投稿日:2024/12/28
(最終更新日:2025/03/24)
ふくらはぎボトックスで歩行困難に!? 施術医の経験が安全性の鍵
近年、美容医療の急速な普及とともに、未熟な技術によるトラブルが相次ぎ報じられています。その中でも、業界大手の一つである東京中央美容外科(TCB)は、ネットニュースでたびたびその施術に関する問題が取り上げられてきました。過去には、涙袋の施術で出目金のように不自然な仕上がりとなった女性のケースが話題となりましたが、今回はさらに衝撃的な事例です。ふくらはぎにボトックス注射を施した結果、歩行が困難になったと訴える元勤務医が損害賠償請求を起こし、世間の注目を集めています。本記事では、このニュースの詳細を紹介するとともに、ふくらはぎボトックスの効果やリスクについて詳しく解説し、なぜこのような深刻な事態が起きたのかを掘り下げていきます。安全な美容医療を受けるために、施術者の経験や技術がいかに重要かを考える一助となれば幸いです。
「ボトックス注射で歩行困難に…」元勤務医が訴えた美容クリニックTCBの実態
近年、美容医療の拡大に伴い、施術に関するトラブルが注目されています。その中で、大手美容クリニックTCBの元勤務医S氏が、自身の被害経験を基にTCBを相手取って訴えを起こしたニュースが話題となっています。S氏は2022年4月、TCBに勤務医として就職しましたが、研修中に「ふくらはぎボトックス注射」の練習を強制され、同僚と互いに注射を打ち合うよう指示されました。この施術後、約1か月が経過してからS氏に異変が現れ、歩行困難に陥りました。都内の脳神経外科で診察を受けた結果、副作用によって筋力が著しく低下していると診断され、一時は車椅子生活を余儀なくされたとのことです。
その後、S氏はTCBに対し労災申請を求めましたが、真摯な対応を得られず、弁護士を通じて損害賠償請求に踏み切りました。担当弁護士によれば、美容クリニックでのトラブルは、同意書の存在などにより泣き寝入りするケースが多い中、勤務医が被害者となるのは極めて珍しい事例であり、戦える見込みがあるとしています。S氏は「一時は車椅子生活を余儀なくされ、障害者手帳(6級)も取得しました。現在はリハビリを続けていますが、走ることはもちろん日常生活にも支障があります。医師として事故が起こる可能性は理解できますが、謝罪もケアもないのは無責任です。事前にこのような体制だと知っていたら、TCBに就職することはありませんでした」と憤りを語っています。
一方で、TCBは今回の件に関する取材に応じることを拒否。判決は近々に下される予定であり、業界や患者の間でもその行方が注目されています。
参照元:「ボトックス注射で歩行困難に…」 美容クリニック・TCBを訴えた元勤務医の悲痛な叫び 「練習で注射を打たされ、一時は車椅子生活に」
ふくらはぎボトックスで歩行困難になるか?
ふくらはぎボトックスは日本における美容医療の中でも人気の高い施術の一つであり、その施術経験を語れる筆者も、自負を持っています。筆者自身、日本国内で最も多くふくらはぎボトックスを施術してきた一人であり、これまで延べ1000人以上の患者に治療を行ってきました。その中で、この記事にあるように治療後1か月も経過してから歩行困難になるといった深刻な副作用が発生した例には一度も遭遇していません。
しかし、今回の事例を目にしたとき、いくつかの疑問が湧き上がります。一体どれほどの量のボトックスが一度に注射されたのか、また、どのような方法で注射が行われたのか。このような副作用が生じた背景には、施術手順や薬剤の使用方法に何らかの問題があった可能性があると考えざるを得ません。ふくらはぎボトックスが安全に行われるためには、施術者の知識や技術がいかに重要であるかを改めて痛感させられる事例です。
安全で効果的なふくらはぎボトックス施術法とは?
ふくらはぎの筋肉は非常に大きく、これをボトックス注射で効果的に縮小するには、適切な量と技術が求められます。確かに、筋肉の大きさに応じて十分な量のボトックスを使用する必要がありますが、一度に大量を注射するのはリスクが高く、避けるべきです。筆者はこれまでの豊富な経験から、「ふくらはぎボトックス元神メソッド」を考案し、安全性を最優先に考慮し、1回の施術で大量を注射するのではなく、通常3回に分けて段階的に施術を行っています。
注射の間隔については、患者のふくらはぎの筋肉量や状態を丁寧に評価したうえで個別に決定します。このように慎重なアプローチを取ることで、施術開始から約半年後には目に見える効果が現れます。また、単発で大量に注射した場合に見られるような効果の短期間での消失を防ぎ、持続的な改善を実現できます。正しい方法での施術は、美容効果だけでなく患者の安全と満足度を高める上でも重要な要素です。
新規美容クリニック急増の裏に潜むリスクと医療の実態
近年、美容外科業界では新規クリニックの開院ラッシュが止まりません。特に、この記事でも触れられている東京中央美容外科(TCB)は、毎年複数の新規クリニックを開院し、その勢いを加速させています。同様に、湘南美容クリニックをはじめとする他の大手クリニックも、全国的な展開を進めています。しかし、この急激な拡大の裏には深刻な問題が潜んでいます。
新規クリニックの治療責任者に選ばれる医師は、往々にして経験が浅い場合が多く、十分な技術指導を受けていないケースが少なくありません。ある大手クリニックでは、研修中の医師への技術指導がほとんど行われないという現状もあります。これは、指導医が自身の技術を盗まれることを懸念して指導を控える傾向があるためです。また、クリニック内では医師同士が売上を競い合い、高い売上を記録した医師がより良いポジションを得る仕組みが存在します。この競争の激化が、指導医が競争相手となる新人医師の育成を意図的に避ける要因となっているのです。
その結果、研修医たちは看護師に施術方法を尋ねたり、指導医のカルテを盗み見ながら薬剤の使用量を学ぶという、非公式かつ非効率的な方法で知識を得るしかありません。それでもなお、新規クリニックの人員を確保するため、経験の浅い医師が早々に治療責任者として配置されるのが現状です。このような背景が、今回報じられたような歩行困難を引き起こすふくらはぎボトックス施術の発生に繋がったと推測されます。
これほど恐ろしい状況が、美容クリニックの大量出店という競争の裏で展開されている可能性があるのです。患者はクリニックの表面的なブランドや規模だけでなく、施術を担当する医師の経験や実績にも十分注意を払う必要があります。安全な美容医療を受けるためには、こうした業界の実態を理解することが重要です。
→合わせて読みたい「東京中央美容外科TCBで浮上した違法行為報道の詳細」
まとめ
ふくらはぎボトックスは、美容医療の中でも人気の高い施術ですが、その安全性と効果を最大限に引き出すためには、施術を行う医師の技術や経験が何よりも重要です。本記事で紹介したように、適切な施術方法が守られていない場合や、未熟な医師が治療を行った場合には、深刻な副作用や後遺症を引き起こす可能性があります。
ふくらはぎボトックスの効果を持続的に保つためには、正しい施術方法を実践することが不可欠であり、患者自身もクリニックや担当医の選定に慎重であるべきです。特に新規開院したばかりのクリニックや経験の浅い医師が担当する施術では、リスクを十分に考慮する必要があります。
美容医療を検討する際には、施術内容だけでなく、医師の実績やクリニックの安全管理体制をよく確認し、信頼できる医療機関を選ぶことが大切です。美しさと安全は表裏一体であることを忘れず、美容医療をより安心して受けられる環境を求めていきましょう。
筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医として20年以上のキャリアがある。ふくらはぎボトックスの元神メソッド開発者。【関連項目】
美脚, ふくらはぎボトックス, 東京中央美容外科TCBやばい
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