療の中でも、特に深い層に焦点を当て、独自のマイクロフォーカス技術を用いて強力なリフト効果を提供します。

ウルセラは2009年にアメリカで発売されたハイフ機器で、その特徴は超音波の熱エネルギーを点状に照射し、肌の深部にダメージを与えることでたるみを引き上げることです。機器によって効果や持続性に違いがありますが、ウルセラはFDA(米国食品医薬品局)によってリフトアップ治療機器として承認されており、その効果と安全性が確認されています。FDAの審査は世界的にも非常に厳格であり、ウルセラがこの承認を受けていることは、その高い安全性と効果を示しています。ウルセラの臨床実験は、ハーバードメディカルスクール、マサチューセッツ総合病院など著名な医療機関で行われ、何万もの照射テストを経てその安全性が証明されました。ハイフの機器ではFDAの承認を得ているのはウルセラだけです。

ウルセラは、機器に付属するモニターを使用してターゲットにピンポイントで照射が可能です。ハイフ(HIFU)は高出力の熱エネルギーを1点に集中させるのですが、ウルセラのみが熱凝固点の形、大きさ、間隔を均一にすることができます。他のハイフ機器と比べ、ウルセラは高出力であるため、医師の技術が特に重要であり、施術が不適切だと肌に大きなダメージを与えるリスクがあります。

ウルセラの効果は半年から1年程度持続します。これは他のハイフ機器と比べて長期的で高いリフトアップ効果が得られることを意味しています。他のハイフ機器は出力が弱いものが多く、効果の持続期間も短いことが一般的です。

ウルセラの最大の特徴は、他のハイフ治療に比べて肌の深層まで効果がある点です。一般的なレーザー治療では表層から中間層のみに効果がありますが、ウルセラは肌の深層部まで超音波を届け、切らずにリフトアップ効果を実感させます。

 

ウルセラ以外のハイフについて

ウルセラ以外のハイフ機器に関する注意点について詳細を述べます。多くのクリニックがウルセラ以外のハイフ機器を取り扱っており、ウルセラの施術を受けられるクリニックが近くにない場合、他のハイフ機器での施術を検討する方もいるでしょう。

ウルセラ以外の代表的なハイフ機器にはウルトラセル、ダブロ、コントレックス、ウルトラフォーマー、ソノクイーン、ウルトラハイフ、スマスセラなどがあります。これらの機器はSMAS筋膜に作用し、たるみを根本から引き上げる効果がありますが、機器によって熱の強さや焦点の大きさが異なり、一般的に凝固点が大きいほど痛みは少なくなりますが、熱量が分散され効果が減少する可能性もあります。

ウルセラ以外のハイフ機器は、ハンドピースのアタッチメントが劣化している場合、予期せぬ出力低下が起こることがありますが、この出力低下を示す機能がない場合、効果のない施術になるリスクがあります。また、予定以上の高い出力で施術されることもあり、神経損傷ややけどのリスクも考慮する必要があります。ウルセラは出力のチェック機能が万全であり、他の機器の起こるトラブルは起こり得ないと言われています。

ウルセラの後発機器には、ウルセラに似せた名前や宣伝をしているものも存在します。これらのジェネリック品は、正規のウルセラの後継機であるかのように誤解を招く可能性があり、米国レーザー医学会から警告が発せられています。ハイフを検討する際は、施術を受ける機器が本当にウルセラかどうかをしっかり確認することが重要です。

エステサロンでのハイフ施術には特に注意が必要です。エステで使用されるハイフ機器は出力が弱く、医学知識を持たないエステティシャンが施術を行うことにはリスクが伴います。さらに、エステ用の機器では効果を感じられない可能性もありますので、安価や誇大広告に惑わされず、施術を選ぶ際には慎重に判断することが肝要です。そもそもエステのハイフはしばしば警察の摘発でネットニュースになっています。

 

ウルセラvsハイフ

ウルセラとハイフ(HIFU)はどちらも非侵襲的な美容治療でありながら、いくつかの顕著な違いがあります。ウルセラとハイフの主な違いは、使用目的、使用される技術、効果の持続期間、料金、および痛みや副作用の程度にあります。これらの違いを理解することで、個々のニーズに合った適切な施術を選択することができます。

以下で、これらの違いについて詳しく説明します。

■使用目的:

ウルセラ: 主にフェイスリフトに使用され、肌のたるみやシワを改善する目的があります。

ハイフ: 肌の引き締め、しわの改善、および肌のハリや弾力性の向上を目的として使用されます。

■使用される技術:

ウルセラ: マイクロフォーカス超音波を使用し、肌の非常に深い層まで届きます。

ハイフ: 高強度集中超音波を使用し、深層部を刺激するが、ウルセラほどの深さまでは届かない。

■結果と効果の持続期間:

ウルセラ: 約2-3ヶ月で効果が顕著になり、その効果は約1年以上持続することが一般的です。

ハイフ: 施術後数週間で効果が現れ、最大6ヶ月で通常3か月程度で効果がなくなる。

■料金:

ウルセラ: 一般的にハイフよりも高価。

ハイフ: ウルセラに比べて料金がやや手頃です。

■痛みや副作用:

ウルセラ: マスク麻酔がない場合、かなり痛みが強い。看護師の施術により神経麻痺を起こすことがある。通常では軽度の赤みが生じることがある。

ハイフ: 施術時の痛みはウルセラよりかなり軽い傾向。軽度の赤みが生じることがある。

ウルセラとハイフの違いに関するよくある疑問

Q1. ウルセラとハイフの施術で痛みに違いはあるのか?

A: 通常、ウルセラの施術はハイフよりも痛みを感じやすいとされています。これは、ウルセラが肌の深い層を対象とするためであり、ハイフの痛みは比較的軽いとされています。

 

Q2. ウルセラとハイフの効果の持続期間はどのくらいか?

A: ウルセラの効果は約2-3ヶ月後に顕著になり、通常は約1年以上持続します。ハイフの効果は施術後数週間で現れ、最大6ヶ月程度で効果がなくなります。ただし、これは個人の肌状態によって異なるので、どちらが適しているかは医師と相談して決めるべきです。

 

Q3. シワやたるみに対して、ウルセラとハイフはどちらが効果的か?

A: ウルセラは特にたるみに対して効果的で、リフトアップ効果が期待できます。シワの改善にはウルセラとハイフの両方が効果的ですが、ハイフはやはり効果が弱いとされています。

 

Q4. ウルセラとハイフの料金はどれくらい異なるのか?

 A: 一般的にウルセラはハイフよりも高価です。ウルセラは効果が長持ちするため、施術回数が少なくて済むことが多いですが、1回あたりの料金は高いです。ハイフはより手頃な価格で受けられます。

 

まとめ

ウルセラは、ハイフ(High-Intensity Focused Ultrasound)治療の一形態であり、特に深い層に焦点を当てたマイクロフォーカス超音波を用いることが最大の特徴です。これにより、ウルセラは肌のたるみやしわを根本から改善し、顕著なリフトアップ効果を提供します。一方、ハイフは肌の引き締めやしわの改善、肌のハリや弾力性の向上に効果的ですが、ウルセラほど深い層までは到達しないため、リフトアップ効果においてウルセラに劣ります。

ウルセラの痛みはハイフに比べて強いと感じられることが多いですが、これはウルセラがより深い肌層を刺激するためです。効果の持続期間についても、ウルセラは約1年以上と長持ちし、ハイフは3か月程度です。。料金に関しては、ウルセラは一般的にハイフより高価ですが、その分、施術回数が少なくて済むことが多く、長期的なコストパフォーマンスに優れています。

安全性においても、ウルセラはアメリカFDAによって唯一承認されたリフトアップ治療機器であり、世界中で100万件以上の実績があります。これは、その効果と安全性が厳格な基準に基づいて認められていることを意味します。他のハイフ機器と比較して、ウルセラは臨床実験を通じてその安全性が確立されており、信頼性が高い点が挙げられます。

以上の点から、ウルセラはハイフに比べて、より深い層の肌改善効果、長持ちする結果、安全性の高さという面で優位性を持っています。特にリフトアップ効果を重視し、長期的な結果を求める方には、ウルセラが適した選択と言えるでしょう。ただし、すべての美容治療は個々の肌の状態やニーズに応じて最適な治療法を選ぶことが重要です。経験豊富な専門医のアドバイスを受けながら決定するのが最善の方法です。

 

筆者:元神 賢太
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2023/11/17

院長ブログトップ > 若さを取り戻す鍵:美容外科のリフトアップ治療

若さを取り戻す鍵:美容外科のリフトアップ治療

美容外科でのリフトアップ治療は、現代におけるアンチエイジングの最前線と言えるでしょう。この治療は、皮膚のたるみやしわを改善し、より若々しい外見を取り戻すために用いられます。その効果は科学的にも実証されており、多くの人々がこの治療法に魅了されています。

リフトアップ

1.なぜリフトアップ治療が有効なのか?

リフトアップ治療は、加齢によって失われがちな肌の弾力とハリを取り戻すことに重点を置いています。この治療により、肌はより引き締まり、若々しい印象を与えることができます。また、しわやたるみが軽減されることで、自然な形で顔の若返りを実現します。

肌のたるみやしわは、肌のコラーゲンやエラスチンが減少することによって引き起こされます。リフトアップ治療は、これらの成分を増やすことにより、肌をより若々しく見せる効果があります。さらに、顔の輪郭を整え、顔全体の印象を改善する効果もあります。

治療方法には、非侵襲的なものから外科的な手術に至るまでさまざまなオプションがあります。非侵襲的な方法には、ウルセラをはじめとするハイフ治療や高周波を使用するものが含まれ、これらはダウンタイムが少なく、比較的短時間で施術が完了します。一方、外科的なリフトアップ手術や糸リフトは、より顕著な効果をもたらす可能性がありますが、回復には時間がかかることもあります。

2.定期的な治療の重要性

リフトアップ治療の効果を維持するためには、定期的な治療が不可欠です。時間の経過とともに肌は自然と老化していくため、定期的なケアによってその進行を遅らせ、長期的に若々しい外見を維持することが可能になります。

定期的な治療が加齢とともに大きな差になることをグラフで説明します。

見た目年齢表

上記は縦軸が見た目年齢、横軸が実年齢のグラフです。

リフトアップ治療を定期的に受けた場合が黒の波線です。エイジングケアをしなかった場合が赤の北線です。

例えば、30歳でこれまで何もリフトアップ治療を受けなかった場合は見た目の年齢も赤線分の30歳です。この時点でリフトアップ治療を受けた場合、見た目年齢が若くなります(ウルセラなら25歳程度になる可能性もあり)。年が経つにつれて、リフトアップ治療を受けた場合(黒線)も何もしなかった場合(赤線)も見た目年齢が加齢します。ですが、定期にリフトアップ治療を受けた場合で、例えば70歳を見た場合、50歳代後半の見た目年齢になる可能性もあることをこのグラフは指し示しております。

このグラフはあくまでもイメージですが、定期的なリフトアップ治療を受けることで、何もエイジングケア治療をしなかった場合と比較して、見た目年齢に大きな差を生み出す可能性があることが期待できます。

3.安全性と信頼性

現代の美容外科技術は非常に進歩しており、リフトアップ治療は安全かつ信頼性の高い方法として認知されています。適切な医師による施術は、リスクを最小限に抑えつつ、顕著な効果をもたらします。

美容外科でのリフトアップ治療は、医師の専門知識と技術に大きく依存します。経験豊富な医師による治療は、より安全で効果的です。治療を受ける前に、医師の経歴や実績を確認することが重要です。

治療前に医師と十分なカウンセリングを行い、期待する結果や可能なリスクについて理解することも重要です。個々のニーズや懸念に対して、医師が適切なアドバイスを提供することで、より安心して治療を受けることができます。

自信の回復と社会的な影響

見た目の若返りは、自信の向上にも繋がります。若々しい外見は、社会的な場面での印象を強化し、個人の自信にも大きな影響を与えます。この自信は、日常生活の質の向上にも寄与するでしょう。

自信の回復は、職場やプライベートでの人間関係にも良い影響を及ぼします。人々は自信のある人に惹かれる傾向があり、若々しい外見はその自信を高める助けとなります。

さらに、見た目が若返ると、新しい趣味や活動に挑戦する勇気が湧くこともあります。これにより、新しい友人を作る機会が増えたり、社会的な活動が活発になったりする可能性もあります。

まとめ

美容外科におけるリフトアップ治療は、見た目を若返らせるための効果的な方法です。この治療は、安全で信頼性が高く、定期的な施術によって長期的には大きな効果を得ることが可能です。若々しい外見は、自信と社会的な影響をもたらし、人生の質を向上させる重要な要素となり得ます。

美容外科によるリフトアップ治療は、単に外見を若返らせるだけでなく、内面的な自信と生活の質の向上にも大きく寄与する、今日のアンチエイジングにおける重要な一環と言えるでしょう。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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ウルセラとハイフの違いを徹底解説

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2023/11/16

院長ブログトップ > ハイフと糸リフトを徹底比較

ハイフと糸リフトを徹底比較

ハイフvs糸リフト

年齢と共に増えるお肌のたるみは、多くの人が抱える悩みです。特にマスク生活より開放されて、人との交流機会の再開したことより、ほうれい線や二重アゴが気になることが顕著になってきています。この問題に対応するため、多くの人がリフトアップ効果を求めています。市場にはリフトアップを目指すスキンケア製品やマッサージ用具が溢れていますが、セルフケアだけでは満足のいく変化は多くの場合感じることができません、

従来、小顔を目指す美容施術としては、切開リフトアップが知られていました。これは皮膚にメスを入れて引き締め、縫い合わせて固定する方法ですが、ダウンタイムや傷跡が問題となることがあります。対照的に、最近注目されているのが、糸リフトとハイフという、体への負担が少ない施術方法です。これらは美容外科などで受けることができ、より手軽にリフトアップ効果を期待できます。

本記事では、たるみ改善のためのハイフと糸リフトに焦点を当て、特に吸収性の糸を用いた糸リフトとハイフの比較について解説します。これらの施術は、切開リフトアップに比べてダウンタイムが少なく、傷跡の心配も軽減されるため、多くの人に選ばれています。

ハイフとは

「HIFU(ハイフ)」は「High Intensity Focused Ultrasound」の略称で、「高密度焦点式超音波療法」と呼ばれます。この技術は超音波の熱エネルギーを用いて、ダメージを修復するためにコラーゲンの生成や修復が行われる生体反応を利用しています。これにより、肌表面に直接的な負担をかけることなく、非侵襲的なリフトアップが可能になります。この方法は「切らないフェイスリフト」とも呼ばれ、たるみ治療に用いられます。

皮膚は表皮、真皮、皮下脂肪の3層で構成されていますが、その下にはSMAS層と筋肉層があります。SMAS層は、皮膚を支える重要な筋膜です。ハイフはこの深い層に熱刺激を与え、たんぱく質を凝縮させ細胞を引き締めることでリフトアップ効果や小顔効果をもたらします。また、浅い層へのアプローチにより、目元の小じわの改善や肌のハリ、弾力の向上などの効果が期待できます。

ハイフ(HIFU)のメリットとデメリットは、使用される機器の種類によって異なります。医療機器からエステサロン用の出力を抑えたタイプまでさまざまですが、基本的にダウンタイムはほとんどなく、施術後すぐにメイクをすることが可能です。一方で、施術内容や出力の程度により、筋肉痛のような痛みが2〜4週間程度残ることもありますが、時間とともに軽減します。デメリットとしては、肌の乾燥や紫外線の影響を受けやすくなることが挙げられます。施術後は保湿と紫外線対策が重要です。効果は施術後1〜3ヶ月で最も顕著になり、1回の治療で1年以上継続することが多いですが、効果は永続的ではありません。

糸リフトとは

糸リフトは、切開手術を伴わないリフトアップ治療で、様々な種類の糸を用いて行います。糸リフトには大きな分類として「溶ける糸」と言われる吸収性の糸「溶けない糸」と言われる非吸収性の糸があります。スプリングスレッドなどの「溶けない糸」は切開するフェイスリフトと同等の効果があるので、ここではよく比較される吸収性の糸「溶ける糸」のみについて言及します。

溶ける糸リフトでは吸収性の「溶ける糸」を皮下に挿入し、たるみが気になる部位を引き上げることでリフトアップを実現します。この治療法は、体内に吸収される糸を使用するため、身体への影響は少なく、安心して施術を受けることができます。

糸リフトは、専用の糸を皮膚の下に通すことで、メスを使用せずにたるみを改善します。治療に用いられる糸は体内で吸収される構造となっています。糸を使って皮下組織を引っ掛け、土台からリフトアップし、フェイスラインを整えます。さらに、糸リフトはリフトアップ効果だけでなく、美肌効果も期待できる点が特徴です。糸の挿入によってコラーゲンやエラスチンの生成が促され、肌のハリや弾力、潤いも向上すると言われています。

糸リフトの施術は約20〜30分で完了し、局所麻酔や静脈麻酔を使用して行われます。施術後の抜糸や通院の必要はありません。ダウンタイムは短く、施術後には軽度の腫れや痛みが生じることがありますが、通常2日から1週間程度で軽減します。内出血や赤い点状の針穴が見られることもありますが、メイクでカバーすることが可能です。溶ける糸リフトの効果は永続的ではなく、糸の種類にもよりますが、通常1年程度で体内に吸収されます。ただし、効果の実感は糸が分解し始める3ヶ月程度で薄れることもあります。溶ける糸リフトを検討する際は、これらの点を考慮することが重要です。

 

ハイフvs溶ける糸リフト

ハイフと溶ける糸リフトのどちらがよいのでしょうか。ここでは、ハイフと吸収性の溶ける糸リフトの比較を行います。

●効果が現れるタイミング:

ハイフ:施術後から徐々にリフトアップが感じられ、約2ヶ月後にはフェイスラインの改善が顕著になります。

吸収性糸リフト:施術直後からリフトアップが感じられます。

●効果の持続性:

ハイフ:ハイフの中でも効果が最も強いウルセラの効果は1年以上と言われています。

吸収性糸リフト:効果は1~3ヶ月と言われています。

●肌の引き締めと美肌効果:

ハイフ:肌は照射後に一時的にダメージを受け、その回復過程でコラーゲンやエラスチンが生成され、肌のハリや潤いが改善します。毛穴の引き締め効果もあります。

吸収性糸リフト:糸が吸収するまでの3か月間はコラーゲンやエラスチンが生成され、肌のハリや潤いが改善します。

●脂肪燃焼効果:

ハイフ:特に二重あごなどの難しい脂肪部分に効果的です。高い熱エネルギーで脂肪細胞を破壊し、フェイスラインをスッキリさせ、小顔効果が期待できます。

吸収性糸リフト:脂肪に対する効果はありません。

●ダウンタイム:

ハイフ:ほとんどないが、機器によっては2,3日の浮腫みがでることがある。

吸収性糸リフト:糸によりますが、最大施術後約1週間は腫れや痛みが生じることがあります。

ハイフは肌の引き締め、美肌効果、脂肪燃焼効果があり、ダウンタイムがほとんどなく手軽に施術が可能です。一方で糸リフトは即効性がありますが、ダウンタイムや効果の持続期間に留意する必要があります。自身のニーズに合わせて、最適な治療法を選ぶことが重要です。

まとめ

ウルセラはリフトアップ治療の中でも顕著な効果を発揮することで知られています。これを踏まえると、特に吸収性糸リフトと比較した場合、ウルセラの方が長期的な効果を期待できるためおすすめです。溶ける糸リフトは、その効果の持続期間が短いことが欠点として挙げられます。多くの場合、施術後約1か月で効果が減少し始めるという声も多いです。

一方、ウルセラは施術直後からリフトアップ効果を実感でき、その効果は1~2か月後にさらに顕著になります。ウルセラによるリフトアップ効果は1年以上持続することが多く、施術の持続性に優れています。

ウルセラの特徴は、高密度焦点式超音波を用いてSMAS筋層に直接アプローチし、たるみの原因に働きかけることです。この深層部への正確な熱エネルギーの照射は、肌の自然な修復プロセスを促進し、コラーゲンやエラスチンの生成を刺激します。このため、ウルセラは肌のハリと弾力を自然に回復させ、若々しい外観を長期間保つことができます。

ウルセラはFDAに認可された安全な治療法であり、その安全性と効果は科学的な研究によって裏付けられています。施術に関するダウンタイムは最小限で、日常生活への影響も少ないため、忙しい現代人にとっても手軽な美容治療の選択肢と言えるでしょう。

糸リフトに比べてウルセラは、施術後のダウンタイムが少なく、即効性と持続性のバランスが取れています。特に吸収性の糸リフトと比較すると、ウルセラの持続性の高さは際立っています。吸収性の糸リフトでは、一時的なリフトアップ効果は得られますが、その効果は数ヶ月で減少するため、長期的な改善を求める場合はウルセラが適していると言えます。

ウルセラの施術は、フェイスラインの引き締めだけでなく、小じわやほうれい線の改善、肌の弾力の回復など、多面的な美容効果をもたらします。これらの点を踏まえると、ダウンタイムが少ないリフトアップ治療を検討している方には、ウルセラを強くおすすめします。この施術は、安全性、効果の持続性、美容への全体的なアプローチの点で優れており、溶ける糸リフトと比較してもその優位性は明らかです。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。切らないフェイスリフトと言われるウルセラは日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。また、第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。

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2023/11/15

院長ブログトップ > スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術について

スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術について

美容外科の分野では常に新しい技術が求められています。フェイスリフト手術も例外ではありません。2016年から、筆者は伝統的なフェイスリフトにスプリングスレッドを併用することで、患者さんのさらなる満足を追求し続けています。この革新的な手法により、従来の手術の限界を超えた結果が期待できるのです。

 

伝統的なフェイスリフト手術とは

伝統的なフェイスリフト手術は、皮膚の切除とSMAS筋膜の処理に重点を置いています。SMAS筋膜(Superficial Musculoaponeurotic System)とは、皮膚と筋肉の間にある薄い組織の層です。この筋膜の引き上げがフェイスリフト手術において非常に重要とされています。伝統的なフェイスリフト手術の手術時間は1.5~4時間程度で、皮下の剥離範囲が限定的なので、手術後の腫れは比較的少ないの長所と言えます。一方、フェイスラインはしっかり上がりますが、いわゆるMalar fat padと言われる頬の脂肪の挙上が不十分となり、鼻唇溝への効果が弱いとされています。Malar Fat Padとは頬のボリュームを司る脂肪組織で、頬の高い位置に存在する脂肪の塊です。Malar Fat Padは特に若々しさの象徴とされております。年齢とともにこの脂肪の位置が下がることで、顔のたるみや深い鼻唇溝が形成される原因となります。

Malar Fat Pad

※上記写真の黄色枠部分がMalar Fat Pad。伝統的なフェイスリフト手術ではこの領域の効果が弱い。

根治的なフェイスリフト手術とは

伝統的なフェイスリフト手術の弱点を克服した根治的なフェイスリフト手術というのがあります。伝統的なフェイスリフト手術と同様に皮膚切除とSMASの引き上げを行いますが、Retaining ligament と言われる靭帯も剥離したうえで、牽引します。Retaining ligamentとは顔の筋肉や皮膚を骨に固定している靭帯の一種で、この靭帯まで剥離することで、Malar fat padも引き上げることが可能となります。根治的なフェイスリフト手術は、Malar fat pad(頬の脂肪)の挙上がしっかり上がり、鼻唇溝の挙上効果も高く、フェイスラインもしっかり上がります。一方、Retaining ligamentは顔の中央近くにあるため、広範な剥離が必要となり、手術時間も6~12時間と長時間となります。また、手術後のダウンタイムは各段に長くなります。通常は術後大きな腫れが約1か月以上となります。また手術時間が非常に長いため手術代金もかなり高額となります。

retaining ligament

 

※上記イラストのようにRetaining ligamentは多数あり、これを根治的なフェイスリフトは剥離する必要がある

元神式フェイスリフト手術:短所を克服し長所を融合

元神式フェイスリフト手術では、糸リフトで使用されているスプリングスレッドを利用します。スプリングスレッドとは、フランスのファースト・サージコンセプト社によって製造され、2007年から使用されている非吸収性の糸リフトによるリフトアップ専用糸です。この糸の最大の特徴は、4方向に突起があり、他の糸リフト用の糸よりも強力な固定力とリフトアップ力を持っている点です。非吸収性であるため、効果の持続性にも優れています。

元神式フェイスリフト手術では、スプリングスレッドを併用し、伝統的なフェイスリフトでは難しかったMalar fat padの挙上を実現しています。この方法により、根治的なフェイスリフト手術と同様の効果が実現できる上、手術時間やダウンタイムは伝統的な方法と変わらないという画期的な利点があります。しかも根治的手術と比較して手術費用もリーズナブルです。

元神式フェイスリフトの安全性と効果

2011年8月から約200人の患者にスプリングスレッドを使用してきた経験を持つ筆者は、その安全性と高い満足度を誇っています。切開によるフェイスリフト手術で満足できなかった方も、元神式フェイスリフト手術を受けることで、期待以上の効果を得ることができるでしょう。

元神式フェイスリフトの症例写真

フェイスリフト手術前

↑元神式フェイスリフト治療前

フェイスリフト手術後

↑元神式フェイスリフト治療後1年。

まとめ

元神式フェイスリフト手術は、伝統的かつ根治的なフェイスリフトの良い面を併せ持ち、リスクやダウンタイムを最小限に抑えつつ、最大の効果を求める方に最適な選択です。この記事が、スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術に関心のある方々への貴重な情報源となり、より多くの方への正しい知識の普及に寄与することを願っています。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。

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2023/11/14

院長ブログトップ > 一番効果がある糸リフトとは

一番効果がある糸リフトとは

効果がある糸リフト

糸によるフェイスリフト治療が人気です。糸リフトやスレッドリフトと呼ばれている治療です。糸リフトとは、糸を挿入して、たるみ、しわ、肌のハリを改善して、フェイスラインをシャープにする引き上げ治療の総称です。糸の種類にはさまざまあり、治療を検討される場合はこの種類の多さが選択を迷う要因となっています。ではどのような糸があるのか、それぞれの特徴を解説します。

 

短い糸vs長い糸

糸の長さには10㎝弱の短い糸と20㎝以上の長い糸とがあり、目的により糸の長さが異なります。

■短い糸

短い糸はショートスレッドと呼ばれており、コグと呼ぶれる皮膚を引っかけるトゲなどの出っ張りがなく、滑らかな糸の形状です。ショートスレッドはたるみの引き上げを目的としておらず、糸が挿入されることで糸のまわりにコラーゲンが生成され、それが肌のハリをもたらす効果を狙っています。肌のハリや小じわの改善が目的です。通常30~50本程度の数を一度の施術で挿入します。

ダウンタイムについてですが、短い糸は構造上滑らかなので糸が細く、挿入時の針の太さも細くてすみます。このためダウンタイムも極めて短いのが特徴です。ダウンタイムがとれないかたに向いています。

■長い糸

長い糸は皮膚や皮下組織を引っかけるトゲやコーン(コグ)があり、糸の張力でたるみを引き上げます。物理的にたるんだ皮膚や下がった脂肪を引き上げるのが目的です。また、皮膚がひきあげることで皮膚のハリもでます。ショートスレッドと同様に糸のまわりにコラーゲンが生成される効果はあります。通常8~12本程度の数を一度の施術で挿入します。

ダウンタイムについてですが、長い糸は構造上コグが付いてるので、必然的に挿入時の針の太くなります。このためダウンタイムが長くなります。1週間程度になることもあります。

吸収性vs非吸収性

糸の素材は医療用の素材でできており、挿入後分解されてなくなってしまう吸収性の「溶ける糸」と糸が分解されずに留まっている非吸収性の「溶けない糸」の2つに分けられます

■吸収性の「溶ける糸」

吸収性の糸の原料にはPDO、PLLA (PLA) 、PCLの3種類があります。日本語名はそれぞれポリジオキサノン、ポリ-L-ラクチド(ポリラクチド)、ポリカプロラクトンです。

PCL>PLLA (PLA)>PDO(PDS)の順番で持続性が長いと言われていますが、効果に大差はないというのが通説となっております。それぞれの商品には下記のような製品があります。

PDO:ショッピングリフト、リードファインリフト

PLLA (PLA): VOVリフト、ハッピーリフト、Zリフトコラーゲンリフト

PCL: アンカーMax

■非吸収性の「溶けない糸」

非吸収性の糸の原料にはポリプロピレン、シリコン、金の3種類があります。体内に異物が残ることに不安を感じるかたも多いですが、糸はいずれも医療用の素材として長い歴史を持つので、安全性は高いと言えます(金を除く)。

ポリプロピレン:アプトスミラクルリフト

シリコン:スプリングスレッド

金:金の糸

長さと吸収・非吸収での分類

■短い糸+吸収性

ショッピングリフト、リードファインリフトコラーゲンリフト

短い糸+非吸収性

金の糸

長い糸+吸収性

VOVリフト、ハッピーリフト、ZリフトアンカーMaxシルエットソフト

長い糸+非吸収性(ポリプロピレン製)

ミラクルリフトアプトス

長い糸+非吸収性(シリコン製)

スプリングスレッド

糸を選ぶポイント

真偽が不明な情報がネット上に溢れ、どの糸を選ぶかは非常に迷うかと思います。選ぶ基準は下記の2つのポイントを基準に選択されることをおすすめします。

たるみを引き上げたいか、肌のはりが欲しいだけか

1年以上効果を望むか、数か月での効果でよいか

たるみを引き上げるのは長い糸のみ

たるみを引き上げるのは長い糸しかありません。ショートスレッドはそもそもたるみを引き上げる目的では作られていません。

1年以上効果があるのは非吸収性糸のみ

1年以上効果があるのは非吸収性の糸しかありません。吸収性のPCL(ポリカプロラクトン)は持続性が2年間と宣伝していますが、糸の張力自体は糸が分解されて3~6か月程度でなくなるため、効果も同じ期間でなくなります。

肌のハリ目的では短い糸

肌のハリが出れば十分であれば、吸収性の短い糸がよいです。長い糸は少ない糸の本数でたるみを引き上げる目的で設計されているため、肌のハリを出す場合は短い糸(ショートスレッド)を多数挿入したほうがより効果的かもしれません。ただ、肌のハリを出す目的なら、HIFU(ハイフ)などの照射系の美容治療でも同様の目的が達成されます。

筆者がおすすめする糸リフト

肌のハリ目的なら筆者はウルセラを筆頭とするHIFU(ハイフ)などの照射系の美容治療をおすすめします。筆者がおすすめするウルセラはたるみに対しても効果があり、1年程リフトアップ効果が期待できます。従って筆者は糸を挿入する目的として患者さまにおすすめするのは長期間たるみを引き上げたい場合のみです。これに該当するのは上述の「長い糸+非吸収性」です。その中でも伸縮性に富み、凹凸がでにくい、シリコン製のスプリングスレッドをおすすめします。ポリプロピレン製のミラクルリフト、アプトスリフトは伸縮がないため、凹凸が出やすく、痛みが出やすいと言われています。

まとめ

現在糸リフトの糸の種類にはさまざまあり、治療を検討される場合はこの種類の多さが選択を迷う要因となっています。糸リフトを検討される場合はまず何を優先するのか決めるのが大事です。また、成功の鍵は経験豊富な医師による適切な施術です。実際に専門の医師としっかりと相談し、まずはカウンセリングのみを受けることが最も重要です。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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2023/11/12

院長ブログトップ > シルエットソフトの本当の効果は?

シルエットソフトの本当の効果は?

シルエットソフト(Silhouette Soft®)、通称3Dリフトは、立体的なリフトアップを実現するためのバイオコーンと呼ばれる突起物が特徴的な糸リフトです。この記事では、シルエットソフトの効果、利点、注意点、そしてシルエットリフトとの違いについて深堀りしていきます。

シルエットソフト

シルエットソフト(3Dリフト)とは

シルエットソフト(3Dリフト)はイギリスのSINCLAIR社によって開発され、アメリカで製造されている比較的新しい糸リフトです。従来の「シルエットリフト」の改良版とも言えます。シルエットソフトによる糸リフトは、メスを使用せずに小顔形成やコラーゲン生成を目的としており、FDAやCEマークの認証を取得していることでその安全性が認められています。

 

 

シルエットソフト(3Dリフト)の独自性

シルエットソフト(3Dリフト)の最大の特徴は、皮下組織との広範な接触面積にあります。トゲタイプと比較して、コーンタイプはより広い面積で皮下組織にアンカーをかけることができ、それによって摩擦を増し、より効果的なリフトとコラーゲン生成を実現すると言われています。。挿入直後からリフトアップ効果を感じられますが、バイオコーンは糸の中心から反対方向に設置されており、この向き合うコーンがお互いに向かって収縮するために時間が経つとさらにリフトアップされると言われています。

 

シルエットソフトの構造と素材

シルエットソフト(3Dリフト)の糸はPLLA(ポリ-L-乳酸)、コーンはPLGA(乳酸-グリコール酸共重合体)という2種類の医療用の溶ける素材から構成されています。コーンはコーン状になっており、8個、12個、16個のタイプがあります。このコーンは皮下組織をしっかり保持し、糸の中心に向かって皮膚を収縮させることで、たるみを引き上げます。また、コーンと糸が溶けた後も体内で生成されたコラーゲンが残り、長期的な効果を提供すると言われいます。シルエットソフトは、その構造と素材によって、長期に渡るリフトアップ効果と肌のハリを提供する糸リフトとなるとされています。

 

シルエットソフトの効果

シルエットソフト(3Dリフト)が提供する施術は、顔の若返りと肌質改善の二つの明確なメリットを持っており、「3Dリフト」とも称されるその効果は以下の通りです。

1.顔のたるみへの挑戦

シルエットソフトの第一の効果は、顔のたるみを目に見えて改善することです。シルエットソフトのバイオコーンは皮膚を繊細に掬い上げて支える能力を持ち、これにより深いたるみの改善と、顔の輪郭に明確なリフトアップを提供します。ほうれい線やマリオネットラインといった特に気になる箇所にも顕著な改善効果が期待できるため、立体的な美しさを取り戻すことができるのです。

2.コラーゲンの生成と肌の弾力

シルエットソフト(3Dリフト)の施術はただリフトアップするだけでなく、コラーゲン生成を促進し、結果として肌のハリを取り戻す効果があると言われています。施術によって皮膚組織が微細なダメージを受けることで自然治癒過程が始まり、コラーゲンが豊富に生成されます。これにより、糸とバイオコーンが完全に吸収された後も、肌の質感とリフトアップ効果が継続されるのが特徴です。

 

シルエットソフトのメリット

シルエットソフト(3Dリフト)の大きなメリットは、体内に異物が残らないことです。PLLAとPLGAという医療用素材でできており、体内で異物反応が起こりにくく、最終的には無害な成分に分解されます。さらに、切開を必要としないため、施術時の体への負担が小さく、抜糸の必要もありません。

また持続性もシルエットソフトのメリットです。シルエットソフトの効果は個人差がありますが、一般的には18ヶ月程度続くとされています。糸は18ヶ月で、バイオコーンは8〜10ヶ月で体内に吸収されますが、その後も周囲に生成されたコラーゲンやエラスチンのおかげで肌のハリやリフトアップが継続するため、2年近い効果が期待できると製造元は宣伝しています。ただし、たるみの改善を継続するためには、年に1〜2回の施術を受けることが推奨されていると製造元は発表しています。

 

シルエットソフトのデメリットと注意点

シルエットソフト(3Dリフト)は非侵襲的な糸リフトですが、施術にはいくつかの注意点があります。特に、術後の顔の凹凸、傷跡や針穴の多さ、そして施術に伴う痛みに関して患者様が注意すべきポイントがあります。

1.術後の顔の凹凸の可能性

シルエットソフトを受けた後、顔に一時的な凹凸が生じることがあります。これは皮膚が引き上げられる過程で発生する歪みであり、通常は1〜2週間で自然に馴染んで解消されることがほとんどです。しかし、2週間を過ぎても凹凸が改善されない場合は、迅速に医師の診察を受けることが勧められます。加えて、施術による腫れや内出血もあり得るため、それらが収まるまでには2〜3週間かかることを予め理解しておく必要があります。

2.傷跡や針穴の発生

シルエットソフト(3Dリフト)の施術には切開は不要ですが、通常の糸リフトより大きな針を直接皮膚に通すため、傷跡や針穴が発生します。シルエットソフトのバイオコーンが大きいために針も太くなります。しかし、これらの傷跡や針穴はフェイスライン上に形成されるため、髪の毛で容易に隠すことが可能で、大体3日から15日で目立たなくなります。

3.施術時の痛み

シルエットソフト(3Dリフト)の施術中は、針の出入り口にわずかな痛みを感じる可能性がありますが、局所麻酔を用いることで、痛みを感じることなく治療を受けられます。局所麻酔の針が不安な場合、麻酔クリームを事前に塗布してから麻酔を行うこともできます。また、一部の医療機関では施術時の不安を和らげるために静脈麻酔も選択でき、これにより患者様は施術中に安らかな眠りにつき、目覚めたときにはすべてが終了しているというメリットがあります。

 

シルエットソフトの失敗とダウンタイム

シルエットソフト(3Dリフト)は神経が密集する顔面に糸を挿入するため、一時的なひきつれや違和感が発生することがあります。通常、この状態は施術後約1ヶ月で改善されますが、持続する場合は専門医に相談が必要です。また、バイオコーンが大きいために皮膚にしこりが生じることがあります。これはシルエットソフトの糸が浅いところに挿入されたことが要因です。この場合は時間の経過ととも改善する場合が多いですが、残存する場合は切開して除去する必要性もあります。

 

シルエットソフトとシルエットリフトの違い

コーンの配置が一方向を向くシルエットリフトに対し、シルエットソフトはコーンが双方向に配置されており、糸とコーンが体内で完全に吸収される点が大きな違いです。このため、立体的なリフトアップが可能であり、体内に異物が残ることへの抵抗がある人にはシルエットソフトが推奨されます。

 

シルエットソフトの実際の効果とは?

シルエットソフト(3Dリフト)が提供するとされる効果の実態について、専門家の目線で深堀りしてみましょう。糸リフトにおいては、「コラーゲン再生」というフレーズがしばしば聞かれますが、この言葉の背後には実は単純な瘢痕形成が隠されています。体がダメージを受けると、修復過程で硬い組織が形成され、これが瘢痕です。瘢痕の主要構成要素はコラーゲンたんぱく質です。

糸リフトでは、皮下組織に糸を挿入することで周囲の組織が損傷され、この修復の過程で瘢痕化、すなわちコラーゲンが生成されます。この現象がいわゆる「コラーゲン再生」の実際です。しかし、瘢痕化組織が生み出すコラーゲンが実際にリフトアップ効果を提供するかというと、その効果は非常に限定的です。糸リフトに用いられる細い糸によって形成される瘢痕は微細であり、張力を発揮するには不十分です。

シルエットソフトの効果は、糸が体内で分解されるまでの期間に限定されます。使用されるPLLA(PLA)やPLGA素材は従来の吸収性糸よりもゆっくりと吸収されるため、効果期間が長いとされていますが、実際には糸の張力は3〜6か月で失われるのが一般的です。

また、シルエットソフトの糸は中央部で折り返す構造があるため、時間が経つにつれて重力の影響で位置が下がり、効果も減少します。術後、糸は脂肪層に固定されていますが、脂肪層は筋膜のように固定されていないため、数か月でリフトアップ効果はなくなります。

 

シルエットソフトの総括

シルエットソフト(3Dリフト)のバイオコーンという新技術は大いに注目されましたが、他の吸収性糸と同様に効果は数か月で減少することが明らかになりました。費用対効果を考慮すると、この糸リフトを推奨することはできません。美容医療においては、リスクと結果のバランスが極めて重要です。治療を検討される際は、単なる「流行り」ではなく、慎重な検討が必要です。

さらに、糸リフトを検討する際は、「吸収性か非吸収性か」、「持続性か」などの基準で選択を行うべきです。成功の鍵は経験豊富な医師による適切な施術です。クリニックの選択は非常に重要で、実績と評判をしっかりと確認し、不自然な結果を避けるためには、まずは専門医とのカウンセリングから始めるべきです。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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2023/11/11

院長ブログトップ > アプトスリフトの効果と糸リフトの進化

アプトスリフトの効果と糸リフトの進化

画期的なアプトスの登場

過去30年間、顔のたるみ解消といえばフェイスリフト手術が主流でした。しかし、その大がかりな手術には腫れや長い社会復帰時間が伴い、多くの人がためらっていました。そんな中、1990年代後半にアプトスリフトという糸リフトの方法が誕生し、美容外科の世界に革命をもたらしました。

この技術は、ロシアの美容外科医スラマニーチェ親子によって開発され、2000年には300人の患者に対する有効性と安全性がロシア厚生省の委員会によって検討されました。2004年には、Lyckaによる論文が発表され、350例中348例で顔面の若返りに成功したとの結果が報告されています。

日本では2001年から導入され、2002年には日本美容外科学会での学会発表が行われました。初期の数年間、アプトスリフトや糸リフトは手探り状態でしたが、現在では新しい糸リフトの開発や技術の向上により、多くの患者が安全な糸リフトを受けています。

アプトスリフト

アプトスリフトの糸について

アプトスリフトに使用されるポリプロピレン製の糸は、医療現場で安全性が高く評価されている素材です。吸収されない非吸収性の糸リフトになります。アプトス糸に施された特殊な毛羽立ちは、皮下組織を保持しつつ、皮膚を収縮させることでリフトアップ効果を発揮します。12cmの糸は両端から中央に向かって特殊なギザギザが施されており、これにより皮膚が糸の中心に向かって引き上げられます。

 

アプトスリフトの技術と効果

アプトスリフトは皮膚を切開することなく、特殊な針と糸を使用してたるみを引き上げる治療法です。特に頬のたるみに効果的で、ほうれい線の改善や頬の張りを取り戻すことができます。施術後は直ぐにたるみが改善され、2〜4週間後には糸の周囲に形成された線維組織の効果でさらなるリフトアップが期待できるとされていました。

 

アプトスリフトのアフターケアとリスク

アプトスリフト後は腫れや内出血が生じることがありますが、これらは通常自宅での冷却により軽減され、施術後すぐにメイクが可能です。リフトアップ効果は数年間持続するとされており、特に45歳未満の軽度のたるみに効果が高いと言われています。

 

アプトスリフトの治療流れ

カウンセリング: 患者の状態を診察し、治療の適切性を判断します。

局所麻酔: デザイン後、アプトス糸を通す部位に麻酔を施します。

施術: 特殊な針でアプトス糸を皮膚下に挿入します。

治療後: 腫れは通常わずかで、数日で針の跡も消えます。翌日から洗顔やメイクが可能です。

 

アプトスリフトのQ&A

Q:糸が皮膚に残っても違和感はありませんか?

A:初期には違和感がありますが、糸が馴染むにつれて感じなくなります。

Q:糸が体内に残っても安全ですか?

A:問題ありません。ポリプロピレン製のアプトス糸は、感染などのトラブルを起こすことはほとんどありません。

 

アプトスリフトは本当に効果があるのか

アプトスリフトが登場したときは画期的な技術でした。2000年初期には大いに流行りました。その後アプトスリフトの糸をさらに改良した糸が登場しました。

現在では少し古い糸という立場です。アプトスリフトは非吸収性の糸であるために、ミラクルリフトと同様に吸収性の糸(VOVリフト等)より効果があると予想されます。

ただ、アプトスリフトはその構造上、糸の中央部で折り返し、糸の両側とも柔らかい脂肪層に中に糸が固定されます。糸が硬い筋膜などに固定されるわけではないので、時間の経過とともに重力で糸の位置が下がります。これにより効果もなくなります。効果がある糸リフトは片側の糸の端は硬い筋膜に固定される必要があります。

またアプトスリフトは通常のナイロン(ポリプロピレン製)であるため、収縮性がありません。このため、糸の挿入部位の皮膚に凹凸ができやすいのです。これが術後の引きつれやトラブルの要因となっています。

現在では非吸収性タイプの糸リフトでは「スプリングスレッド」という非常に優秀な糸リフトがあるので、アプトスリフトが使用されることはほとんどありません。

スプリングスレッドはシリコン製であるため、収縮性に富んでおり、凹凸が出にくいとされています。また、片側の頭皮内の硬い筋膜に固定されるため、たるみが強い場合も効果があり、持続性も3年以上となります。

 

アプトスリフトのまとめ

アプトスリフトは2000年ころに登場した当初は、画期的な技術として人気の治療でしたが、数か月で効果がなくなることや、効果が弱い点で、その後登場した新しい糸に取って代われることになりました。糸リフトを検討される場合はまず何を優先するのか決めるのが大事です。つまりは、「吸収性か非吸収性か」、「持続性か」です。この2つを基準で判断されると自ずと選択されるべき糸リフトの種類は決まってきます。

ただし、糸リフトやフェイスリフトに関する知識や経験が不足している医師や、技術が未熟ながら専門医を自称する医師も存在するのが現実です。治療を検討される場合は、実際に専門の医師としっかりと相談し、まずはカウンセリングのみを受けることが最も重要です。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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2023/11/11

院長ブログトップ > Exploring the Impact and Evolution of Aptos Lift in Thread Lifting

Exploring the Impact and Evolution of Aptos Lift in Thread Lifting

The Revolutionary Arrival of Aptos

For the past three decades, face lifting surgeries were the mainstream solution for addressing facial sagging. However, the extensive nature of these surgeries, accompanied by swelling and long recovery times, made many hesitant. In the late 1990s, a breakthrough came with the birth of the Aptos Lift, a thread lifting method that revolutionized the field of cosmetic surgery. Developed by Russian plastic surgeons, the Sulamanidze family, its effectiveness and safety were evaluated in 2000 on 300 patients by a Russian Ministry of Health committee. In 2004, a study by Lycka reported successful facial rejuvenation in 348 out of 350 cases. Introduced in Japan in 2001 and presented at the Japanese Society of Aesthetic Surgery in 2002, Aptos Lift and thread lifting experienced an exploratory phase in the early years but have since advanced, offering safe thread lifting options to many patients.

 

About Aptos Lift Threads

The polypropylene threads used in Aptos Lift are highly regarded for their safety in medical applications. These non-absorbable threads are designed with unique barbs to hold subcutaneous tissue while contracting the skin for a lifting effect. The 12cm threads have special serrations running from both ends towards the center, effectively pulling the skin towards the thread’s midpoint.

 

Technique and Effectiveness of Aptos Lift

Aptos Lift is a minimally invasive procedure using special needles and threads to lift sagging skin without incisions. It is particularly effective for cheek sagging, reducing nasolabial folds, and restoring cheek firmness. Immediate improvement in sagging is noticeable post-treatment, with further lifting effects expected 2-4 weeks later due to the fibrous tissue formed around the threads.

 

Aftercare and Risks of Aptos Lift

Post-treatment swelling and bruising can occur but are typically alleviated with at-home cooling. Makeup can be applied immediately after. The lifting effects are said to last for several years, especially effective for mild sagging in individuals under 45 years old.

 

Procedure of Aptos Lift

●Consultation: Assessing the patient’s condition and suitability for the treatment.

●Local Anesthesia: Administering anesthesia at the designated thread insertion sites.

●Treatment: Inserting the Aptos threads under the skin using special needles.

●Post-Treatment: Minimal swelling is typical, with needle marks disappearing within a few days. Washing and makeup application can resume the next day.

 

Common Questions About Aptos Lift

●Feeling of Threads: Initially, there may be some discomfort, but this fades as the threads adapt.

●Safety of Threads Remaining in the Body: There are minimal risks of infection or other issues with polypropylene threads.

●Effectiveness of Aptos Lift: Initially hailed as a groundbreaking technique, Aptos Lift gained popularity in the early 2000s. Subsequent improvements in threads have somewhat overshadowed it. Being non-absorbable, it’s expected to have longer-lasting effects compared to absorbable threads like VOV Lift. However, its structure, where the thread loops back in the middle and is anchored in the soft fat layer, leads to a decrease in lifting effect over time. Effective thread lifts should have one end anchored in a firm fascia. Furthermore, the lack of contractility in polypropylene threads can lead to visible irregularities at the insertion site, causing postoperative issues. Nowadays, “Spring Thread,” a superior non-absorbable thread lift made of silicone, is preferred, offering better results and longer sustainability, often exceeding three years.

 

Conclusion: Aptos Lift’s Relevance Today

Once revolutionary, Aptos Lift has been surpassed by newer thread technologies. When considering a thread lift, it’s crucial to determine whether absorbability or longevity is a priority. However, it’s important to note the existence of doctors who claim to be specialists in thread lifting or facelifting without adequate knowledge or experience. Thorough consultation with a true expert is essential before undergoing any treatment.

 

Written by Kenta Motogami, M.D.

Director of Funabashi Chuou Clinic (Chiba Pref. Japan) ana Aoyama Celes Clinic (Tokyo)

English is available at these clinics.

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2023/11/09

院長ブログトップ > 糸リフト「VOVリフト」の効果について

糸リフト「VOVリフト」の効果について

VOVリフトとは

美容医療の進歩は日進月歩で、特にリフトアップ治療の分野では、さまざまな新技術が登場し注目を集めています。その中でもひときわ輝く星と言われているのが「VOVリフト(ボブリフト)」と呼ばれる最新のリフトアップ治療です。この新しい施術は、従来の糸リフト(スレッドリフト)とは一線を画す素材と技術で構築されていると言われており、美容意識の高い方々から高い関心を集めていますが、本当はどうなのでしょうか?

VOVリフト

VOVリフトの独自性とその効果

VOVリフト(ボブリフト)は、PCL(ポリカプロラクトン)を用いた吸収性リフト糸「VOVリフト・プレミアム」による非切開型のフェイスリフト治療法です。この糸は、2年以上の長期にわたる効果が期待でき、特許を受けたコグ(棘)技術により、顔のたるみを効果的にリフトアップします。米国FDAにも認められた安全性の高さは、治療を受ける患者さんにとって大きな安心材料となるでしょう。

VOVリフト(ボブリフト)の期待される効果

●頬や顎のたるみ改善

●ほうれい線の軽減

●マリオネットラインの目立たなくする効果

●ブルドッグ顔の改善

●フェイスラインのシャープ化

 

VOVリフトの技術的特徴

VOVリフトの使用するPCL糸は、従来のPDOやPLLA素材のスレッドと比べ、コグの形状や強度、柔軟性において特徴的です。痛みを最小限に抑える工夫がなされており、効果の持続時間も長いのが特長です。皮膚への優しさという面でも、顔の施術に適していると言えます。

VOVリフトのPCL素材について

PCL(ポリカプロラクトン)は、合成生分解性ポリエステルの一種です。他の生分解性プラスチックと同様に、PCLも体内で分解されます。この材質は柔軟性に富み、かつ化学的にも安定しているため、医療用途に非常に適しています。具体的な用途には組織や器官の再生において骨格材料や美容医療のスレッドリフトで使用される吸収性の糸にも使用されます。PCLは体内でゆっくりと吸収され、最終的には水と二酸化炭素に分解されるため、長期間体内に留まる外来物質のリスクを最小限に抑えることができます。また、生体に対して非常に低い毒性を持つと言われています。

リフトアップ力と安全性の両立

特許技術を用いたコグの形成により、リフトアップ力が高まり、同時に固定力も従来の吸収性の糸リフトのスレッドより向上していると言われています。糸の持続期間は24ヶ月以上と言われており、分解過程でコラーゲンの新生も促します。これにより、挿入後の肌はハリを取り戻し、美肌効果も期待できるというわけです。

VOVリフトの安心と信頼

VOVリフト(ボブリフト)の糸は最終的には100%体内に吸収されるため、身体への負担が少ないのが魅力です。CEマークやFDAの承認を受けている点も、その安全性を裏付けています。

VOVリフトのよくある質問

Q:VOVリフトだけでたるみは解消できますか?

A:個々の皮膚や脂肪の状態にもよりますが、多くの場合、単独でもリフトアップ効果を実感できると言われています。

Q:ダウンタイムはどのくらいですか?

A:患者さんの体質や施術の範囲にもよりますが、比較的ダウンタイムは短く、翌日から日常生活に戻れることが多いようです。

Q:効果はどれくらいで現れますか?

A:糸リフト施術直後から効果を実感できますが、糸が吸収される過程でコラーゲンが生成され、徐々にリフトアップ効果が顕著になるとVOVリフトの販売元は説明しています。

VOVリフトは本当に効果があるのか?

糸リフトの効果として、必ずコラーゲン再生という言葉が出ます。でもコラーゲンときくと聞こえはいいですが、実はただの瘢痕形成です。体が傷をつけられると、傷が修復される過程で、その周りに硬い組織ができます。これが瘢痕です。瘢痕の中身はコラーゲンというたんぱく質です。

糸リフトでは糸が皮下組織に刺され、挿入されると、その周囲の皮下組織はダメージが受け、傷つけられます。この修復過程で瘢痕化、つまりコラーゲン生成が起こります。これが糸リフトの「コラーゲン再生」の実体です。

ではこの瘢痕化組織のコラーゲンにリフトアップ効果があるかどうかですが、実はほとんどないリフトアップ効果はないです。糸リフトの糸は細いためにできあがった瘢痕化組織も細いので、これにリフトアップ効果が期待できるような張力はありません。

糸リフトのリフトアップ効果は結局、糸が吸収・分解されるまでの期間ということになります。VOVリフト(ボブリフト)で使用されるPCL(ポリカプロラクトン)は他の吸収性糸リフトでよく使用されるPLLA(PLA)やPDO素材よりゆっくり吸収されるために、効果が長いと言われています。ですが、糸も非常に細いために糸の張力は3~6か月でなくなります。従ってVOVリフトの効果も3~6か月でなくなります。筆者も吸収性の糸リフトとしてかつてハッピーリフトと呼ばれる糸リフトを行っていましたが、やはり効果が長くても6か月程度でした。

VOVリフトのまとめ

VOVリフト(ボブリフト)で使用されるPCL は従来おPLLA(PLA )やPDO素材より長持ちする新技術ということで、注目されました。ですが、やはり他の吸収性の糸と同様に、。数か月で効果がなくなることが分かりました。費用対効果の点で筆者がおすすめでき糸リフトではありません。美容医療においては、リスクと結果のバランスが重要です。治療を検討される場合は、「ノリ」などで決めるのではなくよく熟考されて決めるべきと考えます。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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2023/11/08

院長ブログトップ > Zリフト・コラーゲンリフトの効果は

Zリフト・コラーゲンリフトの効果は

Zリフト・コラーゲンリフトとは

皮膚のたるみやしわを改善するためのエイジングケア治療の一つで、吸収性の糸を使用した糸リフトの一種です。特徴はPLLA・PLAという材質の糸である点です。PLLA・PLAを用いたリフトには「ハッピーリフト」といった商標名もあります。Zリフト・コラーゲンリフトの素材、効果などについて具体的に見ていきましょう。

Zリフト・コラーゲンリフト

PLLA・PLAという材質について

Zリフト・コラーゲンリフトの材質であるPLLA・PLA は医療の現場では同一の物質を指します。PLA はPolylactic Acidの略で日本語ではポリ乳酸と言います。PLLAはPLA(ポリ乳酸)の中の特定の立体異性体を指します。PLLA(ポリ-L-乳酸)は、生分解性の合成ポリマーで、医療分野で広く利用されている素材です。

PLLA・PLAの基本特性

■生分解性: PLLAは体内で水と二酸化炭素に自然に分解される性質を持ちます。

■生体適合性: 体内に挿入しても毒性がなく、生体に対して安全な素材です。

PLLA・PLAの製造と構造

PLLAは、L-乳酸の重合によって作られます。L-乳酸は、微生物の発酵によって生産されることが多く、一般的な炭素源からも得られます。PLLAは熱と触媒の存在下で重合してポリマー鎖を形成します。

PLLA・PLAの生物学的性質

コラーゲン生成の促進: 体内でゆっくりと分解されるとき、PLLA・PLAは周囲の組織にコラーゲン生成を刺激する効果があります。

美容治療以外での医療分野での利用

■吸収性縫合糸: PLLA・PLAは手術後の創傷を閉じるために使用されます。

■整形外科: PLLA・PLAは骨折治療のピンやプレートとして使用され、体内でゆっくりと吸収されるため、除去手術が不要です。

PLLA・PLAの安全性と分解時間

PLLA・PLAの完全な分解には数ヶ月から数年にかかりますが、生体内の形状によって分解までの時間が大きく異なります。Zリフト・コラーゲンリフトで使用されるPLLA・PLAの糸での形状の場合は3~6か月程度で分解されてしまうとも言われています。

 

Zリフト・コラーゲンリフトでのPLLA・PLAの役割

PLLA・PLAは生分解性の材料であり、体内で徐々に分解されながらコラーゲンの生成を刺激します。これにより、皮膚の自然な若返りが促され、リフトアップ効果が得られるとされています。

 

Zリフト・コラーゲンリフトの構造

Zリフト・コラーゲンリフトの針の太さと糸の構造

Zリフトに使用される針は一般的には18G相当で比較的太い針です。一般的には糸の両端に針が付いている構造で両端針の糸です。一方コラーゲンリフトはショッピングリフトの同じような構造なので、細い針です。

Zリフト・コラーゲンリフトの糸の構造

Zリフトの糸は、小さな突起がついており、皮膚内でしっかりと固定されることでリフトアップ効果をもたらします。一方コラーゲンリフトはショッピングリフトの同じ構造なので、突起はありません。

Zリフト・コラーゲンリフトの効果と持続性

Zリフト・コラーゲンリフトの効果は施術直後から見られ始め、PLLA・PLAが時間ととも分解され、同時にコラーゲン生成の促進によってたるみ対する改善の効果が徐々に見込まれます。持続期間は材質や体質、生活習慣にも左右されますが、一般的には数か月~1年程度と言われています。

 

Zリフト・コラーゲンリフトの安全性と副作用

PLLAスレッドリフト、PLA糸リフトは比較的安全な施術とされていますが、内出血、腫れ、赤みなどの一時的な副作用が起こる可能性があります。また、稀に糸の拒絶反応や感染症のリスクもあります。

 

ショッピングリフト(PDOスレッドリフト)と比較して

PLLA・PLAのほうがPDOと比較してゆっくり分解・吸収されるため、一般的はショッピングリフトのような突起がない短い糸リフトと比較して、Zリフトのほうが効果があるとされています。一方、コラーゲンリフトはショッピングリフトと同様に突起のない短い糸なので、効果もさほど変わりないとされています。

 

Zリフト・コラーゲンリフトを受けた人の感想

Zリフト・コラーゲンリフトの満足度:

PLLA糸リフト、PLAリフトを受けた多くの人は即効性があると感じ、施術後すぐに肌の引き締め効果を実感できたと報告しています。長期的なコラーゲンの生成により、時間が経つにつれてさらに結果が改善するという意見もあります。

Zリフト・コラーゲンリフトの痛みと回復:

PLLA糸リフト、PLAリフトでは施術中やその後に痛みを感じることがあるという人もいれば、不快感が最小限だったという人もいます。PLLA糸リフト、PLAリフトでは回復期間が短く、日常生活への復帰が早い点を評価する声が多くあります。

Zリフト・コラーゲンリフトの持続性:

PLLA糸リフト、PLAリフトを受けた結果は一時的ではありますが、通常は数ヶ月から1年続くと報告されています。

Zリフト・コラーゲンリフトは繰り返し施術を受けることで、より長く結果を持続させることができるという意見もあります。

Zリフト・コラーゲンリフトの副作用と合併症:

Zリフト・コラーゲンリフトではいくつかのケースでは、腫れや青あざ、感染のリスクがあるとされていますが、これらは比較的まれであるとも言われています。

Zリフト・コラーゲンリフトのコストに対する価値:

Zリフト・コラーゲンリフトで結果に満足している人は、施術のコストがその価値があると考えることが多いですが、一部には予想した効果が得られなかったと感じる人もいます。

 

Zリフト・コラーゲンリフトは本当に効果があるのか?

専門家である筆者の私見を述べます。糸リフト全般に言えることですが、糸リフトによりコラーゲンが生成されて、それによるリフトアップ効果はほとんどないと断言できます。

従って糸リフトの効果は糸が吸収されるまでの期間と考えるべきです。Zリフト・コラーゲンリフトではPLLA・PLAという材質ですが、糸の太さ自体が非常に細いために3~6か月で分解されてしまいます。従って糸リフトのリフトアップ効果もこの期間で終わると予想されます。筆者もハッピーリフトと呼ばれるPLLA・PLAリフトをかつては行っていましたが、やはり効果が長くて6か月程度だったと記憶しております。

 

まとめ

PLLA・PLA という材質は使用したPLLAリフト、PLA リフトは日本国内で流行り出した当初は、人気の治療でした。筆者もハッピーリフトという商品を使用しておりました。現在ではZリフト・コラーゲンリフトという名称でも行われています。ただ、数か月で効果がなくなることや、もっと効果がある糸リフトが開発されたことから次第に敬遠されることになりました。糸リフトを検討される場合はまず何を優先するのか決めるのが大事です。つまりは、「吸収性か非吸収性か」、「持続性か」です。この2つを基準で判断されると自ずと選択されるべき糸リフトの種類は決まってきます。まずは実際に専門の医師としっかりと相談し、カウンセリングのみを受けることが重要です。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

【関連項目】

スプリングスレッドの相談はこちら

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糸リフトは効果がない!?

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2023/11/07

院長ブログトップ > ミラクルリフトの効果について

ミラクルリフトの効果について

ミラクルリフトとは

韓国の美容外科医師Wooドクターによって開発された糸リフトです。特徴として非吸収性の糸である点です。糸を用いた糸リフト手術の中でもその効果の高さと持続性が一定の評価がされています。どういった技術なのか、具体的に見ていきましょう。

 

ミラクルリフトの構造

●ミラクルリフトの針の太さ

ミラクルリフトに使用される針は非常に細く、患者の不快感を最小限に抑えるように設計されています。その太さは糸を皮膚下に挿入するために充分な細さでありながら、挿入時の精度と安定性を保証します。

●ポリプロピレンという材質について

ポリプロピレンは医療分野で広く使用されている合成プラスチックの一種で、耐久性と生体適合性に優れています。この素材はアレルギー反応を引き起こしにくく、体内で安定して長期間機能を維持します。

●ミラクルリフトの糸の太さと長さ

ミラクルリフトは40cmほど、太さは皮膚下に配置される際の目立たない外見と効果的な糸リフトを実現するバランスを取っています。

●ミラクルリフトの糸の構造

ミラクルリフトの糸は、皮膚を引き上げるために小さな突起や凹凸が施されていることが特徴です。これにより、挿入後に皮膚を効果的にアンカー(固定)することができ、より自然で持続的な糸リフト効果を得ることが可能です。

 

ミラクルリフトの施術の流れ

①カウンセリング: 患者の顔の状態を評価し、必要なミラクルリフトの糸の数や挿入する位置を決定します。

②麻酔: 局所麻酔を行います。必要に応じて静脈麻酔などを併用して、痛みの緩和を行います。

③挿入: 専用の針を用いて、皮膚下にミラクルリフトの糸を挿入します。糸は皮下組織にアンカーを形成し、皮膚を持ち上げる役割を果たします。

④固定: ミラクルリフトの糸を適切な張力で固定し、リフトアップを行います。

⑤完了: ミラクルリフトの糸の端を切り、手術は完了します。

約30分から1時間で行われます。ダウンタイムが短く、多くの場合、施術後すぐに日常生活に戻ることができます。

 

ミラクルリフトの安全性

非侵襲的な手法と確立されたポリプロピレン素材の使用により、ミラクルリフトは比較的安全な手術とされています。しかし、施術を行う医師の技術や経験も安全性に大きく影響するため、資格を持つ信頼できる医師による施術を選ぶことが重要です。

 

ミラクルリフトの原理

ミラクルリフトは皮膚下に糸を挿入し、これによって皮膚を持ち上げて糸に施された突起が皮下組織をしっかりとグリップし、固定することでリフトアップ効果を発揮します。また、すべての糸リフトと同様に時間が経つにつれてコラーゲンの生成を促進し、さらにリフトアップと皮膚の引き締め効果を促します。

 

ミラクルリフトのデメリットと失敗例

すべての施術にはデメリットが存在します。ミラクルリフトでは、伸縮性のない糸を使用するため、時には引きつり感や違和感を感じることがあります。伸縮性はない点は筆者がすすめるスプリングスレッドとの大きな違いです。スプリングスレッドはシリコン製であるために、非常に伸縮性に優れており、引きつれが起きにくいとされています。またミラクルリフトでは、一部の症例で糸が皮膚の下で透けて見えたり、効果が短期間で戻ってしまうことも報告されています。

 

ミラクルリフトのダウンタイムと後遺症

ミラクルリフトでは多くの場合、腫れや内出血は1週間以内に解消され、重篤な後遺症は報告されていません。しかし、表情筋や噛む筋肉に影響を与えることがありますので、施術後のケアは慎重に行う必要があります。

 

ミラクルリフトの価格帯

ミラクルリフトの価格は使用する糸の本数によって異なりますが、一般的には1本5万円程度です。クリニックによってセット価格が用意されている場合もありますので、カウンセリングを受けてみるのが良いでしょう。

 

ミラクルリフトを受けた人の感想

多くの患者はミラクルリフトによる即時のリフトアップ効果と最小限の回復時間に満足しています。施術による痛みや不快感は個人差がありますが、多くの場合、これらは軽度で短期間です。しかし、長期的な効果について満足度はまちまちです。3か月で戻ったという声も多くききます。

 

ミラクルリフトは本当に効果があるのか?

専門家である筆者の私見を述べます。ミラクルリフトは非吸収性の糸であるために、吸収性の糸より効果があると予想されます。

ただ、ミラクルリフトはその構造上、糸の中央部で折り返します。これはかつて筆者が行っていたハッピーリフトと同じです。糸が硬い筋膜などに固定されるわけではないので、時間の経過とともに重力で糸の位置が下がります。これにより効果もなくなっていきます。術直後には糸は脂肪層に固定されて、一定の引き上げ効果がありますが、脂肪層は筋膜と違って骨に固定されていないので、数か月で糸の効果はなくなります。

まとめ

ミラクルリフトは日本国内で流行り出した当初は、人気の治療でしたが、数か月で効果がなくなることや、効果が弱いうえに糸が吸収されない点から、次第に敬遠されることになりました。糸リフトを検討される場合はまず何を優先するのか決めるのが大事です。つまりは、「吸収性か非吸収性か」、「持続性か」です。この2つを基準で判断されると自ずと選択されるべき糸リフトの種類は決まってきます。また、成功の鍵は経験豊富な医師による適切な施術です。クリニック選びは非常に重要で、実績と評判を確認することが不自然な結果を避けるために不可欠です。ただ、難しいのは最近ではクリニックが公開している施術前後の写真の多くは加工されている点です。写真だけで判断されるとやはり失敗する可能性があります。実際に専門の医師としっかりと相談し、まずはカウンセリングのみを受けることが最も重要です。

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。第109回日本美容外科学会で「スプリングスレッドを併用したフェイスリフト手術」で学会発表し、好評を得た。切らないフェイスリフトのウルセラも日本国内に導入直後から取り入れており、第107回日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。

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