投稿日:2024/01/25
(最終更新日:2024/01/29)

モントゴメリー腺の神秘的な機能:除去する場合は慎重に!

乳輪のブツブツに悩む女性

乳輪のブツブツに悩む女性

乳輪や乳首(乳頭)に見られる、時に気になる「ブツブツ」と「ボツボツ」。これらは実は、モントゴメリー腺として知られる重要な乳輪の皮膚構造です。多くの人が気にするこれらの小さな突起は、実は乳房の健康と機能において重要な役割を果たしています。この記事では、乳輪や乳頭のブツブツ、ボツボツの正体であるモントゴメリー腺について、その隠された機能と重要性を深掘りして解説します。また、美容目的での除去を検討している方々へ、そのリスクと慎重な考慮が必要な理由についても詳しく説明します。

モントゴメリー腺とは

モントゴメリー腺は乳輪や乳首に存在する小さなふくらみや突起です。モントゴメリー腺の数や大きさには人によって幅広い個体差があり、一部の人にとっては非常に目立つ特徴である一方で、他の人にはほとんど気付かれないほど小さな存在です。実は、女性の約9%が特に盛り上がりが顕著なモントゴメリー線を持っているという興味深いデータも存在します。この場合はモントゴメリー腺結節(Montgomery’s tubercle)と呼ばれることもあります。またモントゴメリー線は、19世紀の産科医ウィリアム・フェザーストーン・モントゴメリーにちなんで名付けられています。

モントゴメリー線のブツブツ

↑モントゴメリー線は乳輪の不均一にふくらんでいるブツブツとして見えます

モントゴメリー腺の機能

モントゴメリー腺の主な機能は、皮脂を分泌して乳首と乳輪を潤滑し、保護することです。これは特に授乳期間中に重要で、乳首の乾燥やひび割れを防ぐ役割を果たします。また、授乳中の女性では、モントゴメリー腺がより活発になることがあります。これは、腺が分泌する物質が赤ちゃんを母乳に導くのに役立つと考えられています。

授乳中のモントゴメリー腺はすごい!

モントゴメリー腺からの分泌は、一般的な皮脂腺の分泌物と似ていますが、いくつかの特徴的な違いがあります。

■モントゴメリー腺からの分泌物の成分

モントゴメリー腺から分泌される液体は、皮脂(油分)に加えて、水分、タンパク質、抗菌物質などを含んでいることがあります。これらの成分は、乳首と乳輪を柔らかく保ち、感染から守る役割を果たします。

■授乳との関連

授乳期の女性では、モントゴメリー腺の分泌物には、赤ちゃんを母乳へと導く役割を果たす成分も含まれていると考えられています。これには、赤ちゃんの嗅覚を刺激する成分が含まれる可能性があります。また、含まれている抗菌物質の作用により赤ちゃんを感染から守る働きがあります。

■モントゴメリー腺の神秘

モントゴメリー腺の分泌についての最新の研究によると、モントゴメリー腺は乳輪上に分布し、妊娠中より肥大化し、特に授乳中の女性では顕著になることが多いです。また、モントゴメリー腺の分泌物は、新生児に与える影響についての研究が行われています。この研究では、新生児にモントゴメリー腺の分泌物を近づけ、その行動と自律神経系の反応を評価しました。結果として、モントゴメリー腺の分泌物は新生児の食欲を示す「口の吸う」反応を強め、わずかに新生児の心拍数と呼吸を増加させました。これは、モントゴメリー腺の分泌物が赤ちゃんを乳首に引き寄せる香りを発しているからだと言われており、特にモントゴメリー腺が新生児の授乳に重要な果たしていることを示唆しています​​。

モントゴメリー腺の健康上の問題

通常、モントゴメリー腺は健康上の問題を引き起こすことは少ないですが、感染したり、塞がったりすることがあります。

■モントゴメリー腺がかゆい

モントゴメリー腺にかゆみや発疹がある場合は、カンジダ症の可能性があります。この場合は適切な軟膏を外用すれば治ります。

■モントゴメリー腺が痛い

モントゴメリー腺に皮膚の赤みや痛みなどの症状が現れることがあります。この場合はモントゴメリー腺が感染している可能性があります。抗生剤の外用や内服は必要な場合もあります。また、繰り返し炎症を起こす場合はモントゴメリー腺を外科的な除去することもあります。

■モントゴメリー腺のニキビ

モントゴメリー腺の炎症によりニキビのように膨らむことがあります。この場合は抗生剤の外用や内服はで治療しますが、場合により切開して膿を排出する必要があります。またニキビではなく、モントゴメリー嚢胞(Montgomery cysts)と呼ばれる嚢胞であることもあります。モントゴメリー嚢胞は自然に治ることもありますが、炎症を伴った場合は外科的に切除・除去する必要が場合もあります。

■モントゴメリーから汁が出る

モントゴメリー腺からの分泌物が授乳期以外に現れた場合、これは注意深く対処すべき重要なサインです。特に、血液や膿を伴う分泌物が見られるときは、乳腺外科医による迅速な診察が必要となります。これらの症状は、稀ではありますが、時として乳がんなどの重大な健康問題を示唆することがあります。

モントゴメリー腺の個数や大きさ

モントゴメリー腺の存在は女性によって異なり、通常、乳輪には約12個から20個の腺があるとされていますが、これは平均的な数に過ぎません。実際には、より多くの腺を持つ女性や、逆に少ない女性も存在します。また、モントゴメリー腺の大きさにも個人差がありますが、その大きさや膨らみが目立つ乳輪とそうでない乳輪とで、モントゴメリー腺の基本的な機能には大きな違いはありません。モントゴメリー腺の主要な役割は、乳輪と乳首を潤滑し、保護することです。これは腺の見た目の大きさや顕著さに関係なく、すべてのモントゴメリー線に共通して存在する機能です。腺の大きさや数が多い場合、これは皮膚の外見に影響を与える可能性がありますが、これは美容的な側面であり、腺の機能に影響を与えるものではありません。最も重要なのは、モントゴメリー腺が乳房と乳首の健康を維持するために重要な役割を果たしているという点です。

モントゴメリー腺が大きくなる理由

モントゴメリー線は時に肥大化することあります。モントゴメリー腺が大きくなる主な原因は、体内のエストロゲンの上昇の影響(妊娠など)とその他(過度な刺激など)の影響に分けられます。

■ホルモンの影響によりモントゴメリー線の肥大化が起こる場合

・妊娠中

※時にモントゴメリー線が大きくなることは一番最初の妊娠兆候のこともあり、最初の月経が来ないことに気付く前に起こることもあります。

・思春期

・女性の月経周期

■モントゴメリー線が大きくなるその他の場合

・乳首への過度な刺激

・きつい衣服や下着

・ホルモンの不均衡

・乳がん

・体重の増減などの身体的変化

モントゴメリー腺の日常ケア

モントゴメリー線のセルフケア

モントゴメリー腺は日常生活において特別なケアを必要としないことが多いです。ただし、感染や炎症を未然に防ぐために、次のような簡単なケアが推奨されます

■乳首を清潔に保つ

妊娠中や授乳中は、毎日暖かい水で乳房を洗います。授乳していない場合は、通常、肌に優しい石鹸を毎日使用しても安全です。

■モントゴメリー腺を潰さない

モントゴメリー腺の自分で除去しようと考えないでください。自分で潰そうとすると、感染や余計に大きくなる要因になります。

■モントゴメリー腺の保湿

モントゴメリー腺がかさつく等の乾燥の症状がある場合は、刺激が少ない保湿クリームで潤いを与えてください。

■清潔な下着の着用

毎日、清潔で快適な下着を選ぶことが大切です。

■美容目的の手術の検討

モントゴメリー腺の外見が気になる場合、特に妊娠や授乳をしていない状況で、外科的な除去を考慮することがありますが、これは将来の授乳能力に影響を与える可能性があるため、美容外科医との詳細な相談が必要です。

男性のモントゴメリー線:その存在と機能

男性においても、モントゴメリー線は存在しますが、その役割は女性ほど明確ではありません。これは、モントゴメリー線が主に授乳に関連した機能を持っているためです。

男性のモントゴメリー線に関する具体的な研究は限られており、皮脂腺としての機能しかないと現在のところ考えられております。皮脂腺としては皮膚を潤滑し、乾燥や外部からの刺激から保護する役割を果たす可能性があります。また、男性におけるモントゴメリー線の医学的な重要性は限られており、特に健康上の問題を引き起こすことはほとんどありませんが、女性の場合と同様に、感染や炎症などの問題が生じた場合には医師の診察を受けることが重要です

妊娠中のモントゴメリー線:その役割とケア

妊娠中は、モントゴメリー線が特に活動的になります。モントゴメリー線は、授乳を滑らかかつ潤滑にするための抗菌性の油を分泌します。この油は、授乳期間中の乳首を保湿し、保護するという極めて重要な役割を担っています。そのため、授乳期の母親にとっては、乳首の石鹸での洗浄を避けることが重要です。乳首周辺を乾燥させる可能性がある消毒剤や他の刺激物の使用も控えるべきです。日常のシャワー時には、単に水で乳房を優しく洗い流すだけで十分です。もし乳首が乾燥したりひび割れたりしている場合は、ラノリンのような優しい外用薬を利用することが推奨されます。また、授乳用ブラジャーやブラパッドには、通気性のないプラスチックの裏地が使われていないか確認し、肌への通気を妨げないものを選ぶことが大切です。

モントゴメリー線を自然に小さくする方法

モントゴメリー線が存在することは、乳首が正常に機能していることのサインであり、通常は正常な状態とされます。妊娠中に肥大化することもありますが、多くの場合、妊娠や授乳が終わると自然と縮小し、時には完全に元の状態に戻ります。しかし、妊娠していない、授乳していない方が、モントゴメリー線を目立たなくしたい場合、以下のようなセルフケアの方法があります。ただし、以下は民間療法であるため、効果が医学的に証明されているわけではないことにご留意ください。

1.暖かい水に浸したタオルを乳首に20分程度押し当てます。

2.乳首の周りにアロエベラジェル、シアバター、ココアバターなどの自然由来の保湿剤を塗布し、肌を潤します。

3.水分摂取を増やし、糖分の摂取を控えめにすることで、体のバランスを整えます。

4.健康的な食生活を心掛け、糖分と塩分の摂取を減らして、浮腫みでモントゴメリー線が大きくようなことは減らします。

モントゴメリー腺を外科的に除去してよいのか?

モントゴメリー腺の除去に関する美容外科手術についての医学論文や批判的な意見に関する具体的な情報をありません。ただし、一般的には必要性がない限り、身体の自然な構造を変更することには慎重な姿勢を取るべきです。モントゴメリー腺は乳房の正常な構造の一部であり、特に授乳期に重要な機能を果たします。授乳に影響を与える可能性があるため、未出産の若い女性がこれらの腺を除去することは、特に慎重に検討されるべきです。授乳以外にも、乾燥から乳首を守るなどの健康を維持するために重要な役割を担っている可能性があります。もしモントゴメリー腺の除去手術を検討している場合は、医師との十分な相談を通じて、手術の利点とリスクを慎重に評価することが重要です。なお、美容目的である場合、モントゴメリー腺の除去は保険適用になりません。一方、炎症を伴っている場合でモントゴメリー腺の除去が必要な場合は保険診療による健康保険の適用になります。

モントゴメリー腺の除去手術について

モントゴメリー腺の除去・切除手術は、一般的には美容的な理由で行われることが多い手術です。以下にその詳細を説明します

■手術の目的

モントゴメリー腺の切除は、乳輪の周囲に見られるこれらの腺の突起が目立つと感じる人に対して行われることがあります。手術は主に美容的な目的で行われ、炎症が繰り返すこと場合を除いて、医学的な必要性に基づくことは少ないです。

■手術の方法

手術は通常、局所麻酔下で行われます。モントゴメリー腺の各突起は、小さな切開を通じて除去されます。切開はなるべく小さく、目立たないように配慮されます。

モントゴメリー線の手術

手術で気になるモントゴメリー線を1個づつ紡錘形に皮膚ごと切除します。

モントゴメリー線の手術と抜糸

縫合して1週間後に抜糸します。抜糸後は徐々に傷跡は目立たなくなります。

■回復期間とケア

手術後は数日間の腫れや違和感が生じることがあります。通常、1週間程度で日常生活に戻ることができますが、完全な回復には1ヶ月程度かかることもあります。術後のケアとしては、適切な時期の抜糸と医師の診察が重要です。

■リスクと合併症

手術には感染、出血、傷跡、感覚の変化などのリスクが伴いますが、それほどリスクや合併症が起こる可能性は大きくありません。

■授乳への影響

モントゴメリー腺は授乳時の乳輪と乳首の保護に役立つため、モントゴメリー腺を除去することは将来の授乳能力に少し影響を与える可能性があります。

■慎重な検討が必要

この手術は、美容的な理由に基づくものであるため、医学的な必要性があるわけではありません。手術を検討する際には、美容外科専門医との十分な相談を通じて、その利点とリスクをよく理解し、慎重に決定することが重要です。

まとめ

モントゴメリー線は、乳房及び乳首の一機能としての役割があります。。たとえ通常より少し大きくても正常で通常、心配する必要はありません。むしろ妊娠中や授乳中の場合、モントゴメリー線の肥大化はおそらくその女性と女性の赤ちゃんに利益をもたらしています。またモントゴメリー線の除去手術は、美容的な理由に基づくものであるため、医学的な必要性があるわけではありません。手術を検討する際には、美容外科専門医との十分な相談を通じて、その利点とリスクをよく理解し、慎重に決定することが重要です。

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。乳頭縮小、陥没乳頭手術など乳首の手術も多く手掛けている。男性乳頭縮小手術でタモリ俱楽部に出演歴あり。

【関連項目】

モントゴメリー線除去の相談はこちら(乳輪縮小ページ)

モントゴメリー腺除去の症例写真掲載ページ

「乳首が大きい、長いことによる悩み」の原因と治療方法

 

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