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投稿日:2024/06/19
(最終更新日:2024/06/19)

薄毛は遺伝とは言いきれない。だからあきらめてはいけない!【第26回】

女性薄毛とストレス

(第25回「【白髪の原因と予防】「白髪の人は薄毛にならない」は迷信!」からの続き)

「うちは母親も祖母も父親も薄毛の家系だから、いくら生活習慣に気をつけても無駄だ。 きっと自分も薄毛になる運命なんだ」と決めこみという「薄毛=遺伝説」はかなりの確率で信じられています。確かに薄毛には家族性のも のもあり、何らかの遺伝的要因(薄毛になりやすい家系)もあります。しかしながら、薄毛とは、とても複雑に、さまざまな要因がからみ合って生じるものなのです。つまり、薄毛は「多因子遺伝性疾患」。遺伝だから将来絶対に薄毛になる、とまでは言いきることは できません。実際には日々の生活習慣が髪の成長に大きな役割を果たします。生活習慣を改善することで、薄毛の発生を予防したり、進行を遅らせたりすることが可能です。本記事では、薄毛と生活習慣の関係について詳しく解説し、効果的な予防方法を紹介します。

髪の成長においてたんぱく質摂取の重要性

髪の成長と健康には、多くの要因が関わっていますが、その中でも特に重要なのが栄養摂取です。髪は主にケラチンというたんぱく質から構成されており、適切なたんぱく質摂取が髪の健康と成長にとって不可欠です。

■たんぱく質の役割

たんぱく質は、髪の構造を形成する主要な成分です。髪の主成分であるケラチンは、たんぱく質の一種であり、強靭で柔軟な性質を持っています。このケラチンが健康な髪を維持し、ダメージから守る役割を果たしています。適切なたんぱく質摂取がなければ、髪のケラチン生成が不足し、髪が弱くなり、切れ毛や抜け毛が増える可能性があります。

■たんぱく質不足の影響

たんぱく質不足は髪の健康に深刻な影響を与えます。例えば、極端なダイエットや偏った食事によってたんぱく質が不足すると、体は生命維持に必要な臓器に優先的にたんぱく質を供給し、髪や爪といった二次的な部分への供給が後回しにされます。その結果、髪の成長が遅れ、髪質が悪化することがあります。また、たんぱく質不足が続くと、髪が薄くなったり、抜け毛が増えたりすることもあります。

■たんぱく質を多く含む食材

髪の健康を維持するためには、日常の食事で十分なたんぱく質を摂取することが重要です。たんぱく質を多く含む食材としては、次のようなものがあります。

肉類: 牛肉、鶏肉、豚肉などは高品質なたんぱく質源です。

魚介類: サーモン、ツナ、エビなども良質なたんぱく質を豊富に含んでいます。

卵: 卵白には高純度のたんぱく質が含まれています。

乳製品: ヨーグルト、チーズ、牛乳などもたんぱく質を摂取するのに適しています。

豆類: 大豆、レンズ豆、ひよこ豆などの豆類は、植物性たんぱく質の優れた供給源です。

ナッツと種子: アーモンド、クルミ、チアシードなどもたんぱく質を含んでいます。

■バランスの取れた食事

たんぱく質だけでなく、ビタミンやミネラルも髪の健康にとって重要です。例えば、ビタミンB群や亜鉛、鉄分は、髪の成長を促進し、健康を維持するために必要です。バランスの取れた食事を心がけ、さまざまな栄養素をバランス良く摂取することが大切です。

■プロテインサプリメントの利用

食事から十分なたんぱく質を摂取することが難しい場合は、プロテインサプリメントを利用するのも一つの方法です。特に忙しい生活を送る人や、ベジタリアン、ヴィーガンの方々にとっては、効率よくたんぱく質を補給する手段として有用です。

ストレスの管理

赤ワインと薄毛

髪の健康と成長には、栄養摂取や遺伝的要因などが影響を与えますが、ストレスも大きな要因の一つです。特に、ストレスが引き起こすホルモンの変動が、髪の成長に深刻な影響を及ぼすことが知られています。

■ストレスとコルチゾール

ストレスがかかると、体内で分泌されるホルモンの一つがコルチゾールです。コルチゾールは副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンで、体がストレスに対処するための「ストレスホルモン」として知られています。通常、コルチゾールはエネルギー供給や免疫反応の調整、炎症の抑制などに役立ちますが、過剰に分泌されると体に有害な影響を及ぼします。

■コルチゾールと髪の成長

コルチゾールが過剰に分泌されると、髪の成長サイクルが乱れることがあります。髪の成長サイクルは、成長期(アナゲン)、退行期(カタゲン)、休止期(テロゲン)の3つの段階に分かれます。コルチゾールの過剰分泌は、このサイクルを短縮させ、成長期が短くなる一方で、休止期が長くなることが知られています。その結果、髪が早く抜け落ち、新たに生える髪が減少します。

■ストレスが引き起こす他のホルモン変動

ストレスはコルチゾールだけでなく、他のホルモンのバランスにも影響を与えます。例えば、ストレスによりアドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンも増加します。これらのホルモンは血管を収縮させるため、頭皮への血流が減少し、毛根への栄養供給が不足します。その結果、髪の成長が阻害される可能性があります。

■ストレス管理と髪の健康

ストレスを管理することは、髪の健康を維持するために非常に重要です。以下は、ストレスを軽減するためのいくつかの方法です。

リラクゼーション技法: ヨガや瞑想、深呼吸などのリラクゼーション技法は、ストレスホルモンの分泌を抑え、リラックス状態を促進します。

運動: 定期的な運動は、ストレスを軽減し、全身の血行を改善するため、頭皮への血流も増加します。

十分な睡眠: 睡眠不足はストレスホルモンの分泌を増加させるため、十分な睡眠を確保することが重要です。

髪の成長における血流の重要性と健康リスク

髪の健康と成長において、血流は非常に重要な役割を果たします。頭皮に十分な血液が供給されることで、髪の毛根に必要な酸素や栄養素が届けられ、健やかな髪の成長が促されます。しかし、血流が悪くなると、髪の健康が損なわれるリスクが高まります。

■血流と髪の成長

髪の成長サイクルは、成長期(アナゲン)、退行期(カタゲン)、休止期(テロゲン)の3つの段階に分かれます。このサイクルを支えるためには、毛根に十分な酸素と栄養が供給されることが必要です。これを実現するのが、頭皮の血流です。毛根には多くの血管が集まり、毛母細胞という髪の成長に重要な細胞に酸素や栄養素を供給します。

適切な血流があることで、毛母細胞は活発に分裂し、新しい髪が生成されます。一方で、血流が滞ると、毛母細胞の活動が低下し、髪の成長が遅れるか、停止することがあります。また、血流不足は髪の強度や質にも影響を及ぼし、切れ毛や薄毛の原因となります。

■喫煙と髪の健康

喫煙は、血流に悪影響を与える主要な要因の一つです。タバコに含まれるニコチンやその他の有害物質は、血管を収縮させ、血流を悪化させます。これにより、頭皮への血液供給が減少し、毛根への酸素と栄養素の供給が不十分になります。

さらに、喫煙は一酸化炭素の血中濃度を高め、酸素運搬能力を低下させます。結果として、毛根に必要な酸素が供給されず、髪の成長が妨げられます。また、喫煙は血液中の毒素レベルを上昇させ、細胞の健康を損なうことで、髪の質にも悪影響を与えます。

たばこと薄毛

■糖尿病と髪の健康

糖尿病も髪の健康に大きな影響を与えます。糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなる病気であり、全身の血流に影響を及ぼします。高血糖状態が続くと、血管が損傷を受け、血流が悪化します。特に末梢血管(手足や頭皮などの血管)は影響を受けやすく、血流不足が顕著になります。

■血流を改善する方法

血流を改善し、髪の健康を維持するためには、以下の方法が効果的です。

適度な運動: 定期的な運動は、全身の血流を改善し、頭皮への血液供給を増加させます。

禁煙: 喫煙をやめることで、血管の健康が改善され、血流が向上します。

糖尿病の管理: 糖尿病を適切に管理し、血糖値をコントロールすることで、血管の健康を維持し、血流を改善します。

髪の成長におけるシャンプーのしすぎと濡れた髪の放置のリスク

髪の健康と成長を保つためには、適切なヘアケアが必要です。しかし、シャンプーのしすぎや濡れた髪を放置することは、かえって髪に悪影響を与えることがあります。

■シャンプーのしすぎが髪に与える影響

シャンプーは、頭皮や髪の汚れ、皮脂を洗い流すために重要です。しかし、過度にシャンプーを行うと、髪や頭皮に悪影響を及ぼす可能性があります。

頭皮には天然の皮脂があり、これがバリアとして働いて頭皮を保護し、髪に潤いを与えます。シャンプーのしすぎによって皮脂が過剰に取り除かれると、頭皮が乾燥しやすくなり、フケやかゆみの原因となります。また、乾燥した頭皮は、髪の根元に十分な栄養を供給できず、髪が弱くなります。

また、シャンプーによって髪の表面にあるキューティクルが剥がれやすくなり、髪が乾燥しやすくなります。これにより、髪が切れやすくなり、ダメージを受けやすくなります。

さらに、髪には天然のオイルが含まれており、これが髪の柔軟性と光沢を保つ役割を果たしています。シャンプーのしすぎはこれらのオイルを取り除き、髪がパサつきやすくなることがあります。

■適切なシャンプーの頻度

個々の髪質やライフスタイルによって異なりますが、一般的には2~3日に1回のシャンプーが推奨されます。これにより、必要な皮脂が適度に保たれ、頭皮と髪の健康が維持されます。また、シャンプーを行う際には、マイルドな成分のシャンプーを選び、頭皮を優しくマッサージするように洗うことが大切です。

■濡れた髪の放置が髪に与える影響

髪のキューティクルへのダメージ:髪が濡れているとき、キューティクルが開いた状態になります。この状態で摩擦が加わると、キューティクルが剥がれやすくなり、髪がダメージを受けやすくなります。特に濡れた髪をタオルで激しくこすることは避けるべきです。

頭皮の健康への影響:濡れた髪を長時間放置すると、頭皮が湿ったままになり、細菌やカビの繁殖が促進される可能性があります。これが原因で頭皮のかゆみや炎症、さらには感染症のリスクが高まります。

髪のもつれと切れ毛濡れた髪はもつれやすく、もつれた髪を無理にとかすと切れ毛やダメージの原因になります。濡れた髪は非常にデリケートであるため、適切なケアが必要です。

■濡れた髪の正しいケア方法

濡れた髪を健康に保つためには、次のような方法を実践することが重要です。

シャンプー後は、タオルで髪を優しく押さえるようにして水分を取り除きます。タオルでゴシゴシこすることは避け、髪に余計な負担をかけないようにしましょう。その後、ドライヤーを使用すべきですが、熱風を避け、冷風や温風を使って距離を保ちながら乾かすようにします。ドライヤーを近づけすぎると髪が乾燥し、ダメージを受けやすくなります。

濡れた髪をドライヤーで乾かす薄毛の女性

日常生活でできる対策

こうして見てみると、生活習慣における特に大切なポイントとしては、次の4つが挙げられます。

①髪の毛の素材となるタンパク質をはじめ、髪によいビタミンやミネラルなどの栄養素 をバランスよく十分に取ること。食事でどうしても十分摂取できない人には、筆者が開発したサプリなどもあります。

② 成長ホルモンや女性ホルモンが正常に分泌され、過剰にストレスホルモンが分泌されないように、ストレスの少ない生活をすること。

③  全身の血流をよくすること。頭皮の血流促進のためには外用薬などもあります。

④   頭皮環境を整えること。シャンプーのしすぎには十分注意し、濡れた髪を放置するの もやめましょう。

まとめ

仮に、家系的に薄毛だったとしても、若い頃から生活習慣に注意し、栄養をしっかり摂り、予防としてサプリをきちんと飲んでいれば、薄毛にならずにすむこともあります。 じつは私の父方・母方両方の祖父も、父親も、薄毛でした。そのせいかどうかは断定できませんが、私も20代後半から髪が薄くなり始めたことは過去のブログでもお話しした通りです。それでも、自身のクリニックで自ら治療を行った結果、豊かな髪の毛を復活させることができたのです。皆様もまず日常で行えるしましょう!

 

筆者:元神 賢太
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。これまで延べ5万以上の薄毛治療を行う。著書に「専門医が徹底解説!女性の薄毛解消読本」(元神賢太著 / 幻冬舎)。女性の薄毛治療のほか、エイジングケア治療、美肌治療を得意としている。

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