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カテゴリー:その他の顔の治療

2024/03/27

院長ブログトップ > 【唇を薄くする口唇縮小術】たらこ唇を治す手術について

【唇を薄くする口唇縮小術】たらこ唇を治す手術について

たらこ唇と理想の唇の厚さ

私たちの顔において、唇は人を引き付ける顔の魅力的で重要な要素です。しかし、遺伝や個体差により、唇が自身の理想とは異なる場合があります。「たらこ唇」と呼ばれる状態で悩まれている方も少なくありません。特に、上唇や下唇が顕著に厚い場合、顔のバランスが気になることも。そんなとき、唇を薄く整える口唇縮小術が解決策となるでしょう。この手術では、理想的な唇のサイズや形状を目指し、より均衡のとれた美しい唇を実現します。本記事では、口唇縮小術の方法や、理想の唇の形についての詳細をご紹介していきます。

理想の唇の厚さとは

唇の美しさはそのバランスにあります。日本人が理想とする唇の厚さに関する一つの研究では、上唇と下唇の厚さの平均値が、それぞれ7.8mmと12.2mmであることが明らかになりました。特筆すべきは、測定が上唇の2つの頂点部位(いわゆるキューピッドの弓)ではなく、上唇と下唇の正中線で行われている点です。インターネット上の多くの美容外科サイトでは、唇の測定部位が不明瞭であったり、正確でないことがありますが、正中での測定こそが科学的に適切です。この研究によれば、正中部位で測定された上唇と下唇の比率(7.8:12.2)は1:1.56であり、これは従来の研究で白人における「理想的」とされている比率1:1.6に非常に近いことがわかります。これにより、異なる文化や民族間でも唇の美しさに関しては共通の意識があると言えるもしれません。理想の唇は、単にサイズや形だけではなく、その上下の唇のバランスにおいても定義されるべきであり、この発見は唇の形成手術やヒアルロン酸注入における新たなガイドラインとも言えます。

出典元:

Effects of vermilion height on lip esthetics in Japanese and Korean orthodontists and orthodontic patients

たらこ唇に定義とは?

「たらこ唇」という言葉は、しばしばネット上で議論される話題であり、上唇と下唇の合計厚さが25mm以上という定義が一般的に受け入れられています。しかし、この定義がいつ、どのような経緯で生まれたのかについては、はっきりとした記録は存在しません。美の基準は時代や文化によって異なるため、このような特定の数値に固執することの意味は意味がないかもしれません。一方、前述の研究では日本人にとっての理想的な唇の厚さが上唇で7.8mm、下唇で12.2mmとされており、合計すると20mmとなります。この基準に照らし合わせると、25mm以上の唇は、いわゆる「理想」よりも5mm以上厚いことになります。これは一般的にかなり厚い唇と考えられ、人々がそのような唇を「たらこ唇」と捉えるのは理解できる話です。重要なのは、このような定義が個々の魅力や価値を測るものではないということです。美は多様であり、個々人の個性や特性がその魅力を形作っています。したがって、「たらこ唇」の定義はあくまでも一つの視点に過ぎず、多様な美の形が存在することを忘れてはなりません。

唇が厚いこと、太いこと原因は生まれつき?

唇に遺伝に関する科学的研究や文献は多くはありませんが、たらこ唇(一般的には厚い、太い唇を指す)の特徴は、遺伝による影響が大きいとされています。親から子へと遺伝する形質の一つであり、唇の厚さや形状は親や近親者のそれに似る傾向があります。これは他の顔の特徴や身体的特性と同様です。

■遺伝的要因

唇の形状や厚さは、多くの遺伝子によって決定されます。特定の遺伝子は、唇の発達において重要な役割を果たし、その結果として厚い唇、太い唇が形成されることがあります。

■民族性

厚い、太い唇は、特定の民族や地域においてより一般的な特徴です。例えば、アフリカやアジアの一部の民族では、他の地域の人々に比べて自然に厚い唇を持つ傾向があります。これは遺伝的な背景と地域的な適応の結果と考えられます。

■家族歴

家族内で厚い唇が一般的であれば、その特徴は遺伝する可能性が高いです。家族歴は、特定の遺伝的形質がどれほど強く表れるかを理解するのに役立ちます。

アジア人は唇が厚い

人間の外見には、文化や民族による多様な特徴が存在します。特に、唇の厚さにおいては顕著な差異が見られます。一般的に、白人の唇は薄く、上唇と下唇の比率は平均で1:1.43とされています。これに対し、中国人の唇は比較的厚く、上唇が特に厚いため、その比率は平均で1:1.25になるという研究結果があります。さらに、遺伝的な要因により、黒人には厚い唇が多く見られることが広く知られています。これらのデータは、民族間での顕著な唇の厚さの違いを示しています。西洋の医学文献では、肥大した口唇や大きな口唇は比較的まれな現象として扱われることが多く、このような特徴は主に黒人やアジア人の患者に見られるとする研究も存在します。これらの違いは、遺伝的背景や地域的な適応の結果として理解されることがあります。

出典元:

Lip Measurements and Preferences in Asians and Hispanics: A Brief Review

たらこ唇の健康への影響、デメリットは?

たらこ唇(一般的には厚い、太い唇を指す)が健康に与える影響やデメリットについては、直接的な健康への害は少ないとされていますが、考えられるデメリットとしは以下のとおりです。

■皮膚の薄さと敏感さ

唇の皮膚は顔の他の部位に比べて薄く、敏感です。したがって、唇が乾燥しやすく、ひび割れや炎症を起こしやすい傾向があります。特に厚い唇は、その面積が広いため、このような問題にさらされやすい可能性があります。

■日焼けのリスク

唇は日焼けによるダメージを受けやすく、特に唇の皮膚は他の部位よりも薄いため、紫外線に対して非常に脆弱です。長期的な日光曝露は、唇のシミやホクロのリスクを高めることがあります。

■呼吸時の影響

非常に厚い唇は、稀に呼吸時の空気の流れに影響を与える可能性があります。特に激しい運動中や深呼吸をする際に、空気の流れがやや制限されることがあります。

■食事と発音の影響

厚い唇は、特定の食べ物の摂取や、特定の言葉の発音に影響を及ぼす可能性があります。これは、唇の動きが言語の発声に重要な役割を果たしているためです。

■美容上の問題

個人の美的感覚や社会的な標準によっては、厚い唇、太い唇がコンプレックスの原因となることもあります。

たらこ唇、厚い唇の治療の適用とは

口唇縮小手術の手術前後

顔のバランスに影響を及ぼし、見た目の印象を左右することもある突出した唇。そのような場合、口唇縮小手術を通じて、より調和の取れた顔立ちへの改善が期待できます。厚い唇が原因で自信の低下や自尊心の問題を抱えている方々にとって、この手術は大きな希望をもたらすことがあります。手術による変化は単に見た目だけではなく、内面的な自信と満足感にも深く関わっています。さらに、以前に溶解不可能な物質の注入によって変化した唇の状態を元に戻したい場合にも、口唇縮小手術は有効な解決策となり得ます。この手術によって、自然な唇の形への回復が可能になるため、美容的な観点からも重要な選択肢と言えるでしょう。

口唇縮小術とは

口唇縮小術は、唇を薄く、小さく、細くすることで分厚い唇の見た目を改善する美容整形手術です。この手術では、唇を薄くし、大きさを適切に調整し、より繊細な印象に仕上げます。その主な目的は、唇と顔の他の部分との調和を高めること、そして上唇と下唇のバランスを改善することにあります。たらこ唇でコンプレックスを感じている方々にとって、この手術は自信を取り戻し、より知的な印象を与える可能性があります。近年の口唇縮小術に関する研究論文では「ビキニ・リップ・リダクション」と呼ばれる手法があります。

■ビキニ・リップ・リダクションについて

ビキニ・リップ・リダクションは、上唇からビキニのトップに似た形の組織を取り除き、下唇からはビキニのボトムを模した形の組織を除去することにより、唇を小さくする口唇縮小手術です。「ビキニ・トップ」という形状は、2つの側面部分をカップとし、中央のストラップ部分を組み合わせることで、上唇の自然なM字型を作り出します。これにより、上唇に自然な輪郭をもたらすと同時に、全体のバランスを考慮した仕上がりになります。対照的に、「ビキニボトム」の形状は、三角形に切除された唇の粘膜と組織を通じて、下唇に適切なボリュームを残しつつ、上唇よりも僅かに大きな外観を与えます。この施術は、ブラジリアン口唇縮小法としても知られ、その施術結果に対する患者の満足度は非常に高いと評されています。

ビキニリップリダクションの口唇縮小手術

↑ビキニ・リップ・リダクション。(A)術前。(B)デザイン。(C)術後

出典元:

The ‘bikini lip reduction’: A detailed approach to hypertrophic lips

口唇縮小術のポイント

唇を薄くするための口唇縮小術では、唇の内側の粘膜部分とその下にある組織を切除して縫合します。この手術の成功のカギは、粘膜の下に位置する口唇腺および粘膜下組織を丁寧に除去することにあります。なぜなら、この口唇腺を適切に取り除かなければ、唇の全体的な容積の減少が達成されず、手術の効果も期待したほどには表れないからです。また、過去に口唇縮小術を受けたが期待通りの結果が得られなかった方々のケースを見ると、その多くが粘膜だけが切除され、手術の成果を大きく左右する粘膜下組織が十分に取り除かれていなかったということが分かります。

唇を薄くする手術の経過

口唇縮小術では、手術に先立ち、美容外科医は患者様の唇に丁寧にペンで印をつけ、除去すべき組織の量と範囲を正確に計画します。このデザイン段階は手術の結果に大きく影響を及ぼすため、最も重要な工程の一つです。局所麻酔を施した後、医師は唇の内側の粘膜を切開して切除します。続いて、余分な粘膜下組織を慎重に除去し、止血処置を行います。手術は、切開部分を2層に縫合することで完成し、一つの唇に対する手術時間はおおよそ30分程度を要します。

唇を薄くする手術の痛みとケアについて

唇を薄くする手術は通常は局所麻酔のみで行われますが、無痛を希望の場合は静脈麻酔を併用する選択肢があります。局所麻酔を使用する場合、麻酔を打つ際に一時的な痛みを感じることがありますが、手術中は麻酔の効果により無痛です。一方、静脈麻酔を併用すると、局所麻酔の痛みも感じず、完全な無痛状態で手術を受けられます。また、術後は創部を覆うものがないため、日常生活における飲食に特別な制限はありません。しかし、食後は創部に食べかすが残らないよう、丁寧にうがいを行うことが重要です。手術後の約10日後に抜糸が行われるのが一般的です。また、術後最初の1週間は出血や腫れを防ぐために入浴、飲酒、激しい運動を控えることをお勧めします。シャワーは問題なく利用可能です。

唇を薄くする手術後の腫れやダウンタイム、痛みについて

口唇縮小術後の腫れやダウンタイムに回復期間については、個人差があります。ただ多くの場合、腫れは唇に限定され、通常よりも少し唇が腫れる程度に留まります。しかし、この腫れのために、手術による「薄い唇」の効果はすぐには明らかにならないこともあります。実際に手術の成果を自覚し始めるのは、抜糸後の約10日後からです。唇の腫れが完全に引き、手術の最終結果が判断できるまでには、一般に約1ヶ月の時間を要します。術後の痛みに関しては、痛みの程度や持続期間は個人差がありますが、多くの場合、非常に軽度で、短期間で治まる傾向にあります。

唇を薄くする手術で起こりうるリスクや合併症と傷跡について

口唇縮小手術の傷跡

口唇縮小術は、その効果により多くの患者様からの評価が高い美容手術ですが、いかなる外科手術にもリスクや潜在的な合併症は伴います。この手術における一般的な副作用としては、腫れや痛みが挙げられますが、これらの反応は大半が軽微で一時的なものです。深刻な合併症は稀で、適切な手術手順とケアにより、そのリスクは最小限に抑えられます。手術後の傷跡に関しても、技術的な工夫がなされており、唇の内側に隠れる形でほとんど目立たない傷が残るのみです。これにより、瘢痕に関する心配はほぼ無用と言えます。

口唇縮小手術でデメリット、失敗や後悔するケースと後遺症の可能性について

口唇縮小手術は、一般的な美容手術であり、通常は経験豊富な美容外科医によって安全かつ効果的に実施されます。失敗のリスクや後遺症の発生は極めて低いとされていますが、中には他の施設で手術を受けた後に「失敗した」と感じるか、「後悔している」と感じる患者様もおります。失敗や後悔の原因は様々ですが、以下の点が挙げられます。

■口が閉じないという後遺症と後悔

口唇縮小手術において、適切な量の組織を除去することは、手術の成功に不可欠です。しかし、過剰な組織の除去により、術後に口が正常に閉じないという問題が発生することがあり得ます。この種の合併症は、手術そのもので完全に元に戻すことは難しく、患者様にとって深刻な心配の原因となり得ます。このような状況においては、ヒアルロン酸注入による唇の内側の粘膜の膨張などにより補助的な方法で状況を改善することが可能です。これにより、唇の閉じる能力を部分的に回復させることができ、見た目の改善と機能的な回復を図ることができます。

■効果が弱いという失敗

口唇縮小手術において、切除量の調整は手術の成果に大きな影響を与えます。過少な切除では、求める効果が得られないことがあります。これを防ぐためには、術前の医師との十分なコミュニケーションが不可欠です。患者様と医師が共に術後の理想的な唇の状態についての明確なイメージを持つことは、成功への重要な一歩となります。効果が十分でないと感じた場合、再手術を検討することも一つの選択肢です。しかしながら、切除しすぎるリスクも念頭に置く必要があります。特に「口が閉じない」という深刻な後遺症を避けるためには、慎重な判断が必要です。

■デメリットについて

口唇縮小手術で唇が希望の大きさになった場合、手術のデメリットはありません。美容外科手術においては多くの場合、唯一のデメリットは傷跡が残ることですが、口唇縮小手術による傷跡は、口の内側に隠れており、通常は目立ちにくいため、傷跡が問題になることはありません。しかし、手術の過程で唇を過度に薄くすると、元に戻すことができないというデメリットが口唇縮小手術にはあります。

口唇縮小手術の写真

↑A治療前 B術前のデザイン C粘膜切開直後 D粘膜下組織切除後 E口唇縮小手術直後

出典元:

The ‘bikini lip reduction’: A detailed approach to hypertrophic lips

唇を薄くする手術についてよくあるご質問

Q:たらこ唇の原因や唇が太い理由は何ですか?

A: たらこ唇や唇の厚みは、主に遺伝的要因によって決定されます。親から子へと遺伝する形質の一つとして、唇のサイズや形状は家族内で似た特徴を持つことが多いです。特定の民族や地域によって、遺伝的背景が異なるため、唇の厚さには顕著な個人差が見られます。

Q:唇の厚さはどのくらいがちょうどいい?

A: 唇の美しさを決定するのは、そのバランスにあります。日本人が理想とする唇の厚さに関して行われた研究によると、上唇と下唇の正中線で測定した場合の厚さの平均値は、それぞれ7.8mmと12.2mmであるとされています。

Q:唇を薄くすることを自力できますか?

A: 自宅で唇を薄くする確実な方法は存在しません。たらこ唇を改善すると謳われるオンラインでの矯正グッズやマッサージ法が広告されている場合がありますが、これらの手法には医学的根拠はありません。唇のサイズや形状は主に遺伝的要素によって決まりますので、これを変えることは、特に外科的手術なしには困難です。また、インターネット上で販売されている製品や手法には、未知のリスクや潜在的な副作用がある可能性もあります。

Q:たらこ唇の整形で治すことはできますか?

A:はい、たらこ唇は整形手術によって改善することが可能です。このような場合に適用される手術は「口唇縮小術」と呼ばれます。この手術では、余分な粘膜と唇の組織を精密に除去し、よりバランスの取れた、薄く整った唇の形状を実現することが目的です。

Q: 口唇縮小手術後に元に戻ったり、たらこ唇が再発する可能性はありますか?

A: 口唇縮小手術は、唇の厚みを減らす恒久的な解決法です。手術を通じて除去された組織は再生することがないため、手術後にたらこ唇が再発することは通常ありません。手術の結果は永続的で、唇の新しいサイズと形状は手術後も変化しにくいのです。

Q:上唇だけでも治療は可能ですか?

A: はい、口唇縮小術は上唇のみの治療も十分に可能です。患者様のお悩みやご要望に応じて、上唇または下唇のいずれか一方のみの手術を行うことができます。

Q:唇を薄くする手術の料金は?

A: 私のクリニックにおける口唇縮小術の料金は、片方の唇につき275,000円(税込)となっています。ただし、手術料金はクリニックごとに大きな違いがありますし、手術の品質や結果も医師によって異なります。そのため、手術料金だけを基準にクリニックを選ぶのはリスクが伴います。手術を検討される際は、料金だけでなく、医師の技術や実績、クリニックの評判など、総合的に検討されることをお勧めします。質の高い手術を受けるためには、適正な料金と信頼できる医師の選択が重要です。また、私のクリニックでは手術費用に初診料や術後のフォローアップ費用も含まれますが、別途料金は発生することもあるため、事前に全体的なコストについて詳細に確認することが望ましいです。

まとめ

この記事では、たらこ唇の原因や厚い唇を治す治療法について詳細に解説しました。口唇縮小術は、適切に行われれば非常に満足度の高い結果をもたらすことが多いですが、経験豊富な医師の診察を受け、リスクとデメリットを完全に理解した上で、患者様自身が納得して手術を受けることが大切です。重要なのは、手術によって望む唇の形になれるかどうかを検討することです。手術は慎重に選択すべきですが、成功すれば長年の悩みから解放され、日常生活に自信を持って臨むことができるようになります。本記事が、口唇縮小術に関する疑問を解消し、手術を検討するための貴重な情報源となれば幸いです。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがあり、耳形成手術、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。ウルセラは日本国内に導入直後から取り入れており、日本美容外科学会でもウルセラの学会発表を行っている。外科専門医を取得しており、外科手術を得意としている。

【関連項目】

口唇縮小手術の相談はこちら

唇を薄くする手術の経過写真(口唇縮小手術)

 

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2024/02/17

院長ブログトップ > ハーブドリームの脂肪吸引の死亡事故の確率とは?事故も分析

ハーブドリームの脂肪吸引の死亡事故の確率とは?事故も分析

ハーブドリームで死亡事故

2024年2月15日、私は美容外科医として大きな衝撃を受けました。その日、大阪にあるハーブドリーム美容外科で発生したとされる頬の脂肪吸引後の患者の死亡事故がヤフーニュースで報じられ、手術を担当した医師が業務上過失致死で書類送検されました。このブログ記事では、この脂肪吸引後の死亡事故という衝撃的なニュースについて深く掘り下げ、なぜこのような悲劇が発生したのかを、脂肪吸引手術に精通する美容外科専門医の観点から分析します。また、脂肪吸引手術の死亡率と安全性についても考察を加えます。

2024年2月15日の脂肪吸引のよる死亡事故の報道内容

(以下、ヤフーニュースより一部転載)

大阪府警は、業務上過失致死の疑いで、東京・渋谷区に住む男性医師を書類送検しました。 医師は去年4月、大阪市内にある「HAAB DREAM BEAUTY CLINIC大阪梅田院」(ハーブビューティークリニック;東京青山の外苑前にある美容外科の系列)で、頬部の脂肪吸引を48歳の男性に実施。警察によりますと、その際医師は手術による出血で血液が湿潤してのどが狭窄し、窒息が生じるおそれがあることを知り得たのに、死亡事故を未然に防ぐ注意義務を怠り、的確な医療措置を受けるよう指示しなかった過失で、脂肪吸引の翌日に男性患者を窒息により死亡させた疑いがもたれています。患者の男性は施術を受けたあと九州の自宅に戻り、医師に腫れあがった顔写真を送るなどして、術後の異常を訴えるやりとりをしていたということですが、警察は脂肪吸引手術の担当医師が救急要請などを行わず業務上の注意義務を怠り、的確な医療措置を受けるよう指示しなかった過失があるとみています。一方、脂肪吸引手術の担当医師は容疑を否認しているということです。取り調べに対して、「顔写真を見て医療機関の受診をすすめた。遠方にいる立場として、できることは病院に行くよう促すことで、これ以上してあげられることはなかった」などと話しているということです。

死亡事故のニュースに対する世論の波紋

ハーブドリームビューティークリニックでの脂肪吸引で死亡

この死亡事故に関するヤフーニュースのコメント欄を見ると、担当医師への批判のみならず、脂肪吸引手術自体や、広く美容外科治療への疑問が多く挙がっています。この反響は、単なる一件の事故に留まらず、美容外科手術の安全性とリスクに関する大きな社会的な議論を呼び起こしています。では、本当に脂肪吸引手術は高い死亡率を持つのでしょうか?手術の危険性はどの程度なのでしょうか?以下では、これらの疑問に対して専門的な観点から解説を加えていきます。

脂肪吸引の死亡率とは

脂肪吸引手術に伴う死亡率は、様々な研究や報告から集めたデータに基づくと、約0.003%から0.03%の範囲であるとされています。この比率は、全ての脂肪吸引手術におけるもので、病院での入院治療や外来治療を含めたものです。パーセンテージ表記にすると非常に小さい数字ですが、このデータの最小の0.003%での死亡率で考えた場合、10万件につき3名の死亡率となります。これはすべての脂肪吸引を死亡率であり、特に顔や顎の脂肪吸引に特化した統計は見つかりませんでした。これらのデータは、脂肪吸引の安全性を考える上で重要な参考になります。

出典元:

Report: Liposuction Death Rate Statistics

Liposuction Death Rate

 

2009年にも死亡事故の報道

今回は1年前の2023年の頬の脂肪吸引のよる死亡事故の報道です。2009年にも品川美容外科のお腹の脂肪吸引による死亡事故があり、医師が逮捕された事故が報道されました。その事故では医師は業務上過失致死罪により禁錮1年6月、執行猶予3年の判決が確定しております。ただ、このようにニュースになるのは医師が業務上過失致死罪の疑いで逮捕または書類送検された場合だけです。明らかな医療ミスの疑いがあった場合のみ、警察の介入があり、報道されるのであって、脂肪吸引の死亡事故のたびに報道があるわけでは決してありません。実際にはるかに多くの脂肪吸引の死亡事故は起こっているのです。

脂肪吸引で1年で1人くらい死んでいる

では報道されない脂肪吸引による死亡事故はいったいどのくらいあるのでしょうか?本当の数字は実際には誰にも分かりません。これは、多くのクリニックがメディアへの報道を避けるために患者と示談交渉を行い、事故を収束させるためです。しかしながら、長年美容外科をやっていると業界の横のつながりで、どこかの美容外科で死亡事故があった、という話はすぐに耳に届きます。その数は決して少なくありません。1年1回くらいは脂肪吸引による死亡事故がある感覚です。そこで日本で1年にどのくらいの脂肪吸引手術が行われているか、を調べてみました。その実数が正確には分かりませんでしたが、日本美容外科学会(JSAPS)の2017年の調査データによると、その年の脂肪吸引手術件数は7,785件でした。このデータを基に、日本での年間脂肪吸引手術件数を約10,000件と推測すると、年間1名が死亡している場合の死亡率0.01%となります。この死亡率は海外の文献で示される脂肪吸引の死亡率0.003~0.03%の範囲内に収まることが分かります。これにより、日本では年間約1名の脂肪吸引による死亡事故が発生している可能性が高いと考えられます。

脂肪吸引は安全な治療なのか?医学的根拠は?

死亡事故の報道を受け、脂肪吸引が安全な治療法であるかどうかに疑問を抱くことは自然です。しかし、脂肪吸引は確固たる医学的根拠に基づいた安全で有益な治療として広く認識されています。信頼できる医学文献に加え、米国のメイヨークリニックやクリーブランドクリニックなどの権威ある医療機関も脂肪吸引の有益性を公にしています。それらの情報源は、脂肪吸引の安全性において医師の経験と技術が非常に重要であることを強調しています。したがって、脂肪吸引は適切に行われる場合には、信頼できる治療方法であると言えます。

出典元:

Overview of liposuction by Mayo Clinic

Liposuction by Cleveland  Clinic

頬・顎・首の脂肪吸引の安全性について

頬・顎・首の脂肪吸引手術では、最も重要なのは脂肪組織以外を傷つけないことです。特に首の領域では、頸動脈などの重要な血管が脂肪の下に位置しているため、手術中は細心の注意が必要です。経験豊富な手術者は、これらのリスクを常に念頭に置きながら慎重に手術を進めます。適切に手術が行われれば、頬・顎・首の脂肪吸引は非常に低リスクで、合併症の発生はほとんどありません。メイヨークリニックのホームページでは、顎と頬の脂肪吸引の効果と安全性に関する情報が提供されています。

頬と顎の脂肪吸引の効果

↑メイヨークリニックに掲載されている頬・顎の脂肪吸引の効果

出典元:

Overview of liposuction by Mayo Clinic

今回の死亡事故が起こった要因

頬の脂肪吸引で死亡原因は気道閉塞

今回の事故で報道を通じて現時点で判明していることは、頬部の脂肪吸引後に患部の腫れがひどかったことと、窒息死したことだけです。このことからおそらく術後の内出血により気管が圧迫されて窒息死したと考えられます。気管を圧迫するほどの内出血は通常の毛細血管だけからの出血では起こり得ないので、おそらく手術中に頸動静脈系の太い血管を傷つけたのではないか、と推測します。報道では頬部の脂肪吸引とありますが、おそらく首や顎周囲も一緒に脂肪吸引しております。これからはすべて推測で書きますが、首の脂肪吸引を行って、もし頸動静脈系の太い血管を傷つけた場合、これらの血管は筋膜(広頚筋膜)の下にあるため、脂肪吸引が行われた脂肪層には出血がほとんど現れない可能性があります。脂肪吸引後は、通常、術後の内出血を最小限にするため切開した創部(通常5mm程度)から脂肪層の毛細血管からしみ出た血液を絞り出します。もしこの時点で、異常な出血が創部からあればその時点で医師は気付き、圧迫止血など必要な処置を行います。ですが、今回の事故では出血が筋膜により密閉され、切開層からは出血がなかったために、気付かずに見過ごされた可能性があります。また、もしこのように出血がなかった場合でも、しっかり術後管理ができている体制があれば、または医師が注意深く観察していれば、その後に首が異常に腫れてきたことは気付けたはずですが、おそらくこのクリニックではそういう体制ではなかったと思われます。書類送検された医師は渋谷在住で、事故があったのは大阪のクリニックなので、アルバイトのドクターだった可能性が高いです。多くのアルバイトのドクターは手術だけ行い、終わったらさっさと帰るのが美容外科では常態化しています。

首の大きな血管

↑脂肪の下にある広頚筋の更に下にはこのように大事な太い血管が多くある。ここを損傷すると大出血が起こり得る(図内の青と青の管が血管です)

書類送検された医師がとるべきだった対応

医療行為におけるミスは避けられないこともありますが、今回の事故で書類送検された医師は、脂肪吸引に伴う頸動静脈損傷や内出血による気管閉塞のリスクを十分に認識していなかった可能性があります。もしこの知識が不足していたのであれば、この医師に非難されても仕方がないと考えられます。報道によれば、この医師は術後の患者の状態を写真で確認していました。もし十分な知識があれば、患者に近隣の病院での受診を強く促すことが可能であったでしょう。適切な対応が行われていれば、避けられたかもしれない事故です。

ハーブドリームビューティークリニック(HAAB DREAM BEAUTY CINIC)とは

ハーブドリームで死亡事故

この事故があったハーブドリームビューティークリニック(HAAB DREAM BEAUTY CLINIC)のホームページには院長の医師が掲載されていますが、この院長は経営者ではありません。ハーブビューティークリニックの経営者は医師ではなくいわゆるやり手の女性経営者です。この女性経営者は地下鉄外苑前駅にあるハーブドリームビューティークリニックの駅看板に登場してる桑田真澄さんの息子のマットさん等の芸能人やインスタのインフルエンサーとの幅広い関係を活用し、SNSを通じて効果的に集客しています。その結果短期間に店舗を拡大してきました。ハーブドリームビューティークリニックに勤務している医師はホームページを見れば分かるように美容外科年数の経験が浅いが、ルックスがよいドクターを集めています。そのルックスの良いドクターが果たして十分な技術を持っているのかは分かりません。

まとめ

美容外科医専門医元神賢太医師

このように脂肪吸引手術で死亡事故が起こり、それがメディアに晒されると、脂肪吸引手術が危険な美容外科手術のように誤解されます。もちろんどんな手術にもリスクはありますが、脂肪吸引手術は、一般的には危険ではないとされています。ただし、普通の医療行為と違って、確かにその安全性は大きく医師の技術に依存します。手術を検討する際には、医師の選択に細心の注意を払うことが重要です。高い技術と経験を持つ医師による適切な手術は、リスクを最小限に抑え、望む結果をもたらす可能性が高くなります。そのため、脂肪吸引を考えている方は、医師の資格、経験年数などを慎重に検討することが推奨されます。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。

【関連項目】

下手な美容外科医とトラブルが多い美容外科クリニックが増えている理由

失敗しない美容外科医の選び方

美容外科治療を受ける場合の問題と注意点

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2020/02/11

院長ブログトップ > 唇を薄くする手術方法について(口唇縮小手術)

唇を薄くする手術方法について(口唇縮小手術)

巷ではふっくらした唇が人気で、当院でも唇へのヒアルロン酸注射はかなり人気の治療です。

ですが、今回の話はその真逆です。
「唇を薄くする」手術についての話です。
唇が厚くて、いわゆる「たらこ唇」で悩んでいる方には、唇を薄くする手術で治すことができます。口唇縮小手術とも言います。

口唇縮小手術では、唇の内側の粘膜を切除します。切除する量は患者様が希望される縮小幅の3倍くらい切除します。

上記:下唇の縮小手術前のデザイン

このようにけっこうな粘膜を切除します。
傷跡は口の中におさまりますので、わかりません。

では今回のモニター患者様を紹介します。
今回のモニター患者様は「下唇を薄くしたい」という希望でしたので、下唇のみの口唇縮小手術を行いました。
上唇ももちろん同様にできますし、同時に受けることもできます。

上記左:下唇の口唇縮小手術前 上記右:口唇縮小手術3か月後

アップにするとこんな感じです。

上記左:下唇の口唇縮小手術前 上記右:口唇縮小手術3か月後

ちなみに創部こんな感じです。

上記左:下唇の口唇縮小手術直後の創部 上記右:口唇縮小手術3か月後の創部

最後にこのモニター患者様にご記入いただいたアンケートです。

30歳代 女性 千葉県船橋市在住
1、施術を受けたきっかけは?
中学生の頃から唇の太さに悩んでおり、人前に出てもいつも気にしてしまっていたので、この先も悩み続けるならば手術をしようと思いました。

2、このクリニックを選んだ理由は?
駅近で利便性がよく、HPを見て安心して受けられると思ったからです。

3、カウンセリングの感想は?
カウンセリングでは丁寧に話を聞いてくださり、手術後の腫れについてもきちんと話してくださったのでイメージがしやすかったです。

4、施術の内容、痛みは?
手術は30分程度だったと思います。麻酔は痛かったのですが、それ以降は痛みはありませんでした。

5、施術当日の様子は?
当日は予約時間にスムーズに手術が始まり、あっという間でした。手術後は別室で手術したところを冷やしたり少し休ませてもらえ、マスクをして安心して
帰宅できました。

6、施術後の経過は?
術後2日目、3日目あたりの腫れがピークでした。完全に腫れが落ち着いたと感じるまでの2週間程度はマスクをして外出していました。

7、アフターケアの内容とその感想について?
気になることはいつでも相談できる体制だったため、安心できました。

8、施術結果に対する感想(満足度、良かった点など)は?
カウンセリング前は、可能な限り唇を薄くすることだけしか考えていませんでしたが、先生に診ていただき口を自然に開けた状態でも違和感のない程度におさえるとの話があり、当初の予定とは異なりましたが、厚くて悩むということは無くなったので手術を受けてよかったと思いました。

9、メッセージをどうぞ。
手術ということに最初は怖さもありましたが、通院してカウンセリングもきちんと受けてからでしたので、安心して受けることができました。費用はかかりますが悩みを解決できたので、同じような悩みをお持ちの方がいれば手術を考えてみることもよいと思います。

口唇縮小手術、患者様に喜んでもらえてよかったです!

 

唇を薄くする手術(口唇縮小手術)については
船橋中央クリニック、青山セレスクリニック東京青山院・埼玉川口院
口唇縮小手術専門ページ」もご参照ください。

美容整形外科・美容皮膚科
千葉・船橋中央クリニック
青山セレスクリニック(東京青山院・埼玉川口院)

元神賢太

 

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千葉船橋院:千葉県船橋市(JR総武線・横須賀総武快速線、東武野田線、京成本線船橋駅)、東京青山院:東京都港区北青山(地下鉄銀座線外苑前駅)がございます。
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様々な治療のご相談をお受けし、施術を行っておりますのでどうぞ安心してお任せください。

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最終学歴:H11年慶応義塾大学医学部卒業
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